成人に経鼻経管栄養の胃管を挿入する方法で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
成人に経鼻経管栄養の胃管を挿入する方法で適切なものを問う。胃管が咽頭に達したら嚥下を促す、である。
この問題で問われていること
解剖学的な位置関係から、手技の理由を導けるか。
しくみから理解する
咽頭では、前方に喉頭(気管へ続く)、後方に食道が位置する。嚥下すると、喉頭が挙上して喉頭蓋が気管の入口を塞ぎ、同時に食道の入口(上部食道括約筋)が開く。この瞬間に胃管を進めると、気管へ迷入せず食道へ入りやすくなる。したがって、胃管の先端が咽頭に達したところで、患者に嚥下してもらい、それに合わせて進める。意識のある患者では、少量の水を飲んでもらう方法もとられる(誤嚥のリスクを評価したうえで)。
選択肢ごとの確認
無菌操作では行わない。鼻腔、咽頭、そして消化管は、いずれも無菌の部位ではないため、清潔操作(未滅菌の手袋、標準予防策)で足りる。
体位は仰臥位ではなく、坐位または半坐位(30〜45度程度の挙上)にする。上体を起こすことで、解剖学的に胃管が食道へ入りやすくなり、また嚥下もしやすい。加えて、逆流と誤嚥の危険も減る。
胃管が咽頭に達するまで頸部を前屈するのではない。挿入の開始時は、頸部をやや後屈させると鼻腔から咽頭への通り道がまっすぐになる。咽頭に達したら、頸部を前屈させる(顎を引く)ことで、気管の入口が狭まり食道が開きやすくなる。つまり、前屈させるのは咽頭に達した後になる。設問の記述は、この順序が逆になっている。
水を注入して先端の位置を確認してはならない。胃管が気管に入っていた場合、水を肺へ注入することになり、重篤な事故を招く。位置の確認は、①胃内容の吸引とpHの確認(pH5.5以下であれば胃内である可能性が高い)、②X線撮影(最も確実で、初回の確認では推奨される)による。かつて広く行われた、空気を注入して心窩部で音を聴く方法は、気管や食道に入っていても音が聞こえることがあり、単独では信頼できないとされる。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
誤肢は、無菌操作の要否、体位、頸部の向きの順序、そして位置確認の方法という4点で誤っている。いずれも、解剖学的な理由から導ける。とくに、水を注入して確認する方法は、明確な禁忌であり、事故につながるため確実に押さえる。
理解を深める
経管栄養の管理を整理する。挿入=坐位または半坐位、挿入する長さの目安は、鼻尖から耳朶を経て剣状突起までの長さ(成人でおおむね45〜55cm)。潤滑剤を用い、鼻腔の下壁に沿って水平に進める(上方へ向けると鼻甲介にあたる)。咽頭に達したら頸部を前屈し、嚥下に合わせて進める。咳嗽、チアノーゼ、嗄声、呼吸困難があれば直ちに抜去する。位置の確認=初回の挿入時は、胃内容の吸引とpH、そしてX線で確かめる。注入のたびには、留置の長さのマーキングと固定を確認したうえで、胃内容を吸引してpHで判定する。外部に出ている長さが変わらないまま先端だけが移動することがあるため、マーキングの確認だけでは足りない。判定できない場合や、酸分泌抑制薬の使用によりpHで判別しにくい場合はX線を要する。嘔吐、激しい咳嗽、体位の大きな変化など、位置のずれが疑われる出来事の後にも確認する。実際の手順は施設の取り決めに従う。注入=上体を30〜45度挙上し、注入後も30分から1時間はその姿勢を保つ。栄養剤は常温から体温程度。速度を守る(速いと下痢、悪心、ダンピング様の症状を招く)。注入の前に、胃内の残留を確認する。注入後は白湯でフラッシュして、閉塞と細菌の増殖を防ぐ。合併症=誤嚥性肺炎、下痢と便秘、逆流、脱水と電解質異常、高血糖、閉塞、そして皮膚障害(固定部位、鼻翼)。長期になる場合は、胃瘻の造設を検討する。看護では、注入そのものより、体位、速度、そして注入前後の観察が事故の防止に直結する。
間違えやすい考え方
手技を問う型で、誤肢が無菌操作・体位・順序・確認方法で誤っている。解剖学的な理由から導いて切る。
5分で振り返る
①嚥下すると喉頭蓋が気管の入口を塞ぎ、食道の入口が開く。その瞬間に進めると気管への迷入を防げる。②体位は坐位または半坐位(30〜45度)。仰臥位は不適。③開始時は頸部をやや後屈、咽頭に達したら前屈させる(順序に注意)。④鼻腔、咽頭、消化管は無菌の部位ではないため清潔操作で足りる。⑤水を注入して位置を確認してはならない(気管に入っていれば肺へ注入することになる)。⑥位置の確認は胃内容の吸引とpH(5.5以下)、そしてX線。空気を入れて音を聴く方法は単独では信頼できない。初回だけでなく、注入のたびと、位置のずれが疑われる出来事の後にも確認する。外部に出ている長さの確認だけでは足りない。手順は施設の取り決めに従う。⑦挿入の長さの目安は鼻尖から耳朶を経て剣状突起まで(成人45〜55cm)。
1分チェック
- 胃管が咽頭に達したら。→ 嚥下を促す(喉頭が閉じ、食道が開く)。
この問題に対応する教材の確認中です。