代謝性アシドーシスによって起こる呼吸はどれか。
公式正答:4
解説
代謝性アシドーシスによって起こる呼吸を問う。Kussmaul〈クスマウル〉呼吸である。
この問題で問われていること
酸塩基平衡の代償機構から、呼吸の変化を導けるか。
しくみから理解する
代謝性アシドーシスでは、血液中に酸が蓄積して pH が低下する。体はこれを補うため、呼吸によって二酸化炭素(炭酸として酸に相当する)を多く排出しようとする。その結果、深く速い規則的な呼吸となり、これをKussmaul呼吸という。糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症、乳酸アシドーシス、下痢による重炭酸イオンの喪失などでみられる。呼吸性の代償は数分から数時間で始まる速い反応で、腎による代償(数日かかる)より早い。
選択肢ごとの確認
奇異呼吸は、吸気時に胸壁の一部が陥凹する、あるいは胸部と腹部が逆方向に動く呼吸で、フレイルチェスト(多発肋骨骨折)、上気道の閉塞、横隔膜の麻痺でみられる。酸塩基平衡とは関係しない。
口すぼめ呼吸は、慢性閉塞性肺疾患の患者が自然に身につける呼吸法で、呼気時に口をすぼめて気道内圧を高く保ち、末梢気道の虚脱を防ぐ。代謝性アシドーシスの代償ではない。
Biot〈ビオー〉呼吸は、深さの不規則な呼吸が続いた後に突然無呼吸となることを繰り返す呼吸で、延髄の障害、髄膜炎、脳圧亢進でみられる。周期性がある点でKussmaul呼吸と異なる。
Cheyne-Stokes〈チェーン-ストークス〉呼吸は、無呼吸から漸増し、頂点を過ぎて漸減し再び無呼吸に至る周期を繰り返す。心不全、脳血管障害、臨死期でみられる。これも周期性のある呼吸である。
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混同しやすいポイント
呼吸の異常を、規則的か周期的かで大きく分ける。Kussmaul呼吸=深く速い規則的な呼吸(代謝性アシドーシスの代償)。Biot呼吸とCheyne-Stokes呼吸=周期性がある(中枢の障害、心不全、臨死期)。奇異呼吸と口すぼめ呼吸=呼吸の力学に関わるもの。設問が「代謝性アシドーシスによって」と機序を指定しているので、代償として説明できるものを選ぶ。
理解を深める
酸塩基平衡の判定は、pH、動脈血二酸化炭素分圧、重炭酸イオン濃度の3つを順に見る。pHが7.35未満ならアシデミア、7.45を超えればアルカレミア。次に、原因が呼吸性か代謝性かを判断する。二酸化炭素分圧が高くpHが低ければ呼吸性アシドーシス、重炭酸イオンが低くpHが低ければ代謝性アシドーシス。代償は、呼吸性の異常には腎が(数日かけて重炭酸イオンを調整)、代謝性の異常には呼吸が(数分〜数時間で二酸化炭素を調整)働く。代謝性アシドーシスではさらに、アニオンギャップを計算して原因を絞る。開大していれば、ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、腎不全、中毒。正常であれば、下痢による重炭酸の喪失、尿細管性アシドーシスを考える。看護では、呼吸の様式と回数、意識レベル、脱水の徴候、原因疾患の管理状況を観察する。糖尿病性ケトアシドーシスでは、Kussmaul呼吸とアセトン臭(甘酸っぱい果物のようなにおい)が特徴的な所見になる。
間違えやすい考え方
呼吸の型を問う型で、誤肢が周期性の呼吸と力学的な呼吸である。代償という機序で切る。
5分で振り返る
①代謝性アシドーシスでは呼吸で二酸化炭素を排出して代償する→Kussmaul呼吸(深く速い規則的)。②原因は糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症、乳酸アシドーシス、下痢。③呼吸性の代償は数分〜数時間、腎の代償は数日。④Biot呼吸とCheyne-Stokes呼吸は周期性がある。⑤奇異呼吸はフレイルチェストなど、口すぼめ呼吸は慢性閉塞性肺疾患。⑥判定はpH→二酸化炭素分圧→重炭酸イオンの順。⑦ケトアシドーシスではアセトン臭。
1分チェック
- 代謝性アシドーシスの代償で起こる呼吸は。→ Kussmaul呼吸(深く速い規則的な呼吸)。
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