次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(28歳、初産婦)は妊娠38週1日、順調な経過で経腟分娩した。産後は夫が育児休業を取得し、自宅で夫と2人で子育てをする予定である。産褥1日、バイタルサインは、体温36.7℃、脈拍70/分、整、血圧118/68mmHg、Hb12.0g/dL。子宮底は臍下2横指のところに硬く触れている。悪露は赤色で中等量、凝血の混入はない。Aさんは授乳時に後陣痛を訴えている。会陰縫合部に腫脹や発赤はなく、痛みは自制内である。尿意の自覚があり、残尿感や排尿困難感はない。
A さんの産褥1日のアセスメントで正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
産褥1日、子宮底が臍下2横指で硬く触れ、悪露は赤色で中等量、ヘモグロビン12.0g/dL、会陰縫合部に腫脹と発赤がない褥婦のアセスメントを問う。正常な経過である。
この問題で問われていること
各所見を、産褥の正常な経過の目安に照らせるか。
しくみから理解する
所見を一つずつ確認する。子宮底=産褥1日では臍高から臍下1〜2横指が目安で、硬く触れることは収縮が良好であることを示す。悪露=産褥1〜3日は赤色悪露で、中等量、凝血の混入がないのは正常になる。ヘモグロビン12.0g/dL=分娩後としては正常範囲になる(産褥期の貧血の目安は11.0g/dL未満とされることが多い)。会陰縫合部=腫脹と発赤がなく、痛みも自制内であるため、感染の徴候はない。体温36.7℃、脈拍70回/分、血圧118/68mmHg=いずれも正常範囲。後陣痛は、授乳によるオキシトシンの分泌で子宮が収縮することによる正常な現象になる。排尿=尿意があり、残尿感と排尿困難がないため問題ない。したがって、すべてが正常な経過を示している。
選択肢ごとの確認
貧血ではない。ヘモグロビン12.0g/dLは、産褥期として正常範囲になる。
感染徴候もない。体温36.7℃と正常で、会陰縫合部の腫脹と発赤もなく、悪露の悪臭についての記載もない。産褥熱は、分娩後24時間以降、10日以内に、2日以上にわたって38℃以上の発熱が続く状態を指す。
子宮復古不全でもない。子宮底が臍下2横指で硬く触れており、収縮は良好になる。復古不全では、子宮底の下降が遅れ、柔らかく、悪露も赤色が長く続き量も多くなる。
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混同しやすいポイント
「異常を探す」のではなく、「基準に照らして一つずつ判定する」という姿勢が求められる。産褥期の観察では、子宮底の高さと硬度、悪露の色・量・におい、会陰縫合部、乳房、バイタルサイン、排泄、そして心理状態を確認する。それぞれの正常の目安を持っていれば、この事例のようにすべてが正常であることを、自信を持って判定できる。正常を正常と判定できることも、アセスメントの重要な力になる。
理解を深める
産褥期の観察を整理する。子宮底=分娩直後は臍下2〜3横指、その後上昇して2時間後に臍高、産褥1日で臍高から臍下1〜2横指、以後1日約1横指ずつ下降し、産褥10日前後で腹壁から触れなくなる。硬度は、硬く触れるのが正常で、柔らかければ収縮が不良になる。悪露=赤色(1〜3日)、褐色(4〜9日)、黄色(10日〜2週間)、白色(3〜6週間)。量は日ごとに減る。悪臭、大量の凝血、赤色が長く続くことは異常の徴候になる。会陰=縫合部の発赤、腫脹、疼痛、離開、そして血腫。乳房=緊満、熱感、乳頭の状態、乳汁の分泌、そして乳管の開通。バイタルサイン=分娩後は一過性に体温がやや上がることがあるが、38℃以上が続けば産褥熱を疑う。脈拍は、徐脈(50〜60回/分)を示すことがあり、これは循環血液量の変化による生理的なものになる。排泄=分娩後は尿意を感じにくく、また会陰部痛のために排尿を避けることがあり、尿閉と残尿に注意する。排便は、会陰部痛と怒責への不安から遅れやすい。心理=マタニティブルーズと産後うつ病の区別。育児への不安、家族の支援の状況。この事例では、夫が育児休業を取得しており、支援の体制が整っている点も、退院に向けた評価の材料になる。
間違えやすい考え方
アセスメントを問う型で、誤肢がすべて異常の判定である。基準に照らして一つずつ判定して切る。
5分で振り返る
①産褥1日の子宮底は臍高から臍下1〜2横指が目安。硬く触れるのが正常。②悪露は赤色(1〜3日)→褐色(4〜9日)→黄色→白色と変化する。③ヘモグロビン12.0g/dLは産褥期として正常範囲(貧血の目安は11.0g/dL未満)。④産褥熱=分娩後24時間以降10日以内に、2日以上38℃以上の発熱が続く状態。⑤子宮復古不全では、子宮底の下降が遅れ、柔らかく、赤色悪露が長く続き量も多い。⑥後陣痛は授乳によるオキシトシンの分泌による正常な現象。⑦分娩後は尿意を感じにくく、会陰部痛もあり、尿閉と残尿に注意する。
1分チェック
- 産褥1日で臍下2横指・硬く触れる・赤色悪露中等量は。→ 正常な経過。
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