細菌が体内に初めて侵入したときに最初に産生される免疫グロブリンはどれか。
公式正答:5
解説
細菌が体内に初めて侵入したときに最初に産生される免疫グロブリンを問う。IgMである。
この問題で問われていること
5種類の免疫グロブリンの働きを区別できるか。
しくみから理解する
抗原が初めて体内に入ると、B細胞が反応して抗体を産生する(一次応答)。このとき最初に作られるのがIgMになる。IgMは5量体の大きな分子で、補体を活性化する能力が高く、感染の初期に働く。その後、クラススイッチが起こってIgGが産生されるようになり、IgGが主体となって長く維持される。同じ抗原に再び曝露されると、記憶B細胞により、速やかに大量のIgGが産生される(二次応答)。したがって反応の型としては、IgMの上昇が最近の感染(急性期)を、IgGの上昇が既往の曝露または再感染を示す。ただし実際の診断は、この型だけでは決まらない。IgGはワクチン接種によっても上昇し、IgMは検査法によって非特異的に陽性となることや、感染後に長く残ることがある。接種歴、検査法、そして採血の時期を合わせて解釈する。
選択肢ごとの確認
IgAは、分泌型として、唾液、涙液、鼻汁、腸液、そして母乳(とくに初乳)に含まれ、粘膜面での防御を担う。血中にも存在する。
IgDは、B細胞の表面に存在し、B細胞の分化と活性化に関わるとされるが、機能の詳細はまだ十分に解明されていない。血中の濃度は非常に低い。
IgEは、肥満細胞と好塩基球の表面に結合し、アレルゲンと結合すると、これらの細胞からヒスタミンなどが放出されて、Ⅰ型アレルギー反応を起こす。また、寄生虫の感染にも関わる。血中の濃度は最も低い。
IgGは、血中の免疫グロブリンの中で最も多く(およそ7〜8割)、胎盤を通過できる唯一の種類になる。これにより、母体から胎児へ移行し、出生後しばらくの間、新生児を守る(移行抗体)。移行抗体そのものは出生時が最も高く、その後は減衰し続けて生後6か月頃までにほぼ消失する。一方、母体由来の減衰と自己産生の増加を合わせた血中IgGの総量は、生後3〜6か月頃に最も低くなり(生理的低ガンマグロブリン血症)、その後は自分で作る抗体が増えて上昇に転じる。
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混同しやすいポイント
5種類の特徴を、一つずつの語で覚える。IgM=最初、大きい、補体。IgG=最多、胎盤を通過、二次応答。IgA=分泌、粘膜、母乳。IgE=アレルギー、寄生虫。IgD=B細胞の表面、機能は不明な点が多い。誤肢のうち、IgGとの区別がとくに重要で、「最初に作られるのはIgM、その後の主体はIgG」という順序を押さえる。
理解を深める
免疫の仕組みを整理する。自然免疫=生まれつき備わっている防御。物理的・化学的バリア(皮膚、粘膜、線毛、胃酸、リゾチーム)、食細胞(好中球、マクロファージ)、ナチュラルキラー細胞、そして補体。抗原の種類を問わず、速やかに働くが、記憶は残らない。獲得免疫=抗原に特異的に反応する防御。液性免疫(B細胞と抗体)と細胞性免疫(T細胞)に分かれる。反応までに時間がかかるが、特異性が高く、記憶が残る。T細胞=ヘルパーT細胞(免疫の司令塔。CD4陽性。ヒト免疫不全ウイルスの標的)、細胞傷害性T細胞(CD8陽性。ウイルス感染細胞と腫瘍細胞を破壊する)、制御性T細胞(過剰な反応を抑える)。予防接種=生ワクチンは自然感染に近い形で強い免疫を作り、不活化ワクチンは複数回の接種で免疫を高める。トキソイドは、毒素を無毒化したもの(ジフテリア、破傷風)。受動免疫=抗体そのものを与える方法(免疫グロブリン製剤、母体からの移行抗体、母乳のIgA)。効果は速いが持続しない。看護では、易感染状態にある患者(好中球減少、免疫抑制薬、脾臓の摘出後、高齢、低栄養)を把握し、感染の予防と早期の発見に努める。
間違えやすい考え方
免疫グロブリンの種類を問う型で、誤肢がそれぞれ別の役割を担う。一語ずつの特徴で覚えて切る。
5分で振り返る
①IgM=一次応答で最初に作られる。5量体で大きく、補体を活性化する能力が高い。上昇は最近の感染を示す。②IgG=血中で最多(7〜8割)。胎盤を通過できる唯一の種類(移行抗体)。二次応答の主体。反応の型としてはそうなるが、実際の診断では、IgGの上昇はワクチン接種によるものを含むため、接種歴・検査法・採血の時期を合わせて解釈する。IgMも検査法によっては非特異的に陽性となり、感染後に長く残ることがある。③IgA=分泌型として唾液、涙液、腸液、母乳(初乳)に含まれ、粘膜面を守る。④IgE=肥満細胞に結合し、Ⅰ型アレルギーと寄生虫の感染に関わる。血中濃度は最も低い。⑤IgD=B細胞の表面に存在。機能は未解明な点が多い。⑥母体から移行したIgGは出生時が最も高く、その後は減衰し続けて生後6か月頃までにほぼ消失する。生後3〜6か月頃に最も低くなるのは、移行抗体の減衰と自己産生の増加を合わせた血中IgGの総量である(生理的低ガンマグロブリン血症)。⑦自然免疫は速いが記憶がなく、獲得免疫は遅いが特異的で記憶が残る。
1分チェック
- 初感染で最初に作られる抗体は。→ IgM(その後の主体はIgG)。
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