次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(28歳、初産婦)は妊娠38週1日、順調な経過で経腟分娩した。産後は夫が育児休業を取得し、自宅で夫と2人で子育てをする予定である。産褥1日、バイタルサインは、体温36.7℃、脈拍70/分、整、血圧118/68mmHg、Hb12.0g/dL。子宮底は臍下2横指のところに硬く触れている。悪露は赤色で中等量、凝血の混入はない。Aさんは授乳時に後陣痛を訴えている。会陰縫合部に腫脹や発赤はなく、痛みは自制内である。尿意の自覚があり、残尿感や排尿困難感はない。
産褥3日、A さんの夫から「退院後は私が子どもの沐浴をします。子どもの身体 の洗い方は動画で学んだのですが、沐浴のときに注意することはありますか。寒い 時期なので心配です」と看護師に質問があった。 A さんの夫への説明で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
退院後に沐浴を担当する予定の父親への説明を問う。「着替え用の衣類が冷たくないか、沐浴前に確認しておきましょう」である。
この問題で問われていること
新生児の体温の特性から、必要な準備を導けるか。
しくみから理解する
新生児は、体表面積が体重に比して大きく、皮下脂肪も薄く、体温の調節機能も未熟なため、容易に体温を奪われる。沐浴の後、濡れた身体を拭いて衣類を着せるまでの間に、気化熱と、冷たい衣類への伝導により、急速に体温が下がる。低体温は、酸素の消費を増やし、低血糖と代謝性アシドーシスを招く。したがって、沐浴を始める前に、着替え用の衣類、バスタオル、そしておむつを、順序どおりに広げ、あらかじめ温めておくことが必要になる。すべての準備を整えてから、湯に入れる。
選択肢ごとの確認
10分程度お湯に浸けることは長すぎる。沐浴の時間は、5分程度(湯につかっている時間は3〜5分)が目安になる。長いと、疲労し、また体温が上がりすぎたり、湯冷めしたりする。手早く行うことが原則になる。
ベビーバスに50℃の湯を準備することは熱すぎる。沐浴の湯温は38〜40℃(夏はやや低め、冬はやや高め)が目安で、必ず湯温計で測り、加えて肘か前腕の内側で確かめる。50℃では熱傷を起こす。
室温を30℃に設定することも高すぎる。沐浴の際の室温は24〜26℃程度が目安になる。低すぎると体温を奪われるが、高すぎる室温は、介助する人にとっても負担になり、また新生児がのぼせる。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも数値が実際と異なる(時間が長い、湯温が高い、室温が高い)。沐浴に関わる数値を、まとめて覚える。湯温38〜40℃、室温24〜26℃、時間5分程度。加えて、授乳の直後と空腹時を避ける(授乳後1時間程度あける)、毎日同じ時間帯に行う、そして体調が悪いときは中止して清拭に切り替える、という原則も押さえる。
理解を深める
沐浴の手順を整理する。準備=環境(室温24〜26℃、すきま風を防ぐ)、物品(ベビーバス、湯温計、ガーゼ、石けん、バスタオル、衣類、おむつ、綿棒、爪切り)を順序どおりに並べる。湯を38〜40℃に用意し、湯温計で測る。実施=①手を洗う、爪を切っておく、②児の全身を観察する(発熱、活気、皮膚、臍)、③衣類を脱がせ、必要に応じてガーゼで身体を覆う(安心する)、④足からゆっくりと湯に入れる、⑤顔(目は目頭から目尻へ、片方ずつ)、頭、頸、胸腹部、上肢、下肢、そして背部の順に洗う、⑥しわの部分(頸、腋窩、鼠径、指の間)を丁寧に、⑦最後に陰部と殿部を洗う、⑧上がり湯をかける、⑨バスタオルで包み、押さえるように水分を拭き取る(こすらない)、⑩速やかに衣類を着せる、⑪臍の処置(乾燥させる)、⑫水分を補う(授乳)。観察=皮膚の状態(発疹、乾燥、黄疸)、臍(出血、滲出液、発赤、におい)、活気、そして全身の左右差。沐浴は、清潔を保つだけでなく、全身を観察する機会であり、また親子の触れ合いの時間にもなる。父親が担当することは、育児への参加と、親としての実感につながるため、技術だけでなく、その意義も伝えて支える。
間違えやすい考え方
指導を問う型で、誤肢がすべて数値の誤りである。沐浴の数値をまとめて覚えて切る。
5分で振り返る
①新生児は体表面積が大きく皮下脂肪が薄く、体温の調節も未熟で容易に体温を奪われる。②低体温は酸素の消費を増やし、低血糖と代謝性アシドーシスを招く。③沐浴の前に、衣類、バスタオル、おむつを順序どおりに広げ、温めておく。④湯温は38〜40℃。湯温計で測り、肘か前腕の内側で確かめる。⑤室温は24〜26℃。⑥時間は5分程度(湯につかるのは3〜5分)。⑦授乳の直後と空腹時を避け(授乳後1時間程度あける)、体調が悪いときは清拭に切り替える。
1分チェック
- 沐浴の前に。→ 着替え用の衣類を準備し、冷たくないか確認する(体温を奪われないため)。
この問題に対応する教材の確認中です。