脳死の状態はどれか。
公式正答:3
解説
脳死の状態を問う。自発呼吸は停止していることである。
この問題で問われていること
脳死の判定基準を、5項目として把握しているか。
しくみから理解する
脳死は、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止した状態を指す。法的脳死判定の基準は5項目からなる。①深昏睡(JCS 300、GCS 3)、②瞳孔が固定し両側とも4mm以上、③脳幹反射の消失(対光反射、角膜反射、毛様脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射)、④平坦脳波、⑤自発呼吸の消失。これらを、必要な知識と経験を持つ2人以上の医師が判定し、6時間以上(6歳未満は24時間以上)あけて2回行い、いずれも同じ結果であることを確認する。自発呼吸の消失は無呼吸テストで確認し、最後に行われる。
選択肢ごとの確認
縮瞳ではなく散瞳する。脳死では瞳孔が固定し、両側とも4mm以上に散大する。縮瞳がみられるのは、橋の障害、有機リン中毒、オピオイド中毒、ホルネル症候群などである。
脳波は徐波ではなく平坦になる。徐波は脳の活動が低下していることを示すが、活動が残っていることも意味する。脳死では脳波活動が完全に失われ、平坦脳波となる。
痛み刺激で逃避反応があれば脳死ではない。深昏睡では、痛み刺激に対していかなる反応も示さない。ただし脊髄反射は残ることがあり、脊髄由来の運動(ラザロ徴候など)が生じても脳死の判定を妨げない。この区別は家族への説明で重要になる。
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混同しやすいポイント
誤肢はいずれも『脳の機能が残っていること』を示す所見であり、脳死と矛盾する。縮瞳(散瞳が正しい)、徐波(平坦が正しい)、逃避反応(反応なしが正しい)。脳死とは全脳の機能が失われた状態であるという定義に立ち返れば、どれも成り立たないと分かる。判定基準の5項目を順に唱えられるようにしておく。
理解を深める
脳死と植物状態は明確に異なる。植物状態(遷延性意識障害)では、大脳の機能は失われても脳幹が機能しているため、自発呼吸があり、体温調節や循環の調節も保たれ、睡眠と覚醒のリズムもある。長期にわたって生存し、まれに回復することもある。一方、脳死では脳幹の機能も失われているため、人工呼吸器なしには呼吸が維持できず、通常は数日から数週間で心停止に至る。日本では、臓器の移植に関する法律により、本人が拒否の意思を示していない場合、家族の承諾があれば脳死下での臓器提供が可能となっている(2010年の改正以降)。15歳未満からの提供も可能になった。脳死判定は、臓器提供を前提とする場合に法的判定として行われる。看護師は、家族が突然の事態に直面していることに配慮し、正確な情報を提供し、決定を急がせず、どのような選択をしても支持する姿勢で関わる。臓器提供に関する説明は、主治医とは別の立場の者(臓器移植コーディネーター)が行う体制がとられている。
間違えやすい考え方
判定基準を問う型で、誤肢がすべて脳機能の残存を示す所見である。全脳機能の停止という定義で切る。
5分で振り返る
①脳死=脳幹を含む全脳の機能の不可逆的な停止。②5項目=深昏睡、瞳孔固定で両側4mm以上、脳幹反射の消失、平坦脳波、自発呼吸の消失。③2人以上の医師が6時間以上(6歳未満は24時間以上)あけて2回判定する。④自発呼吸の消失は無呼吸テストで最後に確認。⑤植物状態は脳幹が機能し自発呼吸がある。⑥脊髄反射は残ることがあり判定を妨げない。⑦臓器提供は本人が拒否していなければ家族の承諾で可能。
1分チェック
- 脳死の判定基準5項目は。→ 深昏睡・瞳孔固定散大・脳幹反射消失・平坦脳波・自発呼吸消失。
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