高齢者のコミュニケーション障害の要因と状態の組合せで正しいのはどれか。
公式正答:2
解説
高齢者のコミュニケーション障害の要因と状態の組合せで正しいものを問う。耳垢の蓄積と音が小さく聞こえることの組合せである。
この問題で問われていること
要因と、それが引き起こす状態を機序で対応づけられるか。
しくみから理解する
耳垢が外耳道に蓄積して塞ぐと、音の振動が鼓膜に伝わりにくくなり、伝音性難聴を生じる。その結果、音が小さく聞こえるようになる。高齢者では、耳垢が乾燥して硬くなりやすく、外耳道の自浄作用も低下するため、耳垢栓塞が起こりやすい。これは除去すれば改善する可逆的な原因であり、聞こえの低下を訴える高齢者では、まず耳垢の有無を確認する意義が大きい。認知症と誤解されている事例の中に、実は耳が聞こえていなかったというものが含まれる。
選択肢ごとの確認
歯牙の欠損は、発音の障害(とくにサ行、タ行などの子音)と咀嚼の困難を引き起こす。言葉が出てこないのは、失語や健忘(想起の障害)による症状であり、歯の問題では説明できない。
想起能力の低下は、言葉や名前が出てこない、思い出せないという症状につながる。相手の表情が読み取れないのは、視力の低下、視野の障害、あるいは社会的認知の障害によるもので、想起の問題ではない。
語音弁別能の低下は、音は聞こえるが言葉として聞き分けられない状態を指す。加齢性難聴の特徴で、「聞こえてはいるが何と言ったか分からない」という訴えになる。はっきり発音できないのは構音の問題であり、聞き取りの問題とは別になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも要因と状態を入れ替えて作られている。正しい組合せは、歯牙の欠損=発音の障害、想起能力の低下=言葉が出てこない、語音弁別能の低下=聞き分けられない、耳垢の蓄積=音が小さく聞こえる。それぞれの要因が身体のどの機能に関わるかを考えると、対応づけができる。
理解を深める
高齢者とのコミュニケーションでは、まず何が妨げているかを見極める。聞こえの問題か(伝音性か感音性か)、見えの問題か、言葉を作る問題か(構音障害)、言葉を選ぶ問題か(失語)、理解の問題か(認知機能)、意欲の問題か(抑うつ)。それぞれ対応が異なる。伝音性難聴では音量を上げることが有効だが、感音性難聴では大声よりも、正面から、ゆっくり、低めの声で、静かな環境で話すほうが伝わる。補聴器を使っている場合は、電池と装用の状態を確認する。視力の低下があれば、眼鏡の使用、明るさ、文字の大きさに配慮する。言葉が出てこない場合は、待つ、選択肢を示す、書いて示すといった方法がある。いずれの場合も、時間をかけること、複数の手段を組み合わせること、そして本人の尊厳を損なわない態度(子ども扱いしない、本人を飛ばして家族に話さない)が基本になる。聞こえや見えの問題を放置すると、社会的な孤立、抑うつ、認知機能の低下につながることが知られている。
間違えやすい考え方
組合せを問う型で、誤肢が要因と状態を入れ替えている。それぞれの要因がどの機能に関わるかで切る。
5分で振り返る
①耳垢栓塞=外耳道の閉塞による伝音性難聴、音が小さく聞こえる。除去で改善する可逆的な原因。②歯牙の欠損=発音の障害と咀嚼の困難。③想起能力の低下=言葉が出てこない。④語音弁別能の低下=聞こえるが聞き分けられない(加齢性難聴の特徴)。⑤伝音性は音量を上げると有効、感音性は正面から・ゆっくり・低めの声で。⑥聞こえの低下を訴える高齢者ではまず耳垢を確認する。⑦感覚の障害の放置は孤立・抑うつ・認知機能の低下を招く。
1分チェック
- 耳垢の蓄積は何を起こすか。→ 伝音性難聴(音が小さく聞こえる)。除去すれば改善する。
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