母体保護法に規定されているのはどれか。
公式正答:4
解説
母体保護法に規定されているものを問う。経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのある場合の人工妊娠中絶である。
この問題で問われていること
母性に関わる法律の守備範囲を区別できるか。
しくみから理解する
母体保護法は、母性の生命と健康を保護することを目的とし、不妊手術と人工妊娠中絶、そして受胎調節の実地指導について定める。人工妊娠中絶が認められるのは、①妊娠の継続または分娩が身体的または経済的な理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるとき、②暴行もしくは脅迫によって、または抵抗もしくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したとき、の2つの場合になる。実施できるのは都道府県の医師会が指定する医師(母体保護法指定医)に限られ、本人と配偶者の同意が必要になる。ただし条文により、配偶者が不明、意思を表示できない、あるいは妊娠後に死亡した場合は本人の同意のみでよい。さらに行政の解釈により、性犯罪・性暴力による妊娠の場合や、配偶者からの暴力によって婚姻関係が実質的に破綻している場合も、配偶者の同意を求める必要はないとされている。加害者の同意を求めることにならないよう、この点を落とさない。実施できる時期は、胎児が母体の外において生命を保続することのできない時期(妊娠22週未満)に限られる。
選択肢ごとの確認
産後の休業は、労働基準法に規定される。産後8週間は原則として就業させてはならない(産後6週間を経過し、本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務に就かせることは差し支えない)。
妊娠中の女性の危険有害業務の就業制限も、労働基準法に規定される。重量物を扱う業務、有害ガスを発散する場所での業務などが対象になる。
妊娠したことを理由とした不利益な取扱いの禁止は、男女雇用機会均等法に規定される。解雇、降格、減給、契約の更新の拒否などが該当し、いわゆるマタニティハラスメントの防止に関わる。
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混同しやすいポイント
誤肢はすべて労働に関わる法律(労働基準法、男女雇用機会均等法)の内容になる。母体保護法=不妊手術、人工妊娠中絶、受胎調節。労働基準法=産前産後の休業、育児時間、危険有害業務の制限、時間外・深夜業の制限。男女雇用機会均等法=不利益取扱いの禁止、母性健康管理の措置(健康診査を受ける時間の確保、指導事項を守るための措置)。育児・介護休業法=育児休業、子の看護休暇。この4つの切り分けが要点になる。
理解を深める
母性に関わる法と制度を整理する。母子保健法=母子健康手帳、健康診査、保健指導、新生児訪問指導、低出生体重児の届出、養育医療、母子健康包括支援センター、産後ケア事業。母体保護法=上記。労働基準法=産前6週間(多胎14週間)の休業(本人の請求による)、産後8週間の休業(原則として就業させてはならない)、育児時間(1日2回各30分)、妊産婦の時間外・休日・深夜業の制限(請求による)、軽易な業務への転換(請求による)、危険有害業務の就業制限、生理休暇。男女雇用機会均等法=母性健康管理の措置(保健指導・健康診査を受けるための時間の確保、医師等の指導事項を守るための勤務時間の変更、勤務の軽減。母性健康管理指導事項連絡カードが用いられる)、不利益取扱いの禁止、ハラスメントの防止。育児・介護休業法=育児休業(原則として子が1歳になるまで。保育所に入れない等の場合は最長2歳まで)、出生時育児休業(産後パパ育休)、子の看護休暇、時間外労働と深夜業の制限、短時間勤務。看護では、妊娠期から産後までの就労の継続を支えるため、これらの制度を知り、必要に応じて情報を提供することが役割になる。
間違えやすい考え方
根拠法令を問う型で、誤肢がすべて労働に関わる法律の内容である。4つの法律の守備範囲で切る。
5分で振り返る
①母体保護法=不妊手術、人工妊娠中絶、受胎調節の実地指導を定める。②人工妊娠中絶が認められるのは、身体的または経済的な理由により母体の健康を著しく害するおそれがある場合と、暴行等による妊娠の場合。③実施できるのは母体保護法指定医で、本人と配偶者の同意が必要。配偶者が不明・意思表示できない・死亡の場合は本人のみでよい(条文)。性犯罪・性暴力による妊娠や、配偶者からの暴力で婚姻関係が実質的に破綻している場合も、配偶者の同意を求める必要はない(行政の解釈)。④実施できるのは妊娠22週未満。⑤産前産後の休業、育児時間、危険有害業務の制限は労働基準法。⑥妊娠を理由とする不利益取扱いの禁止と母性健康管理の措置は男女雇用機会均等法。⑦育児休業と子の看護休暇は育児・介護休業法。
1分チェック
- 人工妊娠中絶を定めるのは。→ 母体保護法。
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