全身性エリテマトーデス systemic lupus erythematosus 〈SLE〉でプレドニゾロンを長期間服用している成人女性 の患者で、血中濃度が顕著に低下しているのはどれか。
公式正答:5
解説
全身性エリテマトーデスでプレドニゾロンを長期間服用している成人女性で、血中濃度が顕著に低下しているものを問う。副腎皮質刺激ホルモンである。
この問題で問われていること
負のフィードバックの仕組みを説明できるか。
しくみから理解する
副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌は、視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、下垂体前葉から副腎皮質刺激ホルモンという経路で調節される。血中のコルチゾールが増えると、視床下部と下垂体へ負のフィードバックがかかり、これらの分泌が抑えられる。プレドニゾロンは合成の副腎皮質ホルモンであり、外から与えられることで、体はコルチゾールが十分にあると判断する。その結果、副腎皮質刺激ホルモンの分泌が抑えられ、血中濃度が低下する。長期に続くと、副腎そのものが萎縮し、自分でコルチゾールを作る力が落ちる(続発性副腎皮質機能低下症)。
選択肢ごとの確認
インスリンは低下しない。副腎皮質ホルモンは、糖新生を促し、末梢での糖の利用を抑えるため、血糖が上がる。それに応じて、インスリンの分泌はむしろ増える(インスリン抵抗性の状態)。ステロイド糖尿病の背景になる。
甲状腺ホルモンは、大きくは変化しない。高用量のステロイドは、甲状腺刺激ホルモンの分泌をやや抑えることがあるが、顕著な低下として問われるものではない。
エストラジオールも、この文脈で顕著に低下するものではない。ただし、疾患そのものや薬剤の影響で月経が乱れることはある。
副甲状腺ホルモンは、むしろ上昇しうる。副腎皮質ホルモンは、腸管からのカルシウムの吸収を抑え、腎での排泄を増やすため、血中カルシウムが下がる傾向になる。これに反応して副甲状腺ホルモンの分泌が増えることがある。いずれにせよ顕著に低下するものではないため、この選択肢は誤りになる。なおステロイド性骨粗鬆症の主な機序は、骨芽細胞の分化が抑えられ、骨芽細胞と骨細胞のアポトーシスが進むことによる骨形成の低下であり、副甲状腺ホルモンの上昇によるものではない。
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混同しやすいポイント
「外から入れると、内側の分泌が抑えられる」という負のフィードバックの原則で判断できる。誤肢のうち、インスリンと副甲状腺ホルモンは、いずれも低下する方向ではない。インスリンは血糖の上昇に反応して増え、副甲状腺ホルモンはカルシウムの低下に反応して増えうる。ホルモンの設問では、経路と方向を図として持っておくことが有効になる。
理解を深める
ステロイドの長期使用に伴う課題を整理する。急な中止の危険=副腎が萎縮しているため、突然中止すると、コルチゾールが不足して離脱症状(倦怠感、悪心・嘔吐、食欲不振、低血圧、低血糖、発熱、そしてショック=副腎クリーゼ)を起こす。必ず漸減する。患者には、自己判断で中止しないこと、そして手術、外傷、感染、下痢といったストレスがかかる場面では増量が必要になること(ステロイドカバー)を説明する。ステロイド性骨粗鬆症=骨形成の抑制、骨吸収の亢進、カルシウムの吸収の低下、そして性ホルモンの低下により生じる。予防として、ビスホスホネート製剤、カルシウムとビタミンDの摂取、そして運動を行う。感染=易感染性になり、また炎症の反応が抑えられるため、感染しても発熱と痛みが目立たず、発見が遅れる。結核の再燃、日和見感染にも注意する。その他=満月様顔貌、中心性肥満、皮膚の菲薄化と皮膚線条、ざ瘡、多毛、高血糖、高血圧、低カリウム血症、消化性潰瘍、白内障と緑内障、精神症状(不眠、気分の変動、まれに精神病症状)、そして大腿骨頭壊死。看護=服薬の継続の支援、副作用の観察、感染の予防、骨の保護、体重と血圧の測定、そして外見の変化への心理的な支援。ステロイドカードを携帯してもらうことも、緊急時の対応につながる。
間違えやすい考え方
ホルモンの変化を問う型で、誤肢が上昇する方向のものと変化しないものである。負のフィードバックで切る。
5分で振り返る
①コルチゾールの分泌は、視床下部→下垂体前葉→副腎という経路で調節され、血中濃度が上がると負のフィードバックがかかる。②プレドニゾロンを外から与えると、副腎皮質刺激ホルモンの分泌が抑えられ、血中濃度が低下する。③長期に続くと副腎が萎縮し、続発性副腎皮質機能低下症になる。④急な中止は副腎クリーゼ(倦怠感、嘔吐、低血圧、低血糖、ショック)を招く。必ず漸減する。⑤手術、外傷、感染などのストレス時には増量が必要(ステロイドカバー)。⑥ステロイドは血糖を上げるためインスリンの分泌は増える。⑦カルシウムの吸収低下により副甲状腺ホルモンは上昇しうるが、顕著に低下することはない。ステロイド性骨粗鬆症の主な機序は、骨形成の低下(骨芽細胞の分化抑制とアポトーシスの亢進)になる。
1分チェック
- ステロイドの長期服用で低下するのは。→ 副腎皮質刺激ホルモン(負のフィードバック)。
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