妊娠に伴う母体の生理的変化とその時期の組合せで正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
妊娠に伴う母体の生理的変化とその時期の組合せで正しいものを問う。循環血液量が最大になるのが妊娠32週ころ、である。
この問題で問われていること
変化の内容と、起こる時期を対応づけられるか。
しくみから理解する
妊娠中、循環血液量は増加し続け、妊娠30〜34週頃に最大となる。非妊時のおよそ1.3〜1.5倍に達する。この増加は、胎盤への血流を確保し、また分娩時の出血に備えるためのものになる。ただし、血漿の増加が赤血球の増加を上回るため、血液が希釈されて、見かけ上のヘモグロビン値とヘマトクリット値が下がる(水血症、生理的貧血)。心拍出量も同様に増え、心臓への負担が大きくなるため、心疾患のある妊婦ではこの時期に心不全を起こしやすい。
選択肢ごとの確認
体温は妊娠初期には低下せず、高温相が続く。黄体と、その後の胎盤から分泌されるプロゲステロンの作用による。妊娠12〜16週頃に胎盤が完成すると、体温は下がって低温相へ移行する。
乳房の緊満は、妊娠15週頃ではなく、妊娠のごく初期から始まる。妊娠5〜6週頃には乳房の緊満感と乳頭の過敏を自覚することが多く、妊娠の初期徴候の一つになる。乳腺の発達は妊娠を通じて進み、乳汁の分泌が本格化するのは産褥3〜5日頃になる。
つわりが軽減するのは妊娠11週頃ではなく、妊娠12〜16週頃になる。つわりは妊娠5〜6週頃に始まり、8〜10週頃に最も強くなり、12〜16週頃に軽減することが多い。11週はまだ症状が続いている時期にあたる。
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混同しやすいポイント
妊娠の経過を、週数の軸で整理して覚える。5〜6週=つわりの始まり、乳房の緊満。8〜10週=つわりのピーク。12〜16週=胎盤の完成、つわりの軽減、体温の低下。16〜20週=胎動の自覚(初産婦は20週前後、経産婦は16〜18週頃)。30〜34週=循環血液量が最大。36週以降=子宮底の下降(胎児の下降による)。誤肢は、いずれも時期が実際とずれている。
理解を深める
妊娠期の看護を整理する。妊婦健康診査の間隔=妊娠23週まで4週に1回、24〜35週は2週に1回、36週以降は1週に1回が標準になる。確認する項目=体重、血圧、尿検査(蛋白、糖)、子宮底長、腹囲、浮腫、そして胎児の状態(心拍、推定体重、羊水量、胎位)。主なマイナートラブルと対応=つわり(少量頻回、においを避ける、起床時に軽く食べる。水分もとれない場合は妊娠悪阻として受診)、便秘(水分、食物繊維、運動)、腰背部痛(姿勢、腹帯、体操)、下肢のこむら返り(ミネラル、ストレッチ、保温)、静脈瘤と浮腫(下肢の挙上、弾性ストッキング、長時間の立位を避ける)、頻尿、そして胸やけ(少量頻回、食後すぐ横にならない)。異常の徴候=性器出血、腹痛、頭痛、視覚の異常、著しい浮腫、体重の急な増加(妊娠高血圧症候群)、胎動の減少、破水感、そして発熱。これらがあれば直ちに受診するよう説明する。保健指導=栄養(葉酸、鉄、カルシウム。ビタミンAの過剰と、魚に含まれる水銀への注意)、体重の増加の目安(体格に応じて異なる)、禁煙と受動喫煙の回避、禁酒、感染の予防(風疹、トキソプラズマ、リステリア)、そして就労と休息の調整になる。
間違えやすい考え方
変化と時期の組合せを問う型で、誤肢がいずれも時期がずれている。週数の軸で整理して切る。
5分で振り返る
①循環血液量は妊娠30〜34週頃に最大となり、非妊時の1.3〜1.5倍に達する。②血漿の増加が赤血球の増加を上回るため、見かけ上のヘモグロビンとヘマトクリットが下がる(水血症)。③心疾患のある妊婦は、この時期に心不全を起こしやすい。④体温は妊娠初期に高温相が続き、胎盤が完成する12〜16週頃に低温相へ移行する。⑤乳房の緊満は妊娠5〜6週頃から自覚される。⑥つわりは5〜6週に始まり、8〜10週にピーク、12〜16週頃に軽減する。⑦妊婦健診の間隔=23週まで4週に1回、24〜35週は2週に1回、36週以降は1週に1回。
1分チェック
- 循環血液量が最大になるのは。→ 妊娠30〜34週頃(非妊時の1.3〜1.5倍)。
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