精神病床に入院し、身体的拘束が必要となる攻撃性の高い精神疾患患者のケアで 正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
精神病床に入院し、身体的拘束が必要となる攻撃性の高い患者のケアで正しいものを問う。心的外傷(トラウマ)体験を想定して支援を行うことである。
この問題で問われていること
攻撃性の背景をどう理解するかを判断できるか。
しくみから理解する
攻撃性の高い患者の背景には、過去の心的外傷の体験があることが少なくない。虐待、暴力、性被害、災害、そして医療の場での強制的な体験(過去の拘束や隔離)などが、恐怖と不信を残し、些細な刺激で強い反応を引き起こすことがある。この理解に立って関わることをトラウマインフォームドケアという。①トラウマの広がりを知る、②その影響を認識する、③知識を実践に取り込む、④再びトラウマを与えることを避ける、という4つの要素からなる。身体的拘束そのものが新たな心的外傷になりうるため、この視点はとくに重要になる。
選択肢ごとの確認
暴力行為に及んだ場合に積極的に反省を促すことは適切でない。反省を求めることは、その行為が意思による選択であったという前提に立つが、多くの場合、症状、恐怖、そして混乱の結果として生じている。責めることは、恥と自責を強め、関係を損ない、そして再発を防ぐことにもならない。必要なのは、何が引き金となったかを一緒に振り返り、次にどうするかを考えることになる。
攻撃性が収まるまで疾患や治療の教育を避けることも適切でない。むしろ、何が起きているのか、なぜこの対応をとっているのか、いつまで続くのかを、分かる形で繰り返し伝えることが、不安と混乱を減らす。理解できないまま拘束されることが、恐怖と抵抗を強める。
拘束が解除されてから病棟のスケジュールを説明することも遅い。拘束中であっても、これから何が行われるか、1日がどう進むかを伝えることは、見通しを与え、安心につながる。情報を与えないことは、無力感を深める。
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混同しやすいポイント
誤肢は、責めること、そして情報を与えないことに共通する。いずれも、患者を「対応の対象」として扱い、理解し合う相手として扱っていない。行動制限を行う場面ほど、説明と関わりが重要になる、という逆説的な原則が要点になる。
理解を深める
精神科における行動制限と、その最小化を整理する。法的な枠組み=精神保健福祉法により、隔離(12時間を超える場合)と身体的拘束は、精神保健指定医の判断による。実施中は、頻回の観察(身体的拘束では原則として常時の観察)と記録が求められる。理由、開始と終了の日時、そして解除に向けた検討を記録する。身体的な危険=深部静脈血栓症と肺塞栓症(最も重篤。十分な補液、下肢の運動、そして早期の解除が基本になる。弾性ストッキングと間欠的空気圧迫法は危険度に応じて選び、末梢動脈疾患、下肢の皮膚障害、著しい浮腫や変形がある場合には用いない)、褥瘡、関節拘縮、筋力低下、誤嚥、脱水、感染、そして排泄の問題。心理的な影響=恐怖、屈辱、無力感、怒り、不信、そして心的外傷。行動制限の最小化=①予防(早期に興奮の徴候を捉える、環境を調整する、刺激を減らす、要求を聞く)、②ディエスカレーション(落ち着いた声、距離、姿勢、選択肢の提示による段階的な鎮静化)、③代替の方法(見守り、付き添い、静穏な場所への移動、薬物療法)、④実施する場合も最小限・最短で、⑤解除後の振り返り(患者と職員の双方で、何が起きたかを話し合う)。組織としての取り組み=行動制限最小化委員会の設置、実施状況の把握、そして職員への教育。数を減らすこと自体が目的ではなく、その人の尊厳と安全の両方を守る方法を探し続けることが目的になる。
間違えやすい考え方
ケアを問う型で、誤肢が責めることと情報を与えないことである。行動制限の場面ほど説明と関わりが重要になる。
5分で振り返る
①攻撃性の背景には、虐待、暴力、性被害、過去の強制的な医療体験といった心的外傷があることが少なくない。②トラウマインフォームドケア=トラウマの広がりを知る、影響を認識する、知識を実践に取り込む、再びトラウマを与えることを避ける。③身体的拘束そのものが新たな心的外傷になりうる。④暴力行為への反省の要求は、恥と自責を強め、再発の防止にもならない。引き金を一緒に振り返る。⑤拘束中こそ、何が起きているか、いつまで続くかを繰り返し伝える。⑥拘束中の身体的な危険=深部静脈血栓症と肺塞栓症、褥瘡、拘縮、誤嚥、脱水。⑦最小化=予防、ディエスカレーション、代替の方法、最小限・最短、そして解除後の振り返り。
1分チェック
- 攻撃性の高い患者のケアは。→ 心的外傷の体験を想定して支援する(トラウマインフォームドケア)。
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