A さん(58 歳)は筋萎縮性側索硬化症〈amyotrophic lateral sclerosis〉 〈ALS〉で在宅療養をしている。嚥下機能の低下が進行したため入院し、胃瘻の造設が検討されているが、経口摂取の継続を希 望している。 看護師が連携する職種で優先度が高いのはどれか。
公式正答:1
解説
筋萎縮性側索硬化症で嚥下機能が低下し、経口摂取の継続を希望する58歳患者について、看護師が連携する職種で優先度が高いものを問う。言語聴覚士である。
この問題で問われていること
職種ごとの専門の領域を、患者の課題と照らせるか。
しくみから理解する
言語聴覚士は、言語、聴覚、そして摂食嚥下の障害を専門とする職種になる。嚥下機能の評価(反復唾液嚥下テスト、水飲みテスト、嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査への参加)、訓練(間接訓練=食物を用いない訓練、直接訓練=食物を用いる訓練)、そして食形態と摂取方法の提案を担う。この患者は、嚥下機能の低下がありながら経口摂取の継続を希望しており、安全に食べ続ける方法を探ることが課題になる。したがって、言語聴覚士との連携が最も優先度が高い。
選択肢ごとの確認
作業療法士は、日常生活動作、上肢の機能、認知機能、そして社会参加を専門とする。食事の場面では、自助具の選択と、上肢の使い方の工夫を担う。この患者でも関わるが、嚥下機能そのものの評価と訓練は言語聴覚士の領域になる。
理学療法士は、基本的動作能力(起き上がり、立ち上がり、歩行)と、運動機能、そして呼吸理学療法を専門とする。この疾患では、呼吸機能の維持と排痰の支援で重要な役割を担うが、嚥下の課題への優先度は言語聴覚士に劣る。
介護支援専門員は、ケアプランの作成とサービスの調整を担う。この患者が介護保険のサービスを利用するなら関わるが、嚥下機能の評価と訓練という専門的な課題への対応は担わない。
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混同しやすいポイント
「いま解決すべき課題は何か」を特定し、それを専門とする職種を選ぶ、という考え方になる。誤肢はいずれも、この患者に関わる職種ではあるが、嚥下という課題に対しては専門が異なる。多職種連携の設問では、それぞれの職種が何を専門とするかを正確に持つことが前提になる。
理解を深める
筋萎縮性側索硬化症の在宅療養を整理する。疾患=運動ニューロンが選択的に障害され、全身の筋力低下と筋萎縮が進行する。上肢の脱力、下肢の脱力、あるいは球麻痺(構音障害、嚥下障害)で発症する。進行すると、呼吸筋が麻痺し、人工呼吸の選択が課題になる。四大陰性徴候として、眼球運動障害、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡が現れにくいことが知られる。すなわち眼球運動、膀胱直腸の機能、感覚が末期まで比較的保たれ、褥瘡もできにくい。ただし経過が長くなると、これらの徴候が現れることもある。認知機能は多くで保たれるが、前頭側頭型の認知機能低下を伴う例もある。多職種の役割=医師(診断、治療、意思決定の支援)、看護師(全身の管理、療養の調整、家族の支援)、言語聴覚士(嚥下、コミュニケーション)、理学療法士(呼吸理学療法、関節可動域、ポジショニング)、作業療法士(日常生活動作、自助具、意思伝達装置)、管理栄養士(栄養の評価と食形態)、歯科医師と歯科衛生士(口腔ケア)、社会福祉士と介護支援専門員(制度とサービス)、そして訪問介護員。意思決定の支援=胃瘻の造設、気管切開、人工呼吸の導入といった選択について、進行に先立って、繰り返し話し合う。この患者が経口摂取の継続を希望していることは尊重すべき意思であり、「危ないからやめる」ではなく、「どうすれば安全に続けられるか」を専門職とともに探ることが、看護の役割になる。少量でも味わうこと(お楽しみ程度の経口摂取)を、胃瘻と併用する方法もある。
間違えやすい考え方
職種の選択を問う型で、誤肢がいずれも関わるが専門が異なる職種である。いま解決すべき課題で切る。
5分で振り返る
①言語聴覚士は、言語、聴覚、摂食嚥下の障害を専門とする。②嚥下機能の評価(反復唾液嚥下テスト、水飲みテスト、嚥下造影・内視鏡検査)、訓練(間接訓練・直接訓練)、食形態と摂取方法の提案を担う。③作業療法士は日常生活動作、上肢の機能、自助具、意思伝達装置。④理学療法士は基本的動作能力、運動機能、呼吸理学療法。⑤介護支援専門員はケアプランの作成とサービスの調整。⑥筋萎縮性側索硬化症では、胃瘻、気管切開、人工呼吸の選択について進行に先立って繰り返し話し合う。⑦「危ないからやめる」ではなく「どうすれば安全に続けられるか」を専門職とともに探る。
1分チェック
- 嚥下機能の低下には。→ 言語聴覚士(摂食嚥下の評価と訓練)。
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