鼻中隔前方からの出血への対応で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
鼻中隔前方からの出血への対応で正しいものを問う。Kiesselbach〈キーゼルバッハ〉部位を圧迫することである。
この問題で問われていること
出血部位の解剖から、止血の方法を導けるか。
しくみから理解する
鼻出血の大部分は、鼻中隔の前下方にあるキーゼルバッハ部位から起こる。ここは複数の動脈が吻合して毛細血管が密に集まる場所で、粘膜が薄く、外からの刺激(鼻をかむ、指で触る、乾燥)を受けやすい。前方の出血であるため、鼻翼を外側から指で圧迫すれば、この部位を直接押さえることになり止血できる。座位で前かがみになり、鼻翼を5〜10分程度、途中で緩めずに圧迫する。冷罨法を併用することもある。
選択肢ごとの確認
仰臥位にしてはならない。血液が咽頭へ流れ込み、誤嚥や、飲み込むことによる悪心・嘔吐を招く。また出血量の把握もできなくなる。座位で、やや前かがみの姿勢をとる。
ベロックタンポンは、後鼻孔から挿入して後方からの出血を止める方法で、医師が行う処置である。前方の出血が大部分であり、まず用いるものではない。前方の出血で圧迫でも止まらない場合は、ガーゼタンポンや止血材の挿入、電気凝固が行われる。
血液は飲み込まず、口から吐き出してもらう。飲み込むと、胃を刺激して悪心・嘔吐を招き、吐血と紛らわしくなる。また出血量が分からなくなる。
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混同しやすいポイント
『前方の出血なら前から押さえる』という単純な対応が答えになる。誤肢は、体位の誤り(仰臥位)、処置の段階の誤り(ベロックタンポンは後方の出血に対する医師の処置)、対応の誤り(飲み込む)で構成されている。いずれも、血液が咽頭へ流れることを防げないか、防ぐ必要を理解していない。
理解を深める
鼻出血が止まらない、繰り返す、大量である場合は、背景に注意する。高血圧、抗凝固薬・抗血小板薬の服用、肝疾患による凝固障害、血小板減少、白血病、遺伝性出血性末梢血管拡張症、鼻腔や副鼻腔の腫瘍が原因になりうる。とくに高齢者では、後方からの出血が多く、量も多くなりやすい。止血後の指導としては、しばらく鼻を強くかまない、鼻をいじらない、熱い風呂と激しい運動を避ける、乾燥を防ぐ(加湿、ワセリン)、といった内容を伝える。小児では、鼻をいじる習慣が原因のことが多く、爪を短く切る、乾燥を防ぐといった対応が有効になる。看護師が対応する場面では、出血量の把握、バイタルサイン、意識状態、既往と服薬の確認、そして本人と家族の不安への配慮が必要になる。血を見ることによる不安は大きく、落ち着いた説明が止血への協力を得るうえでも役立つ。
間違えやすい考え方
対応を問う型で、誤肢が体位の誤り・処置の段階の誤り・血液の扱いの誤りである。出血部位の解剖で切る。
5分で振り返る
①鼻出血の大部分は鼻中隔前下方のキーゼルバッハ部位から。②座位でやや前かがみ、鼻翼を5〜10分間、緩めずに圧迫する。③仰臥位は誤嚥と嘔吐を招き、出血量も分からなくなる。④血液は飲み込まず口から吐き出す。⑤ベロックタンポンは後方からの出血に対する医師の処置。⑥止まらない・繰り返す場合は高血圧、抗凝固薬、凝固障害、腫瘍を考える。⑦止血後は鼻をかまない、乾燥を防ぐ。
1分チェック
- 鼻出血の第一の対応は。→ 座位で前かがみ、鼻翼を5〜10分圧迫(キーゼルバッハ部位)。
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