子どもに医療処置を行う際、看護師が行うディストラクションはどれか。
公式正答:4
解説
子どもに医療処置を行う際、看護師が行うディストラクションを問う。子どもの注意を処置ではなく他のものに向けることである。
この問題で問われていること
処置時の支援の技法を、目的で区別できるか。
しくみから理解する
ディストラクション(気そらし)は、処置の最中に、子どもの注意を痛みや不安の対象から別のものへ向けることで、苦痛の体験を和らげる方法である。具体的には、好きな歌を歌う、シャボン玉を吹く、絵本を読む、数を数える、タブレットで動画を見る、キャラクターを探す、深呼吸をしてもらう、といった方法がある。年齢と好みに合わせて選び、可能なら事前に何をするか本人と決めておく。痛みの体験は注意の向け方によって変わることが知られており、これは心理的な支援であると同時に、疼痛管理の一部でもある。
選択肢ごとの確認
処置後にがんばりを認めることは、賞賛やポジティブフィードバックにあたる。子どもの自己効力感を高め、次の処置への向き合い方を支える重要な関わりだが、処置中の注意をそらす方法ではない。
人形を用いて説明することは、プレパレーション(心理的準備)にあたる。処置の前に、何が起こるかを発達段階に応じた方法で伝え、対処する力を引き出す関わりである。時期が処置の前である点が異なる。
対処行動のパターンを把握することは、アセスメントにあたる。その子がどのように困難に向き合うか(積極的に情報を求めるか、避けるか、誰かに頼るか)を知ることは、支援の方法を選ぶ材料になるが、それ自体がディストラクションではない。
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混同しやすいポイント
処置に伴う支援を、時間軸で整理すると区別しやすい。処置の前=プレパレーション(説明と準備)、アセスメント(対処のパターン、これまでの経験)。処置の中=ディストラクション、ポジショニング(保護者の膝の上など安心できる姿勢)、痛みの緩和(局所麻酔薬のクリーム、ショ糖水)。処置の後=賞賛、遊びを通じた表現の機会(プレイセラピー)、記録と次への引き継ぎ。誤肢はそれぞれ、処置の後、前、そしてアセスメントに属している。
理解を深める
子どもの痛みへの対応では、薬物と非薬物の方法を組み合わせる。非薬物的方法には、ディストラクション、リラクセーション(深呼吸)、イメージ法、タッチング、抱っこ、授乳や吸啜(乳児では、ショ糖水を含ませることや母乳が鎮痛効果を持つことが知られている)がある。薬物的方法としては、採血や静脈路確保の前に局所麻酔薬のクリームやテープを用いることができる。処置の際の姿勢も重要で、寝かせて押さえつけるより、保護者の膝の上で抱かれた姿勢(コンフォートポジション)のほうが、子どもの不安が減り、実際に動きも少なくなることが知られている。押さえつけることは、恐怖と無力感を残し、その後の医療への拒否につながるため、必要最小限にする。処置の回数を減らす工夫(採血をまとめる、留置針を活用する)も、子どもへの配慮になる。これらは「子どもの権利」の観点からも重視されており、痛みを最小限にすることは医療者の責務とされている。
間違えやすい考え方
技法を問う型で、誤肢が処置の前・後・アセスメントに属するものである。時間軸と目的で切る。
5分で振り返る
①ディストラクション=処置中に注意を別のものへ向けて苦痛を和らげる。②方法は歌、シャボン玉、絵本、数を数える、動画、深呼吸など。③処置前の説明と準備はプレパレーション。④処置後の賞賛はポジティブフィードバック。⑤対処のパターンの把握はアセスメント。⑥薬物(局所麻酔クリーム)と非薬物を組み合わせる。⑦押さえつけるより保護者の膝の上の姿勢のほうが不安も動きも減る。
1分チェック
- ディストラクションとは。→ 処置の最中に注意を他のものへ向けて苦痛を和らげること。
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