出生体重3,020 g の正期産児。 新生児期に最もチアノーゼを生じやすい先天性心疾患はどれか。
公式正答:4
解説
新生児期に最もチアノーゼを生じやすい先天性心疾患を問う。ファロー四徴症である。
この問題で問われていること
先天性心疾患を、短絡の方向でチアノーゼの有無に分けられるか。
しくみから理解する
ファロー四徴症は、心室中隔欠損、肺動脈狭窄、大動脈騎乗、右室肥大の4つを特徴とする。肺動脈狭窄によって右室から肺へ血液が送られにくく、右室の圧が上がるため、心室中隔欠損を通って静脈血が右から左へ流れ込む(右左短絡)。酸素化されていない血液が体循環へ回るため、チアノーゼが生じる。啼泣や哺乳、排便でいきんだときに、肺血流がさらに減って強いチアノーゼと呼吸困難、意識消失をきたす発作(無酸素発作、スペル)が起こることがあり、緊急の対応を要する。
選択肢ごとの確認
動脈管開存症は、本来出生後に閉じるべき動脈管が開いたままの状態で、大動脈から肺動脈へ血液が流れる左右短絡になる。肺血流が増え、心不全と多呼吸、体重増加不良を生じるが、チアノーゼは通常みられない。
心室中隔欠損症も左右短絡である。左室から右室へ血液が流れ、肺血流が増える。欠損が大きければ心不全をきたすが、チアノーゼは生じない。長期にわたり肺血流が多い状態が続くと、肺高血圧から短絡が逆転してチアノーゼが出現することがあり(アイゼンメンゲル症候群)、これは進行した状態になる。
心房中隔欠損症も左右短絡で、症状が乏しく、学童期以降に発見されることも多い。チアノーゼは生じない。
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混同しやすいポイント
先天性心疾患を、短絡の方向で2つに分ける。左右短絡(非チアノーゼ性)=心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、動脈管開存症、房室中隔欠損症。右左短絡(チアノーゼ性)=ファロー四徴症、完全大血管転位症、総肺静脈還流異常症、三尖弁閉鎖症。血液が「肺を通らずに体へ回る」経路があればチアノーゼが出る、と機序で理解する。誤肢3つはすべて左右短絡の代表で構成されている。
理解を深める
無酸素発作は、朝の啼泣時、哺乳時、排便時に起こりやすい。対応としては、まず膝胸位(膝を胸に引き寄せる姿勢)をとらせる。この姿勢は、下肢の動脈を屈曲させて体血管抵抗を上げ、右左短絡を減らして肺血流を増やす効果がある。年長児が自分でしゃがみ込む(蹲踞)のも同じ機序による。あわせて酸素投与、鎮静、輸液、必要に応じてβ遮断薬を用いる。予防としては、脱水を避ける(脱水は発作を誘発する)、啼泣を長引かせない、便秘を防ぐことが挙げられる。看護では、哺乳と啼泣の様子、体重の増加、チアノーゼの程度、ばち指の有無、活動時の変化を観察する。手術は、根治術(心室中隔欠損の閉鎖と右室流出路の拡大)が行われ、それまでの間に姑息術(体肺動脈短絡術)が必要になることもある。家族には、発作時の対応(膝胸位)を具体的に伝え、実際にやってみてもらうことが重要になる。
間違えやすい考え方
疾患を問う型で、誤肢がすべて左右短絡(非チアノーゼ性)である。短絡の方向で切る。
5分で振り返る
①ファロー四徴症=心室中隔欠損・肺動脈狭窄・大動脈騎乗・右室肥大。②肺動脈狭窄により右左短絡が生じチアノーゼが出る。③左右短絡(心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、動脈管開存症)ではチアノーゼは生じない。④無酸素発作は啼泣・哺乳・排便で誘発される。⑤対応は膝胸位(体血管抵抗を上げて肺血流を増やす)、酸素、鎮静、輸液。⑥予防は脱水を避け、便秘を防ぐ。⑦年長児の蹲踞も同じ機序。
1分チェック
- 新生児期にチアノーゼを生じる先天性心疾患は。→ ファロー四徴症(右左短絡)。
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