成人の心音の聴取部位を図に示す。 心音の聴診における、僧帽弁領域はどれか。 ただし、聴取部位は●で示す。
公式正答:3
解説
成人の心音の聴取部位の図から、僧帽弁領域を選ぶ。公式正答は③である。
この問題で問われていること
4つの弁の聴取部位と、その解剖学的な位置を対応づけられるか。
しくみから理解する
心音の聴取部位は、弁の解剖学的な位置そのものではなく、その弁で生じた音が最もよく伝わる胸壁上の位置になる。4つの部位を順に押さえる。大動脈弁領域=第2肋間の右胸骨縁。肺動脈弁領域=第2肋間の左胸骨縁。三尖弁領域=第4肋間の左胸骨縁(胸骨の左下縁)。僧帽弁領域=第5肋間の左鎖骨中線上、すなわち心尖部になる。したがって、僧帽弁領域は4つの部位のうち最も左下、心尖拍動を触れる位置にあたる。この配置は、右上→左上→左下(胸骨縁)→左外下(心尖部)と、時計回りにたどる順で覚えられる。
選択肢ごとの確認
僧帽弁領域ではない。第2肋間の右胸骨縁は大動脈弁領域、第2肋間の左胸骨縁は肺動脈弁領域になる。
僧帽弁領域ではない。第4肋間の左胸骨縁は三尖弁領域になる。
僧帽弁領域ではない。心尖部より外側や下方に外れた位置は、いずれの弁領域にもあたらない。
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混同しやすいポイント
弁の解剖学的な位置と、音の聴取部位が一致しない点が、この領域の要点になる。僧帽弁そのものは、心臓の中でやや中央に位置するが、その音は左心室の心尖部へ最もよく伝わるため、第5肋間の左鎖骨中線で聴く。同様に、大動脈弁は解剖学的には中央寄りにあるが、右第2肋間で聴く。「弁の位置=聴く位置」と考えると、すべて誤る。位置の数え方も要点で、胸骨角(ルイ角)が第2肋骨の高さにあたるため、そこから肋間を数え下ろす。
理解を深める
心音の聴診では、部位に加えて、音の種類と時相を聞き分ける。Ⅰ音は房室弁(僧帽弁と三尖弁)の閉鎖音で、心尖部で最もよく聴こえ、収縮期の始まりを示す。Ⅱ音は半月弁(大動脈弁と肺動脈弁)の閉鎖音で、心基部(第2肋間)でよく聴こえ、拡張期の始まりを示す。Ⅲ音は拡張早期に心室へ急速に血液が流入する音で、小児や若年者では生理的だが、成人では心不全を示唆する。Ⅳ音は心房収縮に伴う音で、心室のコンプライアンスの低下(心肥大、高血圧)を示す。心雑音は、時相(収縮期か拡張期か)、最強点、放散、強さ(レバイン分類のⅠ〜Ⅵ度)で評価する。代表的なものとして、大動脈弁狭窄症では収縮期に第2肋間右胸骨縁で駆出性の雑音を聴き、頸部へ放散する。僧帽弁閉鎖不全症では収縮期に心尖部で全収縮期の雑音を聴き、左腋窩へ放散する。聴診の技術としては、膜型(高い音:Ⅰ音、Ⅱ音、多くの雑音)と、ベル型(低い音:Ⅲ音、Ⅳ音、僧帽弁狭窄症の雑音)を使い分ける。静かな環境で、患者を仰臥位にし、必要に応じて左側臥位(心尖部の音が聴きやすくなる)や坐位前傾(大動脈弁の雑音が聴きやすくなる)をとってもらう。
間違えやすい考え方
図から部位を選ぶ型で、4つの弁領域の位置の記憶で判断できる。図中の番号の位置は別冊で要確認。
5分で振り返る
①大動脈弁領域=第2肋間の右胸骨縁。②肺動脈弁領域=第2肋間の左胸骨縁。③三尖弁領域=第4肋間の左胸骨縁。④僧帽弁領域=第5肋間の左鎖骨中線上(心尖部)。⑤弁の解剖学的な位置と聴取部位は一致しない(音が最もよく伝わる場所で聴く)。⑥肋間は胸骨角(第2肋骨の高さ)から数え下ろす。⑦Ⅰ音は房室弁の閉鎖音で心尖部、Ⅱ音は半月弁の閉鎖音で心基部でよく聴こえる。膜型は高い音、ベル型は低い音に用いる。
1分チェック
- 僧帽弁領域はどこか。→ 第5肋間の左鎖骨中線上(心尖部)。
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