成人に対する自動体外式除細動器〈AED〉の使用で正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
成人に対する自動体外式除細動器(AED)の使用で正しいものを問う。胸部が濡れている場合は電極パッドを貼る前に拭き取ることである。
この問題で問われていること
通電が正しく行われる条件を理解しているか。
しくみから理解する
胸部が濡れていると、水が電気を通すため、電流が皮膚の表面を流れてしまい、心臓へ十分な電流が届かない。また、通電の効果が下がるだけでなく、周囲へ電流が広がる危険もある。したがって、水泳中の溺水、入浴中、大量の発汗といった状況では、パッドを貼る前に胸部の水分を乾いた布で拭き取る。あわせて、傷病者を水たまりから移動させる。貼り薬(湿布、ニトログリセリンの貼付剤など)があれば剝がして、その部位を拭く。胸毛が濃い場合は、パッドを強く押しつけるか、必要に応じて剃毛する。
選択肢ごとの確認
電極パッドは、左前胸部に並べて貼るのではなく、心臓を挟むように貼る。標準的には、右前胸部(鎖骨の下、胸骨の右)と、左側胸部(左腋窩の下、乳頭の斜め下)になる。並べて貼ると、電流が心臓を通らず、除細動の効果が得られない。
心電図の解析中は、胸骨圧迫を中断する。圧迫による体動が波形に影響し、正しい解析ができないためになる。解析中と通電時は、誰も傷病者に触れない。ただし、中断は最小限にとどめ、解析が終わったら直ちに再開する。
心拍が再開されても、電極パッドを直ちにはがしてはならない。再び心停止に陥る可能性があるため、救急隊に引き継ぐまで、パッドは貼ったまま、AEDの電源も入れたままにしておく。呼吸と意識を継続して観察し、必要があれば直ちに蘇生を再開できる状態を保つ。
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混同しやすいポイント
誤肢は、パッドの位置、解析中の行動、そして使用後の扱いという3点で誤っている。いずれも、AEDが正しく働く条件に関わる。「電流が心臓を通ること」「解析が正しく行われること」「再発に備えること」という3つの観点から考えると、判断できる。
理解を深める
AEDの使用の実際を整理する。手順=①電源を入れる(蓋を開けると自動的に入る機種もある)、②音声指示に従う、③傷病者の衣類を取り除き、胸部を露出する、④パッドを袋から出し、図に示された位置へ、皮膚に密着させて貼る、⑤解析中は誰も触れない、⑥ショックが必要と判断されたら、周囲の安全(誰も触れていないこと)を確認して、ボタンを押す、⑦通電後は直ちに胸骨圧迫を再開する、⑧2分ごとに自動的に解析が行われるため、音声指示に従う。注意する状況=濡れている(拭く)、貼り薬がある(剝がして拭く)、植込み型医療機器(ペースメーカ、植込み型除細動器)がある(膨らみの上を避け、3cm以上離して貼る)、金属製のアクセサリー(無理に外す必要はないが、パッドに触れないようにする)、そして小児(未就学児には小児用パッドまたは小児モードを用いる。なければ成人用でよい)。設置と管理=日常の点検(インジケータの確認)、パッドとバッテリーの有効期限の管理。市民が使用できる仕組みであり、使用をためらわないこと、そして、悪意または重大な過失がなければ損害賠償の責任を負わないとされていること(民法第698条の緊急事務管理)を、教育の場で伝えることも重要になる。善意で行った救命の行為が実際に責任を問われることはほとんどないため、ためらわずに使うよう伝える。
間違えやすい考え方
使用の方法を問う型で、誤肢がパッドの位置・解析中の行動・使用後の扱いで誤っている。通電の条件で切る。
5分で振り返る
①胸部が濡れていると電流が皮膚の表面を流れ、心臓へ届かない。乾いた布で拭き取る。②パッドは心臓を挟むように、右前胸部と左側胸部へ貼る。並べて貼らない。③解析中と通電時は胸骨圧迫を中断し、誰も傷病者に触れない。解析が終わったら直ちに再開する。④心拍が再開してもパッドは剝がさず、電源も入れたままにする(再発に備える)。⑤貼り薬は剝がして拭く。植込み型医療機器の膨らみからは3cm以上離す。⑥未就学児には小児用パッドまたは小児モード(なければ成人用でよい)。⑦通電後は直ちに胸骨圧迫を再開し、2分ごとの解析に従う。
1分チェック
- 胸部が濡れているときは。→ パッドを貼る前に拭き取る(電流が心臓へ届かない)。
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