日本の人工妊娠中絶で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
日本の人工妊娠中絶で正しいものを問う。実施が可能なのは妊娠22週未満の場合であることである。
この問題で問われていること
母体保護法の規定と、関連する統計を把握しているか。
しくみから理解する
母体保護法では、人工妊娠中絶を「胎児が母体外において生命を保続することのできない時期に、人工的に胎児及びその附属物を母体外に排出すること」と定義している。この時期は、厚生労働省の通知により妊娠22週未満とされている。22週を境とするのは、これ以降は新生児医療によって生存できる可能性があるためで、医学の進歩に伴い、かつての24週未満から短縮された経緯がある。実施できるのは、都道府県の医師会が指定する母体保護法指定医師に限られる。
選択肢ごとの確認
配偶者の同意は、配偶者がいる場合には必要とされるが、必須ではない。配偶者が知れないとき、意思を表示できないとき、妊娠後に配偶者が死亡したときは、本人の同意だけで足りる。以上が条文に定められた例外になる。これとは別に行政の解釈として、性犯罪の加害者は配偶者に当たらないため同意を要しないこと、配偶者からの暴力により婚姻関係が実質的に破綻している場合も同意を求める必要がないことが示されている。なお、婚姻関係にある女性が第三者による性犯罪で妊娠した場合は、配偶者が別に存在するため、この解釈がそのままは当てはまらず、個別に判断する。
死産の届出が必要になるのは、妊娠12週以降である。10週ではない。死産届は、妊娠満12週以後の死児の出産について、7日以内に届け出ることとされている(死産の届出に関する規程)。
実施率(15〜49歳の女子人口千対)は、20歳未満より20〜24歳のほうが高い。年齢別では20歳代が最も高く、20歳未満はそれより低い。ただし20歳未満の中絶は、その後の生活と健康への影響、背景にある性教育や貧困、暴力といった問題を含むため、数の多寡とは別に重要な課題になる。
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混同しやすいポイント
数値を3つ押さえる。人工妊娠中絶が可能なのは22週未満、死産の届出が必要なのは12週以降、そして出生届は14日以内。それぞれ根拠が異なる(母体保護法の通知、死産の届出に関する規程、戸籍法)。年齢別の実施率は20歳代が最も高い、という傾向も併せて覚える。
理解を深める
人工妊娠中絶が認められる要件は、①妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの、②暴行もしくは脅迫によってまたは抵抗もしくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの、の2つである。実際には①の経済的理由による実施が大半を占める。方法は、妊娠初期では吸引法または掻爬法、近年は経口中絶薬も承認された。妊娠中期(12週以降)では、分娩と同様の経過をたどるため入院を要し、死産届も必要になる。看護では、身体的なケアに加えて、心理的な支援が重要になる。中絶を選ぶ女性は、罪悪感、喪失感、周囲からの非難への恐れを抱えていることが多い。判断を評価せず、その人の状況と気持ちを受け止める姿勢が求められる。あわせて、次の妊娠に向けた避妊の相談、パートナーとの関係、必要であれば社会資源(相談窓口、経済的支援)への橋渡しを行う。予期しない妊娠を減らすには、性教育、避妊の知識と手段へのアクセス、そして相談できる場が必要になる。
間違えやすい考え方
法令と統計を問う型で、誤肢が同意の要件・届出の週数・年齢別の傾向の誤りである。3つの数値で切る。
5分で振り返る
①人工妊娠中絶は妊娠22週未満(母体保護法の定義と通知)。②実施できるのは母体保護法指定医師。③配偶者の同意は配偶者がいる場合に必要。条文上の例外は、知れない・意思表示できない・妊娠後に死亡の3つ。これとは別に、性犯罪の加害者は配偶者に当たらないこと、配偶者からの暴力で婚姻関係が実質的に破綻している場合も同意を要しないことが、行政の解釈として示されている。④死産の届出は妊娠12週以降、7日以内。⑤出生届は14日以内。⑥年齢別の実施率は20歳代が最も高い。⑦要件は母体の健康を著しく害するおそれ、または性犯罪による妊娠。
1分チェック
- 人工妊娠中絶が可能なのは。→ 妊娠22週未満(死産の届出は12週以降)。
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