プリン体の代謝産物である尿酸で正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
プリン体の代謝産物である尿酸で正しいものを問う。下肢末端は温度が下がるので結晶化しやすい、である。
この問題で問われていること
尿酸の性質から、痛風発作の好発部位を導けるか。
しくみから理解する
尿酸は、温度が低いほど溶けにくくなる。四肢の末端、とくに足は、体幹から離れており血流も少ないため、深部体温より温度が低い。そのため、血中で飽和に近い状態にある尿酸が、この部位で析出して結晶(尿酸ナトリウム結晶)を作りやすい。結晶が関節内に沈着し、それを白血球が貪食することで急性の炎症が起こる。これが痛風発作になり、第1中足趾節関節(足の親指の付け根)が最も多い好発部位になる。突然の激しい痛み、発赤、腫脹、熱感を伴い、夜間から明け方に始まることが多い。
選択肢ごとの確認
男性ホルモンは、尿酸の腎からの排泄を増加させない。むしろ、女性ホルモン(エストロゲン)に尿酸の排泄を促す働きがあり、そのため閉経前の女性では高尿酸血症が少ない。男性に痛風が圧倒的に多いのは、この差によるところが大きい。閉経後は女性でも増える。
激しい運動では、尿酸の産生は減少せず、増加する。無酸素運動により筋のATPが分解され、その代謝産物であるプリン体から尿酸が作られる。加えて、発汗による脱水で尿量が減り、排泄も減る。したがって、激しい運動は発作の誘因になる。有酸素運動は勧められるが、無酸素の激しい運動は避ける。
利尿薬は尿酸の排泄を増やさず、むしろ減らす。サイアザイド系とループ利尿薬は、近位尿細管で尿酸と競合し、再吸収を促すため、血中尿酸値を上げる。高血圧の治療で用いられることが多く、薬剤性の高尿酸血症の主な原因になる。
尿酸は肝臓で分解されない。ヒトは、尿酸をさらに分解する酵素(ウリカーゼ)を持たないため、尿酸が最終代謝産物になる。産生された尿酸は、約3分の2が腎から尿へ、約3分の1が腸管から排泄される。他の多くの哺乳類はウリカーゼを持ち、尿酸をより水に溶けやすいアラントインへ分解する。
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混同しやすいポイント
誤肢は、ホルモンの作用の方向、運動の影響、薬剤の作用、そして代謝の経路という4点で誤っている。「尿酸はヒトでは最終代謝産物」「温度が低いと結晶化する」「排泄が減ると溜まる」という3点を押さえると、多くが判断できる。とくに、利尿薬が尿酸値を上げるという点は、実務でも重要になる。
理解を深める
高尿酸血症と痛風の管理を整理する。定義=血清尿酸値7.0mg/dLを超える状態を高尿酸血症という(性別と年齢を問わない)。病型=尿酸産生過剰型、尿酸排泄低下型、そして混合型。日本人では排泄低下型が多い。合併=メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病、そして尿路結石。痛風発作の対応=発作中は尿酸降下薬を新たに開始しない(尿酸値の急な変動が発作を悪化させる)。既に服用中であれば継続する。非ステロイド性抗炎症薬、コルヒチン、または副腎皮質ステロイドで炎症を抑える。患部を安静にし、冷却し、挙上する。マッサージと温めることは逆効果になる。生活の指導=①水分を十分にとる(1日2,000mL程度の尿量を目安に)、②プリン体の多い食品(レバー、白子、干物、あん肝、煮干し)を控える。魚卵は種類による差が大きく、いくらと数の子は実測のプリン体含量が低い部類、たらこは中程度であるため、一括して避けさせない(塩分や熱量の助言はこれとは分けて行う)、③アルコールを控える(とくにビール。ただしアルコール自体が尿酸値を上げるため、種類を問わず量を減らす)、④果糖を含む清涼飲料水を控える、⑤肥満の解消、⑥適度な有酸素運動、⑦尿をアルカリ化する食品(野菜、海藻)を摂る。薬物療法=産生過剰型にはアロプリノールやフェブキソスタット、排泄低下型にはベンズブロマロンなどを用いる。
間違えやすい考え方
尿酸の性質を問う型で、誤肢がホルモン・運動・薬剤・代謝の方向で誤っている。3つの原則で切る。
5分で振り返る
①尿酸は温度が低いほど溶けにくく、四肢末端で結晶化しやすい。痛風発作は第1中足趾節関節が最多。②エストロゲンには尿酸の排泄を促す働きがあり、閉経前の女性では高尿酸血症が少ない。③激しい無酸素運動は尿酸の産生を増やし、脱水で排泄も減るため発作の誘因になる。④サイアザイド系とループ利尿薬は尿酸の再吸収を促し、尿酸値を上げる。⑤ヒトはウリカーゼを持たず、尿酸が最終代謝産物になる。約3分の2が腎、約3分の1が腸管から排泄される。⑥発作中は尿酸降下薬を新たに開始しない。患部は安静・冷却・挙上(温めない)。⑦高尿酸血症の定義は血清尿酸値7.0mg/dL超。日本人では排泄低下型が多い。
1分チェック
- 尿酸が下肢末端で結晶化しやすいのは。→ 温度が低いため(溶解度が下がる)。
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