入院中のA さんの親族と名乗る者から「急用があるためA さんと話をさせてほ しい」と病棟に電話があった。 看護師の対応で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
親族と名乗る者から入院中の患者と話をさせてほしいと電話があった場面での看護師の対応を問う。「Aさんという方が入院中かどうかはお答えできません」である。
この問題で問われていること
入院しているという事実そのものが個人情報であることを理解しているか。
しくみから理解する
特定の人が入院しているという事実は、その人の心身の状態に関する情報であり、個人情報の保護に関する法律において要配慮個人情報にあたる。電話では相手が本人の親族であるかを確認できず、名乗った内容が真実である保証もない。したがって、入院の有無を含めて回答しない、というのが原則になる。この対応は冷たく見えるが、患者を守るための約束である。実際に、家庭内暴力から避難している人、住所を知られたくない人、入院を知られたくない事情のある人がいる。
選択肢ごとの確認
用件を尋ねることは、入院している事実を暗に認めることになる。「その方はいらっしゃいませんが」と言えば入院していないことを、用件を聞けば入院していることを伝えてしまう。
そのままつなぐことは、本人の意思を確認せずに第三者と接触させることになる。相手が誰か分からない以上、危険が伴う。
かけ直してもらうという対応も、入院している事実を認めることになる。また、本人に電話番号を伝えることで、望まない連絡を招く可能性もある。
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混同しやすいポイント
誤肢はいずれも、程度の差はあれ「入院している事実」を相手に伝えてしまう。この一点で3つとも落とせる。実務上の対応としては、入院時に、外部からの問い合わせにどう答えてよいかを本人に確認しておく(面会と電話の可否、伝えてよい相手の範囲)ことが基本になる。本人が了解している場合は、その範囲内で対応する。緊急の連絡が必要と主張された場合は、相手の連絡先を控えて、こちらから本人に伝え、本人の判断で折り返してもらうという方法がある。
理解を深める
個人情報の保護に関する法律では、要配慮個人情報として、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実、身体障害・知的障害・精神障害等の障害があること、健康診断の結果、医師等による指導や診療・調剤の情報が挙げられている。これらの取得には原則として本人の同意が必要で、第三者への提供にも同意が要る。例外として、法令に基づく場合、人の生命・身体・財産の保護に必要で本人の同意を得ることが困難な場合、公衆衛生の向上や児童の健全な育成に特に必要な場合などがある。児童虐待の通告や、感染症の届出は、この例外にあたる。医療機関では、病室の入口や病棟の入口での氏名の掲示、電話の取り次ぎ、面会者への対応、書類の取り扱い、電子カルテの閲覧範囲、SNSへの投稿の禁止といった具体的な場面で、この原則が適用される。看護師が院外で患者の話をしないこと、患者の写真を撮らないことも同じ趣旨になる。
間違えやすい考え方
『正しい対応』を問う型で、誤肢がいずれも入院の事実を伝えてしまう。事実そのものが個人情報という原則で切る。
5分で振り返る
①入院しているという事実そのものが要配慮個人情報。②電話では相手を確認できないため、有無を含めて回答しない。③用件を聞く・つなぐ・かけ直すは、いずれも入院の事実を伝えてしまう。④入院時に、外部からの問い合わせへの対応を本人に確認しておく。⑤緊急と言われたら連絡先を控え、本人の判断で折り返してもらう。⑥要配慮個人情報=病歴、障害、健診結果、診療の情報など。⑦例外は法令に基づく場合、生命の保護、児童虐待の通告など。
1分チェック
- 入院しているかを電話で聞かれたら。→ 入院の有無を含めて答えない。
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