災害時の医療を支える体制で正しいのはどれか。
公式正答:2
解説
災害医療について正しいものを問う。災害対策基本法に防災計画の作成が規定されている、である。
この問題で問われていること
災害に関わる法と組織の役割を区別できるか。
しくみから理解する
災害対策基本法は、国、都道府県、市町村、そして指定行政機関等の責務を定め、防災計画の作成を規定する。中央防災会議が防災基本計画を、指定行政機関等が防災業務計画を、都道府県と市町村の防災会議が地域防災計画をそれぞれ作成する。この法律は、伊勢湾台風を契機として昭和36年(1961年)に制定され、災害の予防、応急対策、復旧、そして財政金融措置までを包括的に定める、日本の災害対策の基本となる法律になる。
選択肢ごとの確認
地域災害拠点病院を指定するのは市町村ではなく、都道府県知事になる。基幹災害拠点病院は原則として都道府県に1か所、地域災害拠点病院は二次医療圏ごとに1か所を目安に整備される。指定の要件には、24時間の緊急対応、重篤救急患者の受け入れ、災害派遣医療チームの保有、耐震構造、自家発電と受水槽の備え、そして備蓄が含まれる。
トリアージは、救命困難な患者の治療を優先するために行うものではない。限られた人員と資源の中で、緊急度(どれだけ早く処置を要するか)、重症度、救命の可能性を合わせて順位をつけ、助かる人を最大限に増やすことが目的になる。最優先治療群(赤)は、生命に危険が及ぶが直ちに処置すれば救命できる者を指し、救命の可能性そのものは高い軽症の緑よりも先に扱う。状態は時間とともに変わるため、繰り返し評価する。救命が困難と判断された人は、死亡群(黒・0)として、治療の優先順位が下がる。日常の医療とは考え方が異なる点が、災害医療の特徴になる。
災害派遣医療チーム(DMAT)は、精神科医療と精神保健活動を専門とするチームではない。急性期(おおむね発災から48時間以内に活動を開始する)に、被災地で救命と医療を行う機動性のあるチームになる。精神科医療と精神保健活動を専門とするのは、災害派遣精神医療チーム(DPAT)になる。名称が似ているため取り違えやすい。
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混同しやすいポイント
誤肢のうち、トリアージの目的と、2つのチームの区別が要点になる。トリアージは「助かる人を最大限に増やす」ための仕組みであり、「重症の人を優先する」という日常の感覚とは異なる。また、DMATとDPATの取り違えは頻出になる。DMAT=急性期の救命と医療、DPAT=精神科医療とこころのケア、と対応づける。
理解を深める
災害に関わる法と組織を整理する。災害対策基本法=防災計画、災害対策本部、避難行動要支援者名簿、個別避難計画。災害救助法=一定規模以上の災害で適用され、避難所の設置、応急仮設住宅、食品と飲料水の給与、医療と助産、被災者の救出などの救助を都道府県知事が行う。被災者生活再建支援法=住宅が全壊した世帯等への支援金。災害弔慰金の支給等に関する法律。組織=DMAT(災害派遣医療チーム。急性期の救命と医療、広域医療搬送、病院の支援)、DPAT(災害派遣精神医療チーム。精神科医療の継続と、こころのケア)、DHEAT(災害時健康危機管理支援チーム。被災自治体の保健医療調整の支援)、JMAT(日本医師会災害医療チーム)、そして日本赤十字社の救護班。災害拠点病院=重篤救急患者の受け入れ、広域医療搬送、DMATの派遣、そして地域の医療機関への支援を担う。基幹災害拠点病院が原則として都道府県に1か所、地域災害拠点病院が二次医療圏ごとに1か所整備される。広域災害救急医療情報システム(EMIS)=災害時に医療機関の被災状況と受け入れの可否を共有する仕組みになる。災害サイクル=発災、超急性期、急性期、亜急性期、慢性期、静穏期(準備期)に分けて、それぞれの時期に必要な看護を考える。
間違えやすい考え方
制度を問う型で、誤肢がトリアージの目的の誤りとチームの取り違えである。DMATとDPATの対応で切る。
5分で振り返る
①災害対策基本法は、国と自治体等の責務と防災計画の作成を規定する。中央防災会議が防災基本計画、都道府県と市町村の防災会議が地域防災計画を作成する。②トリアージの目的は、緊急度・重症度・救命の可能性と資源の制約を合わせて順位をつけ、助かる人を最大限に増やすこと。救命が困難な人の治療を優先するものではない。最優先治療群(赤)は、生命に危険が及ぶが直ちに処置すれば救命できる者。状態は変わるため繰り返し評価し、どの区分の人にも人としての手当てを行う。③DMAT(災害派遣医療チーム)=急性期の救命と医療、広域医療搬送、病院の支援。④DPAT(災害派遣精神医療チーム)=精神科医療の継続とこころのケア。⑤DHEAT=被災自治体の保健医療調整の支援。⑥災害救助法により、避難所の設置、応急仮設住宅、医療と助産などの救助を都道府県知事が行う。⑦災害拠点病院は、基幹が原則として都道府県に1か所、地域が二次医療圏ごとに1か所。
1分チェック
- 防災計画の作成を定めるのは。→ 災害対策基本法。
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