肘関節を伸展させる筋肉はどれか。
公式正答:3
解説
肘関節を伸展させる筋肉を問う。上腕三頭筋である。
この問題で問われていること
筋の起始・停止から、どの関節をどう動かすかを導けるか。
しくみから理解する
上腕三頭筋は、長頭が肩甲骨の関節下結節から、外側頭と内側頭が上腕骨の後面から起こり、共通の腱となって尺骨の肘頭に停止する。肘関節の後面を越えて付着するため、収縮すると前腕を後方へ引き、肘関節を伸展させる。支配神経は橈骨神経である。橈骨神経が上腕骨骨幹部の骨折や長時間の圧迫で麻痺すると、下垂手(手関節と手指の伸展ができない)が生じるが、上腕三頭筋の枝は分岐が近位のため保たれることが多い。
選択肢ごとの確認
三角筋は、鎖骨の外側部・肩峰・肩甲棘から起こり、上腕骨の三角筋粗面に停止する。肩関節を越えるが肘関節は越えないため、肘の運動には関与しない。主な作用は肩関節の外転で、前部は屈曲と内旋、後部は伸展と外旋にも働く。支配神経は腋窩神経である。
大胸筋は、鎖骨内側部・胸骨・肋軟骨から起こり、上腕骨の大結節稜に停止する。これも肘関節を越えない。作用は肩関節の内転、内旋、屈曲である。
上腕二頭筋は、長頭が肩甲骨の関節上結節、短頭が烏口突起から起こり、橈骨粗面に停止する。肘関節の前面を越えるため、収縮すると肘関節を屈曲させる。加えて前腕の回外にも強く働く(ドアノブを回す、ねじを締める動き)。支配神経は筋皮神経である。伸展とは逆の作用になる。
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混同しやすいポイント
『関節の前を通るか後ろを通るか』で作用が決まる。肘関節の前面を越える筋(上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋)は屈曲、後面を越える筋(上腕三頭筋、肘筋)は伸展に働く。また、その関節を越えない筋(三角筋、大胸筋)はその関節を動かさない。起始と停止の位置関係から作用を導く、という考え方を身につけると、個々の筋を丸暗記せずに済む。
理解を深める
上肢の主な筋と神経支配を整理する。三角筋=腋窩神経、上腕二頭筋と上腕筋=筋皮神経、上腕三頭筋と前腕伸筋群=橈骨神経、前腕屈筋群の大部分と母指球筋=正中神経、手内在筋の多くと小指球筋=尺骨神経。神経麻痺の徴候も対で覚える。橈骨神経麻痺=下垂手、正中神経麻痺=猿手(母指の対立ができない、手根管症候群で生じる)、尺骨神経麻痺=鷲手(環指と小指の変形)。看護の場面では、上肢の点滴や血圧測定、体位、抑制帯によって神経を圧迫しないよう注意する。とくに橈骨神経は上腕骨に沿って走るため、上腕外側の圧迫(点滴台への腕の掛け方、車椅子のアームレスト、長時間の側臥位)で麻痺しうる。手術の体位固定でも同じ配慮が要る。
間違えやすい考え方
筋の作用を問う型で、誤肢が肘を越えない筋と拮抗する筋である。関節の前後どちらを通るかで切る。
5分で振り返る
①上腕三頭筋は尺骨の肘頭に停止し、肘関節を伸展させる。支配は橈骨神経。②上腕二頭筋は橈骨粗面に停止し、肘の屈曲と前腕の回外。支配は筋皮神経。③三角筋(腋窩神経)と大胸筋は肘関節を越えないので肘を動かさない。④関節の前を通れば屈曲、後ろを通れば伸展。⑤橈骨神経麻痺=下垂手、正中神経麻痺=猿手、尺骨神経麻痺=鷲手。⑥上腕外側の圧迫で橈骨神経麻痺が起こりうる。
1分チェック
- 肘関節を伸展させる筋は。→ 上腕三頭筋(肘の後面を越え、尺骨の肘頭に停止)。
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