無菌操作が必要なのはどれか。
公式正答:2
解説
無菌操作が必要なものを問う。気管内吸引である。
この問題で問われていること
その部位が本来無菌かどうかで、必要な操作の水準を判断できるか。
しくみから理解する
下気道(声門より下の気管と気管支、肺胞)は、本来は無菌の領域である。気管内吸引では、カテーテルを下気道へ挿入するため、外部から細菌を持ち込めば人工呼吸器関連肺炎などの重篤な感染を招く。そのため、滅菌手袋と滅菌カテーテルを用いた無菌操作で行う。カテーテルの先端を不潔な部分に触れさせない、挿入前に不必要に周囲へ触れない、といった配慮が必要になる。閉鎖式吸引システムを用いる場合も、接続部の清潔を保つ。
選択肢ごとの確認
浣腸は直腸に対する処置で、直腸内には常在菌が多数存在する。無菌操作ではなく清潔操作で行う。ただし、粘膜の損傷と穿孔を防ぐため、カテーテルの挿入の長さ(成人で5〜6cm程度)、挿入の方向、体位(左側臥位)、液の温度(40℃前後)、注入の速度に注意する。立位での実施は直腸穿孔の危険があるため行わない。
口腔内吸引は、常在菌が多数存在する口腔に対する操作であり、清潔操作でよい。ただし、口腔内を吸引したカテーテルで気管内を吸引してはならない。口腔の細菌を下気道へ持ち込むことになるためで、カテーテルは分けるか、気管内を先に吸引する。
経鼻胃管挿入は、鼻腔から咽頭、食道を経て胃へ挿入する。これらはいずれも無菌の部位ではないため、清潔操作で行う。ただし挿入時には誤挿入(気管への迷入)に注意し、挿入後は胃内にあることを確認してから注入する。
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混同しやすいポイント
『その部位が本来無菌か』という基準で判断する。無菌の部位=血管内、下気道、膀胱・尿路(膀胱は本来無菌)、腹腔、胸腔、髄腔、関節腔、そして創部の深部。常在菌のある部位=口腔、咽頭、鼻腔、食道、胃、腸管、直腸、腟、皮膚表面。誤肢はすべて常在菌のある部位への操作になっている。なお膀胱留置カテーテルの挿入と導尿も、膀胱が無菌であるため無菌操作で行う。
理解を深める
無菌操作の基本は、滅菌された物品の無菌の面に、無菌でないものを触れさせないことにある。具体的には、滅菌物を開封するときは外側から開く、滅菌野の高さより下や視線の外に手を置かない、滅菌野の端から一定の幅は不潔とみなす、濡れると菌が透過するため濡らさない、滅菌手袋の外面は滅菌物にしか触れさせない、といった規則がある。気管内吸引では、加えて、実施の前後で呼吸状態と酸素飽和度を確認する、1回の吸引は10〜15秒以内にとどめる、陰圧は適切な範囲に設定する(成人でおおむね20kPa/150mmHg以下)、カテーテルを挿入する際は陰圧をかけない、必要な場合のみ実施する(定時ではなく、副雑音や分泌物の貯留を確認して行う)といった原則がある。不必要な吸引は、粘膜の損傷、低酸素、徐脈、頭蓋内圧の上昇、患者の苦痛を招く。
間違えやすい考え方
手技の水準を問う型で、誤肢がすべて常在菌のある部位への操作である。その部位が無菌かどうかで切る。
5分で振り返る
①下気道・血管内・膀胱・腹腔・胸腔・髄腔・関節腔は本来無菌→無菌操作。②口腔・咽頭・鼻腔・食道・胃・腸管・直腸・腟・皮膚は常在菌あり→清潔操作。③口腔内を吸引したカテーテルで気管内を吸引しない。④浣腸は左側臥位、挿入5〜6cm、40℃前後、立位では行わない。⑤気管内吸引は1回10〜15秒以内、挿入時は陰圧をかけない。⑥不必要な吸引は粘膜損傷・低酸素・徐脈を招く。
1分チェック
- 無菌操作が必要なのは。→ 気管内吸引(下気道は本来無菌)。
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