抗菌薬について正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
抗菌薬について正しいものを問う。耐性菌の出現が問題であることである。
この問題で問われていること
抗菌薬の作用対象と、使用に伴う問題を理解しているか。
しくみから理解する
抗菌薬を使用すると、その薬に耐性を持つ菌が生き残り、選択的に増える。耐性は、薬剤を分解する酵素の産生、薬剤の作用点の変化、薬剤の排出ポンプ、細胞壁の透過性の低下といった機序で獲得され、菌の間でプラスミドを介して伝達されることもある。不適切な使用(ウイルス感染への投与、必要のない広域抗菌薬の使用、指示された期間より短い服用)が、耐性菌の出現を加速する。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、多剤耐性緑膿菌、基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生菌などが臨床上の問題になっている。
選択肢ごとの確認
ウイルスには無効である。抗菌薬は細菌の細胞壁、蛋白合成、核酸合成、葉酸代謝といった、細菌に固有の仕組みを標的にする。ウイルスは宿主細胞の仕組みを使って増えるため、これらの標的を持たない。かぜ症候群の多くはウイルス性であり、抗菌薬は効かないうえ、耐性菌を生む。
経口投与でも効果がある。多くの抗菌薬は消化管から吸収され、血中に移行して作用する。重症例や吸収が期待できない場合、あるいは高い血中濃度が必要な場合に注射剤を用いる。近年は、静注から経口への切り替え(スイッチ療法)が推奨される場面も多い。
正常の細菌叢に影響を与える。腸内や口腔、皮膚、腟の常在菌も抗菌薬の影響を受けて減少し、菌交代現象を生じる。その結果、クロストリディオイデス・ディフィシルによる腸炎(偽膜性大腸炎)、カンジダによる口腔内や腟のカンジダ症が起こりうる。とくに広域抗菌薬の長期使用でリスクが高まる。
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混同しやすいポイント
誤肢3つは、いずれも抗菌薬に対する誤解として実際によくあるものである。ウイルスに効かない、経口でも効く、常在菌にも影響する。これらは患者への説明でも重要な内容になる。「かぜに抗菌薬を出してほしい」という要望に対して、効かないこと、副作用と耐性菌のリスクがあることを説明する場面は、実際の外来でよくある。
理解を深める
抗菌薬の適正使用(抗菌薬適正使用支援)は、世界的な課題になっている。薬剤耐性対策アクションプランでは、抗菌薬の使用量の削減、耐性率の低減、感染予防の強化、教育と啓発が目標として掲げられている。医療機関では、抗菌薬適正使用支援チームが、広域抗菌薬の使用の監視、培養結果に基づく狭域への変更(デエスカレーション)、投与期間の適正化を行う。看護師の役割としては、正確な時刻での投与(血中濃度を保つため)、投与前の培養検体の採取の確認、アレルギー歴の確認、副作用の観察(発疹、下痢、腎機能、聴力)、指示された期間を最後まで服用するよう患者に説明することがある。「症状が治まったから途中でやめる」ことが耐性菌を生む一因になるため、この説明は重要になる。あわせて、感染そのものを防ぐ手指衛生と標準予防策が、抗菌薬の使用を減らす最も確実な方法である点も押さえる。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢がよくある誤解で構成されている。作用の標的(細菌に固有の仕組み)から導く。
5分で振り返る
①抗菌薬は細菌に固有の仕組みを標的にし、ウイルスには無効。②経口投与でも効果がある。③常在菌にも影響し、菌交代現象(偽膜性大腸炎、カンジダ症)を起こす。④耐性は酵素の産生、作用点の変化、排出ポンプ、透過性の低下で獲得される。⑤不適切な使用(ウイルスへの投与、広域の乱用、途中でやめる)が耐性菌を加速する。⑥適正使用支援チームがデエスカレーションと期間の適正化を行う。⑦手指衛生が抗菌薬の使用を減らす最も確実な方法。
1分チェック
- 抗菌薬の最大の問題は。→ 耐性菌の出現(不適切な使用が加速する)。
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