感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉において、 診断した際に全数を届け出る疾患はどれか。
公式正答:4
解説
感染症法において診断した際に全数を届け出る疾患を問う。梅毒である。
この問題で問われていること
届出の対象を、全数把握と定点把握で区別できるか。
しくみから理解する
感染症法では、一類から四類のすべて、五類の一部、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症について、診断した医師が全数を届け出る。五類のうち全数把握の対象となるのは、麻疹、風疹、梅毒、後天性免疫不全症候群、侵襲性髄膜炎菌感染症、侵襲性肺炎球菌感染症、破傷風、劇症型溶血性レンサ球菌感染症などである。梅毒は五類の全数把握対象疾患で、近年、報告数が大きく増加しており、公衆衛生上の重要な課題になっている。届出により、感染の動向を把握し、対策に活かす。
選択肢ごとの確認
インフルエンザ(鳥インフルエンザと新型インフルエンザ等感染症を除く)は五類の定点把握対象である。指定された医療機関(定点)が報告し、全数の届出は求められない。流行の動向を把握することが目的になる。
細菌性髄膜炎も五類の定点把握対象である(基幹定点)。ただし、髄膜炎菌による侵襲性髄膜炎菌感染症は全数把握の対象で、この区別が紛らわしい。
水痘も五類の定点把握対象である(小児科定点)。ただし、入院例については全数把握の対象となっている。
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混同しやすいポイント
五類の中で全数把握か定点把握かを分ける基準は、その疾患の重大性と、対策上の必要性にある。全数把握=麻疹、風疹、梅毒、後天性免疫不全症候群、破傷風、侵襲性の細菌感染症など。定点把握=インフルエンザ、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、流行性耳下腺炎、咽頭結膜熱など、日常的にみられる疾患。誤肢はいずれも定点把握の代表例で構成されている。なお麻疹と風疹は、排除の状態を維持するため、診断後直ちに届け出る。
理解を深める
届出の期限も類型により異なる。一類から四類と、五類の一部(麻疹、風疹、侵襲性髄膜炎菌感染症など)は直ちに。五類の多くは7日以内。定点把握は、週単位または月単位で報告する。届出は医師の義務であり、看護師が直接行うものではないが、対象疾患を知っていることで、医師への確認や、感染対策の開始、患者と家族への説明につなげられる。梅毒については、近年の増加が20代から30代の女性で顕著であり、先天梅毒の増加も懸念されている。妊婦健康診査での検査、パートナーの同時治療、性感染症全般の予防の啓発が対策になる。医療機関では、性感染症を疑う所見(原因不明の発疹、とくに手掌と足底、無痛性の潰瘍、リンパ節腫脹)に気づく視点が重要になる。届出制度は、こうした個々の診断を集めて社会全体の動向を把握し、対策につなげる仕組みである。
間違えやすい考え方
届出の対象を問う型で、誤肢がすべて定点把握の疾患である。全数把握の一覧で切る。
5分で振り返る
①一類〜四類はすべて全数把握。②五類の全数把握=麻疹、風疹、梅毒、後天性免疫不全症候群、侵襲性髄膜炎菌感染症、破傷風など。③五類の定点把握=インフルエンザ、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、流行性耳下腺炎。④細菌性髄膜炎は定点だが、侵襲性髄膜炎菌感染症は全数。⑤水痘は定点だが入院例は全数。⑥届出期限は一〜四類と五類の一部が直ちに、五類の多くは7日以内。⑦梅毒は近年増加し先天梅毒も懸念される。
1分チェック
- 五類で全数を届け出るのは。→ 梅毒、麻疹、風疹、後天性免疫不全症候群など(インフルエンザや水痘は定点)。
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