A さん(70 歳、男性)は神経因性膀胱〈neurogenic bladder〉 のため、膀胱留置カテーテルを挿入し在宅療養を開始することになった。 A さんが行う膀胱留置カテーテルの管理で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
神経因性膀胱のため膀胱留置カテーテルを挿入して在宅療養を開始する70歳男性が行う管理を問う。外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄することである。
この問題で問われていること
在宅での実行のしやすさと、感染予防の原則を両立できるか。
しくみから理解する
外出の前に蓄尿バッグの尿を廃棄しておくと、バッグが軽くなって持ち運びやすく、また外出中に満杯になって逆流する危険も減る。バッグは常に膀胱より低い位置に保つ必要があるが、尿が溜まった状態では重く、位置を保ちにくい。廃棄は、排液口を清潔に扱い(床や容器に触れさせない)、廃棄した後は排液口を消毒するか、清潔なまま閉じる。日常的にも、バッグの容量の3分の2程度に達したら廃棄することが目安になる。
選択肢ごとの確認
カテーテルは大腿の内側ではなく、男性では下腹部(腹壁)へ固定する。尿道の走行に沿って上向きに固定することで、陰茎陰囊角にかかる圧を避け、尿道皮膚瘻と潰瘍を防ぐ。女性では大腿部へ固定する。固定する際は、引っ張られないよう、たるみを持たせる。
蓄尿バッグに遮光カバーをかぶせることは、必須ではない。遮光が必要なのは、光で分解される薬剤の輸液など、別の場面になる。ただし、尿バッグが人目に触れることへの羞恥心に配慮して、カバーを用いることはある。その場合も、尿の色と量を観察できるよう、確認の際には外す。感染予防の観点から必要なものではない。
在宅では、接続を外す場面がある。外出や入浴の際に、小型の脚用バッグへ交換するためになる。したがって「外さない」と一律に指導することは、生活を狭めることになる。感染を防ぐために閉鎖式の回路を保つことは原則だが、交換が必要なときは、接続部を消毒し、手指衛生を行ったうえで清潔に操作する方法を指導する。
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混同しやすいポイント
在宅の管理では、①感染を防ぐ、②実行しやすい、③生活を狭めない、の3つを満たす方法を選ぶ。外出前の廃棄は、この3つを満たす。誤肢のうち、固定部位が男女で異なる点と、遮光は感染予防のために必要でない点を押さえる。閉鎖式の回路を保つことは在宅でも原則で、接続を外すたびに尿路感染の危険が上がる。入浴は接続を外さずに行え、脚用バッグへの交換が必要な場合も、接続部を消毒したうえで清潔操作により短時間で行う。病院の手順をそのまま在宅へ持ち込まない、という視点がこの設問の要点になる。
理解を深める
膀胱留置カテーテルの管理を整理する。感染予防=①閉鎖式の回路を保つ、②バッグを膀胱より低く保ち、床につけない、③排液口を清潔に扱う、④十分な水分摂取(1日1,500mL程度を目安に、心腎機能に応じて)、⑤陰部の清潔(1日1回の洗浄)、⑥感染の予防を目的とした定期的な交換や膀胱洗浄は行わない。交換の適応は、閉塞(結石、血塊、屈曲)、閉鎖式回路が破られた場合、尿漏れ、結石の付着、破損、感染の治療のために長期留置のカテーテルを入れ替える場合であり、あわせて製品ごとに定められた留置期間の上限に従う、⑦毎日、留置の必要性を評価する。合併症=尿路感染、尿道損傷と尿道皮膚瘻、閉塞(結石、血塊、屈曲)、膀胱結石、そして長期の留置による膀胱の萎縮と尿道の損傷。観察=尿の量、色、混濁、浮遊物、におい、血尿、そして発熱と側腹部痛(腎盂腎炎)。生活=外出、入浴(閉鎖式の回路を保ったままシャワー浴ができる。脚用バッグへの交換は必要な場合に清潔操作で行うもので、外出や入浴のたびに接続を外す手順ではない)、そして就労。カテーテルがあることで活動を過度に制限しないよう支援する。代替の方法=間欠的自己導尿は、感染のリスクが低く、膀胱の機能も保たれるため、実施できる人には優れた方法になる。手指の巧緻性、視力、認知機能、そして意欲を評価して導入を検討する。神経因性膀胱では、原疾患と排尿の型(蓄尿の障害か、排出の障害か)に応じて、薬物療法と導尿を組み合わせる。
間違えやすい考え方
在宅の管理を問う型で、誤肢に固定部位の誤りと不要な手技が含まれる。感染予防と実行のしやすさで切る。
5分で振り返る
①外出前に尿を廃棄すると、持ち運びやすく、満杯による逆流も防げる。日常はバッグの3分の2程度で廃棄する。②バッグは常に膀胱より低く保ち、床につけない。③カテーテルの固定は、男性は下腹部(尿道の走行に沿って上向き)、女性は大腿部。男性で大腿へ固定すると陰茎陰囊角に圧がかかり尿道皮膚瘻を招く。④遮光は感染予防のために必要なものではない。⑤閉鎖式の回路を保つ。排液口は清潔に扱う。⑥感染の予防を目的とした定期的な交換と膀胱洗浄は効果がなく、原則として行わない。ただし交換を要する場面はある。閉塞、尿漏れ、結石の付着、破損、閉鎖式回路が破られたとき、感染の治療にあたり長期留置のものを入れ替えるとき、そして製品ごとに定められた留置期間の上限に達したときになる。⑦間欠的自己導尿は感染のリスクが低く、実施できる人には優れた方法になる。
1分チェック
- 外出の前は。→ 蓄尿バッグの尿を廃棄する(軽くして逆流も防ぐ)。
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