次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(53歳、女性)は休日に公園を散歩中、階段から落ちて頭部を強打し、意識を消失した状態で病院に救急搬送された。病院到着時のAさんは開眼せず、声は発しているが理解不能である。痛み刺激には逃れようとする動作がみられる。
グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉によるA さんの意識レベルの評価はどれ か。
公式正答:2
解説
開眼せず、声は発しているが理解不能で、痛み刺激に逃れようとする動作がみられる患者の意識レベルの評価を問う。E1V2M4である。
この問題で問われていること
3つの項目を、それぞれ独立に評価できるか。
しくみから理解する
グラスゴー・コーマ・スケールは、開眼(E)、言語反応(V)、運動反応(M)の3項目を、それぞれ独立に評価する。開眼=4:自発的に開眼、3:呼びかけにより開眼、2:痛み刺激により開眼、1:開眼しない。この患者は開眼しないためE1になる。言語反応=5:見当識あり、4:混乱した会話、3:不適当な発語(単語のみ)、2:理解不明の音声(うめき声など)、1:発語なし。「声は発しているが理解不能」であるためV2になる。運動反応=6:命令に従う、5:疼痛部位を認識する(払いのける)、4:痛み刺激から逃避する、3:異常屈曲(除皮質硬直)、2:伸展する(除脳硬直)、1:反応なし。「痛み刺激には逃れようとする動作」であるためM4になる。合計はE1V2M4で7点になる。
選択肢ごとの確認
E1V1M2は、発語がなく、痛み刺激に対して伸展する(除脳硬直)状態を示す。この患者は声を発しており、また逃避する動作もあるため当てはまらない。
E2V2M2は、痛み刺激で開眼し、理解不明の音声を発し、痛み刺激に伸展する状態を示す。この患者は開眼せず、また逃避しているため当てはまらない。
E4V5M5は、自発的に開眼し、見当識があり、疼痛部位を認識する状態を示す。合計14点で、ほぼ意識清明に近い。この患者の状態とは大きく異なる。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
3項目を、事例文の記述と一つずつ照合する。「開眼せず」=E1、「声は発しているが理解不能」=V2、「痛み刺激には逃れようとする動作」=M4。それぞれの項目で、記述に対応する段階を選ぶだけになる。誤りやすいのは、運動反応の3〜5の区別になる。5=痛みの部位に手を持っていく(払いのける)、4=痛みから逃げる(引っ込める)、3=異常な屈曲、2=伸展。「逃れようとする」は4になる。
理解を深める
意識の評価を整理する。グラスゴー・コーマ・スケール=3項目の合計で3〜15点。8点以下は重症(昏睡)とされ、気管挿管を含む気道の確保が検討される。国際的に広く用いられ、経過の比較にも適する。ジャパン・コーマ・スケール(3-3-9度方式)=覚醒の程度により3段階に分け、それぞれをさらに3段階に分ける。Ⅰ:刺激しなくても覚醒している(1:だいたい清明だがはっきりしない、2:見当識障害がある、3:名前と生年月日が言えない)。Ⅱ:刺激すると覚醒する(10:呼びかけで容易に開眼、20:大きな声または揺さぶりで開眼、30:痛み刺激と呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼)。Ⅲ:刺激しても覚醒しない(100:払いのける動作をする、200:手足を少し動かすか顔をしかめる、300:まったく反応しない)。数字が大きいほど重症になる。簡便で、救急の現場と院内で広く用いられる。あわせて観察するもの=瞳孔の大きさと左右差、対光反射、眼球の位置と運動、麻痺の有無と左右差、バイタルサイン(とくにクッシング現象=血圧の上昇と徐脈は頭蓋内圧の亢進を示す)、呼吸の型、そしてけいれん。意識障害の原因=頭蓋内(外傷、出血、梗塞、腫瘍、感染、てんかん)と頭蓋外(低血糖、高血糖、電解質異常、低酸素、高二酸化炭素、肝性脳症、尿毒症、薬物と中毒、内分泌、体温の異常、ショック)に分けて考える。
間違えやすい考え方
評価を問う型で、誤肢が各項目の段階を取り違えている。記述と項目を一つずつ照合して切る。
5分で振り返る
①開眼(E)=4自発、3呼びかけ、2痛み刺激、1開眼しない。②言語反応(V)=5見当識あり、4混乱した会話、3不適当な発語、2理解不明の音声、1発語なし。③運動反応(M)=6命令に従う、5疼痛部位を認識、4逃避、3異常屈曲、2伸展、1反応なし。④合計は3〜15点。8点以下は重症で気道の確保を検討する。⑤ジャパン・コーマ・スケールは覚醒の程度で3段階に分け、数字が大きいほど重症。⑥あわせて観察するもの=瞳孔、対光反射、麻痺、バイタルサイン(クッシング現象=血圧上昇と徐脈)、呼吸の型。⑦意識障害の原因は頭蓋内と頭蓋外に分けて考える。
1分チェック
- 開眼せず・理解不能の発声・痛み刺激から逃避は。→ E1V2M4(合計7点)。
この問題に対応する教材の確認中です。