産褥期の生理的変化で正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
産褥期の生理的変化で正しいものを問う。児が乳頭を吸啜することによってオキシトシンが分泌される、である。
この問題で問われていること
吸啜刺激が引き起こすホルモンの反応を説明できるか。
しくみから理解する
児が乳頭を吸うと、その刺激が求心性の神経を通って視床下部へ伝わり、下垂体後葉からオキシトシンが分泌される。オキシトシンは、乳腺の筋上皮細胞を収縮させて乳汁を押し出す(射乳反射)とともに、子宮の平滑筋も収縮させる。このため、授乳中に後陣痛を感じることがあり、また子宮復古が促される。同時に、下垂体前葉からプロラクチンが分泌され、乳汁の産生が促される。授乳の回数と吸啜の刺激が多いほど、これらの分泌が保たれるため、頻回の授乳が母乳の分泌と子宮復古の両方を助ける。
選択肢ごとの確認
子宮が非妊時の大きさに戻るのは、分娩後約2週ではなく、約6〜8週(産褥6〜8週)になる。子宮底は、分娩直後に臍高、産褥1日で臍高から臍下1横指、以後1日約1横指ずつ下降し、産褥10日前後で腹壁から触れなくなる。ただし、子宮の大きさと重さが非妊時に戻るには、さらに時間を要する。
分娩後の尿量は減少せず、一時的に増加する。妊娠中に貯留していた水分が、分娩後に不要となって排泄されるためになる。産褥2〜5日頃に多尿がみられ、あわせて発汗も増える(産褥時発汗)。これにより、妊娠中に増えた体液が体外へ出ていく。
プロゲステロンは増加せず、急激に減少する。胎盤が娩出されることで、胎盤由来のエストロゲンとプロゲステロンが急減する。この急激な変化が、乳汁の分泌の開始(プロラクチンの作用が発揮されるようになる)と、マタニティブルーズの一因になると考えられている。
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混同しやすいポイント
誤肢は、期間、尿量の方向、そしてホルモンの方向という3点で誤っている。「胎盤が出ることで、妊娠を維持していたホルモンが急に減る」「貯留していた水分が出ていく」「吸啜がオキシトシンとプロラクチンを引き出す」という3つの流れを押さえると、産褥期の変化の多くが説明できる。
理解を深める
産褥期の経過を整理する。子宮復古=子宮底の高さと硬度、悪露の量と性状で評価する。悪露は、赤色(産褥1〜3日)→褐色(4〜9日)→黄色(10日〜2週間)→白色(3〜6週間)と変化する。復古が遅れる要因=多胎、羊水過多、巨大児、多産、子宮筋腫、胎盤や卵膜の遺残、膀胱の充満、そして授乳をしていないこと。乳汁=初乳(産褥1〜5日。免疫グロブリンAと蛋白質に富み、黄色で粘稠)→移行乳(6〜10日)→成乳(10日以降)。全身=体重は分娩直後に5〜6kg減り、その後も利尿と発汗により減少する。循環血液量は産褥2〜3日で一時的に増え(子宮からの血液の還流)、その後減少する。この時期は心臓への負担が大きい。血液の凝固能は亢進しており、深部静脈血栓症のリスクが高いため、早期離床と下肢の運動が重要になる。月経の再開=授乳をしていない場合は産褥6〜8週頃、授乳中は延びる(授乳が排卵を抑えるが、確実な避妊法ではない)。心理=マタニティブルーズ(産褥3〜10日、一過性)と産後うつ病(2週間以上続く、児への関心の喪失、希死念慮)を区別し、後者は専門的な対応につなぐ。エジンバラ産後うつ病自己評価票などが用いられる。
間違えやすい考え方
産褥期の変化を問う型で、誤肢が期間・尿量・ホルモンの方向で誤っている。胎盤の娩出を起点に考える。
5分で振り返る
①吸啜刺激→視床下部→下垂体後葉からオキシトシン。射乳反射と子宮収縮を起こす(後陣痛、子宮復古)。②同時に下垂体前葉からプロラクチンが分泌され乳汁の産生が促される。③頻回の授乳が母乳の分泌と子宮復古の両方を助ける。④子宮が非妊時に戻るのは産褥6〜8週。子宮底は産褥10日前後で腹壁から触れなくなる。⑤分娩後は一時的に尿量が増える(産褥2〜5日の多尿と発汗)。⑥胎盤の娩出によりエストロゲンとプロゲステロンが急減する。これが乳汁分泌の開始とマタニティブルーズに関わる。⑦産褥期は凝固能が亢進しており、深部静脈血栓症のリスクが高い。
1分チェック
- 吸啜刺激で分泌されるのは。→ オキシトシン(射乳と子宮収縮)とプロラクチン(乳汁産生)。
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