成人への坐薬の挿入方法で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
成人への坐薬の挿入方法で正しいものを問う。挿入後1、2分肛門を押さえることである。
この問題で問われていること
手技の各段階の目的を理解しているか。
しくみから理解する
坐薬は体温で溶けるため、挿入直後は排出されやすい。また肛門括約筋の反射的な収縮と便意により、押し出されてしまうことがある。挿入後1〜2分程度、ガーゼなどを当てて肛門を軽く押さえることで、坐薬が留まり、溶けて吸収される時間を確保できる。この間、患者には深呼吸を促し、力を抜いてもらうと排出されにくい。挿入前に排便を済ませておくことも、確実な吸収につながる。
選択肢ごとの確認
息を止めるのではなく、口で息を吐くよう説明する。息を止めると腹圧がかかり、肛門括約筋が緊張して挿入しにくく、痛みも強まる。ゆっくり口から息を吐いてもらうと括約筋が緩む。
右側臥位ではなく左側臥位が基本になる。S状結腸と直腸の走行から、左側臥位のほうが解剖学的に無理なく挿入でき、薬剤も留まりやすい。浣腸と同じ理由による。
2cmでは浅すぎる。成人では、坐薬の先端が内肛門括約筋を越えるよう、肛門から5cm程度挿入する。浅いと外肛門括約筋の収縮で押し出される。なお、薬剤の種類によっては、直腸下部に留めるほうが肝臓での初回通過効果を避けられるという考え方もあるが、確実に留置することが優先される。
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混同しやすいポイント
手技の細部それぞれに理由がある。息を吐く=括約筋を緩める、左側臥位=解剖学的な走行、5cm=内肛門括約筋を越える、押さえる=排出の防止。理由とセットで覚えると、細部を取り違えにくくなる。誤肢は、この4点のうち3点を逆または不足の形で提示している。
理解を深める
坐薬は、経口摂取が困難な場合、悪心や嘔吐がある場合、速やかな効果を求める場合、そして肝臓での初回通過効果を避けたい場合に用いられる。解熱鎮痛薬、制吐薬、抗けいれん薬、下剤、痔疾患の薬などがある。挿入時は、患者にプライバシーへの配慮を行い、露出を最小限にし、手袋を着用する。潤滑剤(またはぬるま湯で湿らせる)を用いると挿入しやすい。挿入後は、しばらく横になっていてもらう。複数の坐薬を同時に用いる場合は、吸収に影響しうるため、指示を確認する。小児では、体格に応じて挿入の深さを調整し、挿入後はしっかり臀部を押さえる(泣いていきむと排出されやすい)。けいれん時に用いるジアゼパム坐薬は、速やかな効果を求めるため、確実に留置することが重要になる。挿入後に坐薬がそのまま排出された場合は、時間と状況を記録し、指示を確認する。
間違えやすい考え方
手技の細部を問う型で、誤肢が呼吸・体位・深さの誤りである。各手順の理由から導く。
5分で振り返る
①挿入後1〜2分は肛門を押さえて排出を防ぐ。②息を止めず、口からゆっくり吐いてもらう(括約筋が緩む)。③体位は左側臥位(S状結腸と直腸の走行)。④成人では肛門から5cm程度、内肛門括約筋を越えるまで挿入する。⑤挿入前に排便を済ませておく。⑥潤滑剤を用いる、手袋を着用する、露出を最小限にする。⑦排出された場合は記録して指示を確認する。
1分チェック
- 坐薬の挿入で正しいのは。→ 挿入後1、2分肛門を押さえる(排出を防ぐ)。左側臥位、5cm、息は吐く。
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