児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉に基づいて行う通告で正しいの はどれか。
公式正答:4
解説
児童虐待防止法に基づいて行う通告で正しいものを問う。児童が同居している家庭における配偶者に対する暴力は通告の対象となることである。
この問題で問われていること
通告の対象と手続きを、法の規定として把握しているか。
しくみから理解する
児童虐待防止法では、児童虐待を、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4類型に分けている。心理的虐待には、児童に対する著しい暴言や拒絶的な対応に加えて、「児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力」が明示的に含まれる。子どもが直接暴力を受けていなくても、家庭内で暴力を目撃すること自体が心理的な虐待にあたるという考え方で、面前ドメスティック・バイオレンスと呼ばれる。近年、児童相談所への相談対応件数のうち心理的虐待が最も多く、その増加の背景にはこの通告の増加がある。
選択肢ごとの確認
通告先は、市町村、都道府県の設置する福祉事務所、または児童相談所である。警察ではない。ただし、生命の危険が差し迫っている場合は警察へ通報する。通告と、緊急時の110番通報は別のものとして理解する。
守秘義務より通告が優先される。法には、通告をすることが守秘義務の規定に妨げられないと明記されている。医療者が守秘義務を理由に通告をためらうことがないよう、法が明示している点が重要になる。
児童自身の意思を尊重することが通告の要件として規定されているわけではない。虐待を受けている子どもは、親をかばう、話せない、自分が悪いと思っているといった理由で、被害を訴えないことが多い。本人の同意や意思を条件にすれば、通告が成り立たなくなる。通告は「虐待を受けたと思われる児童を発見した者」の義務であり、確証も本人の同意も要件ではない。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
誤肢は、通告先の誤り、守秘義務との優先関係の誤り、要件の誤りで構成されている。いずれも、通告をためらわせる方向を向いている点が共通している。法の設計は逆で、通告のハードルを下げ、確証がなくても、本人の同意がなくても、守秘義務を理由にせず通告できるようにしている。この趣旨を理解しておくことが、実務での判断につながる。
理解を深める
通告した者を特定させる情報は漏らしてはならないと法に定められており、通告者は保護される。通告を受けた市町村または児童相談所は、48時間以内を目安に子どもの安全を直接確認することとされている。必要に応じて、立入調査、一時保護、施設入所措置がとられる。医療機関では、不自然な受傷、説明と傷の不一致、受診の遅れ、繰り返す受傷、栄養不良、極端におびえるか逆に過度になれなれしい態度、養護者の言動から虐待を疑う。院内の虐待対応組織(子ども虐待対応チーム)に相談し、組織として対応する。一人の判断で抱え込まないことが原則になる。虐待の背景には、養育者自身の孤立、経済的困難、精神疾患、被虐待の経験、子どもの育てにくさといった要因があることが多く、支援の対象として捉える視点も必要になる。ただし、支援の視点は、子どもの安全確保を後回しにする理由にはならない。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢がすべて通告をためらわせる内容である。法の趣旨(通告のハードルを下げる)で切る。
5分で振り返る
①虐待の4類型=身体的・性的・ネグレクト・心理的。②心理的虐待に「児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力」が明示されている(面前DV)。③通告先は市町村、福祉事務所、児童相談所(警察ではない。緊急時は110番)。④通告は守秘義務に妨げられない。⑤確証も本人の同意も要件ではない(「思われる」段階で通告する)。⑥通告者を特定させる情報は漏らしてはならない。⑦48時間以内を目安に安全を直接確認する。
1分チェック
- 面前ドメスティック・バイオレンスは。→ 心理的虐待として通告の対象になる。
この問題に対応する教材の確認中です。