経口感染するウイルス性肝炎 viral hepatitis はどれか。
公式正答:1
解説
経口感染するウイルス性肝炎を問う。A型肝炎である。
この問題で問われていること
肝炎ウイルスを感染経路で分類できるか。
しくみから理解する
A型肝炎ウイルスは、糞便中に排泄され、汚染された水や食品(とくに生の貝類)を介して経口感染する。潜伏期は2〜6週間で、発熱、倦怠感、食欲不振、悪心といった前駆症状の後に黄疸が現れる。多くは一過性で治癒し、慢性化しない。終生免疫が得られる。E型肝炎も同じく経口感染し、豚やイノシシ、シカの生肉・内臓が原因になる。E型は妊婦が感染すると重症化しやすい点が特徴になる。
選択肢ごとの確認
B型肝炎ウイルスは、血液と体液を介して感染する。輸血、針刺し、性行為、母子感染(出生時の産道感染)が経路になる。慢性化して肝硬変や肝細胞癌へ進行しうる。ワクチンがあり、定期接種の対象になっている。医療従事者にとっても職業曝露の予防として重要である。
C型肝炎ウイルスも血液を介して感染する。かつては輸血や血液製剤が主な経路だったが、現在は針刺し、入れ墨、注射器の共用が問題になる。慢性化率が高く、肝硬変と肝細胞癌の主要な原因だったが、直接作用型抗ウイルス薬の登場により高い確率で治癒できるようになった。ワクチンはない。
D型肝炎ウイルスは、単独では増殖できず、B型肝炎ウイルスの存在下でのみ感染・増殖する不完全なウイルスである。したがって感染経路もB型と同じく血液・体液を介する。日本では稀である。
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混同しやすいポイント
『経口=AとE、血液・体液=B、C、D』と2つに分けて覚える。語呂として、アルファベット順で最初のAと最後に近いEが経口、間のB・C・Dが血液・体液、と整理できる。あわせて、慢性化するか(B、C、Dは慢性化しうる、A、Eは原則しない)、ワクチンがあるか(国内で接種できるのはA型とB型。C型にはない。E型は国外に承認された製品があるが、国内では承認されておらず接種できない)も対で押さえる。
理解を深める
医療従事者にとってはB型肝炎の予防が重要になる。ワクチン接種によって抗体を獲得しておくことが基本で、針刺し事故が起きた場合は、直ちに流水で洗い、報告し、被曝源の感染状態を確認して、必要に応じて抗HBs人免疫グロブリンとワクチンを投与する。C型肝炎については有効な曝露後予防がないため、定期的な検査で早期発見を図る。B型肝炎は、免疫抑制療法や化学療法によって再活性化することがあり(既往感染からの再活性化)、治療前にはHBs抗原とHBc抗体、HBs抗体を確認する。肝炎の症状としては、黄疸、褐色尿、灰白色便、掻痒、倦怠感、食欲不振がある。劇症肝炎では、意識障害(肝性脳症)と出血傾向が現れ、緊急の対応を要する。看護では、安静、栄養、皮膚の掻痒への対応、感染経路に応じた予防策の指導を行う。A型では、手洗いと食品の加熱、B型とC型では、血液の付着した物の扱い、剃刀と歯ブラシの共用を避けること、性行為での予防を伝える。
間違えやすい考え方
感染経路を問う型で、誤肢がすべて血液・体液を介する肝炎である。経口の2つ(AとE)で切る。
5分で振り返る
①A型は経口感染(汚染された水、生の貝類)、慢性化しない、終生免疫。②E型も経口感染(豚・イノシシ・シカの生肉)、妊婦で重症化。③B型は血液・体液(輸血、針刺し、性行為、母子感染)、慢性化しワクチンあり。④C型は血液、慢性化率が高くワクチンなし、抗ウイルス薬で治癒可能。⑤D型はB型の存在下でのみ感染。⑥B型は免疫抑制で再活性化しうる。⑦劇症肝炎は意識障害と出血傾向。
1分チェック
- 経口感染する肝炎ウイルスは。→ A型とE型(B・C・Dは血液・体液)。
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