A さん(47 歳、男性、会社員)は、尿管結石〈ureterolithiasis〉に よる疝痛発作で入院した。入院翌日、自然に排石され、疼痛は消失したものの、結石が残存している。入院前は、ほ ぼ毎日、飲酒を伴う外食をしていた。 A さんへの退院指導で適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
尿管結石で入院し、自然排石したが結石が残存している47歳男性への退院指導を問う。「1日2L程度の水分を摂取しましょう」である。
この問題で問われていること
結石の形成と排出を、尿量という観点から考えられるか。
しくみから理解する
尿量を増やすことは、尿路結石の再発予防と排石の促進の両方に有効である。尿が希釈されれば、シュウ酸カルシウムや尿酸といった結石の成分が過飽和になりにくく、新たな結石の形成が抑えられる。また尿量が増えれば、尿管内の結石を押し流す力が働く。1日尿量2L以上を目標に、水分を1日2〜2.5L程度摂ることが推奨される。就寝前や夜間の摂取も、夜間の尿の濃縮を防ぐ点で有効になる。
選択肢ごとの確認
シュウ酸を多く含む食品は控える。ほうれん草、たけのこ、チョコレート、ナッツ、紅茶、コーヒーなどが該当する。ただし完全に避ける必要はなく、カルシウムと一緒に摂ると腸管内でシュウ酸カルシウムとして結合し、吸収が減って結石の形成が抑えられる。カルシウムを制限すると、かえって尿中シュウ酸が増えて結石ができやすくなるため、カルシウムは適量を摂る。
安静ではなく、適度な運動を勧める。体を動かすことは、結石が尿管内を下降して排出されることを助ける。縄跳びや階段の昇降といった上下の動きが有効とされる。安静にしていると排石が進みにくい。
飲酒には制限が必要である。アルコールは利尿によって脱水を招き、尿を濃縮させる。またビールにはプリン体が多く、尿酸結石のリスクを高める。この患者はほぼ毎日飲酒を伴う外食をしており、飲酒と食事内容の両方が結石の背景にあると考えられる。
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混同しやすいポイント
『尿を薄くして流す』という原則から、水分は増やす、運動はする、シュウ酸と飲酒は控える、と一貫して導ける。誤肢はすべてこの原則の逆を示している。とくにカルシウムについては、「結石=カルシウム=制限」と誤解されやすいが、適量の摂取がむしろ予防になるという点が重要になる。
理解を深める
尿路結石の成分は、シュウ酸カルシウムが最も多く、次いでリン酸カルシウム、尿酸、リン酸マグネシウムアンモニウム(感染結石)、シスチンと続く。危険因子は、水分摂取の不足、動物性蛋白質と塩分の過剰、肥満、メタボリックシンドローム、高尿酸血症、副甲状腺機能亢進症、長期臥床、そして温暖な気候と夏季(発汗による濃縮)である。疝痛発作は、結石が尿管に嵌頓して尿の流れが妨げられ、腎盂内圧が上昇することで起こる。側腹部から鼠径部、陰部へ放散する激しい痛みと、悪心・嘔吐、血尿を伴う。対応は、鎮痛(非ステロイド性抗炎症薬)、輸液、そして自然排石が期待できない場合の体外衝撃波砕石術や内視鏡的な治療になる。発熱を伴う場合は、閉塞に感染が加わった状態(閉塞性腎盂腎炎)で、敗血症に至りうる緊急事態であるため、直ちに尿路の減圧が必要になる。再発率が高い疾患であり、生活指導の継続が重要になる。
間違えやすい考え方
『適切な退院指導』を問う型で、誤肢がすべて原則の逆である。尿を薄くして流すという一点から導く。
5分で振り返る
①水分を1日2〜2.5L摂り、尿量2L以上を目標にする。②シュウ酸を多く含む食品は控えるが、カルシウムは適量摂る(腸管でシュウ酸と結合して吸収を減らす)。③適度な運動が排石を助ける(安静にしない)。④飲酒は脱水と尿酸の増加を招くため制限する。⑤成分はシュウ酸カルシウムが最多。⑥疝痛は側腹部から鼠径部への放散痛と血尿。⑦発熱を伴えば閉塞性腎盂腎炎で緊急に減圧が要る。
1分チェック
- 尿路結石の再発予防の基本は。→ 1日2L程度の水分摂取(尿量2L以上)。
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