患者とその家族や医療者が患者にとって望ましい治療を探り、お互いが納得する 治療を選択できるようにしていくのはどれか。
公式正答:2
解説
患者とその家族や医療者が、患者にとって望ましい治療を探り、互いが納得する治療を選択できるようにしていくものを問う。共同意思決定である。
この問題で問われていること
意思決定に関わる概念を、誰がどう関わるかで区別できるか。
しくみから理解する
共同意思決定(シェアード・ディシジョン・メイキング)は、医療者が持つ医学的な知識と、患者が持つ価値観・生活・希望という2種類の専門性を持ち寄り、話し合って一緒に治療を決める過程を指す。医療者が決めて患者が従うのでも、情報だけ渡して患者に選ばせるのでもない。とくに、複数の選択肢があってどれが最善か一概に決まらない場面(治療の選択、療養の場、出産の方法、終末期の方針)で有用とされる。精神科医療では、服薬の選択や地域生活の組み立てにおいて実践が広がっている。
選択肢ごとの確認
心理教育は、疾患や治療、対処の方法についての知識を、患者と家族に体系的に提供する働きかけである。再発の予防と自己管理を支えるうえで重要だが、情報の提供が中心であり、一緒に決める過程を指す語ではない。
ストレングスは、その人の持つ強み(能力、経験、関係、環境の資源)に着目する考え方である。支援の視点を示す語であり、意思決定の過程を指すものではない。
アドヒアランスは、患者が治療の必要性を理解し、主体的に治療に参加して継続することを指す。医療者の指示に従うコンプライアンスより一歩進んだ概念だが、決定そのものを一緒に行う共同意思決定とは焦点が異なる。
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混同しやすいポイント
関わりの段階として並べると区別しやすい。コンプライアンス=指示に従う。アドヒアランス=理解して主体的に参加する。共同意思決定=一緒に決める。共同創造=計画から提供まで一緒につくる。心理教育とストレングスは、この軸とは別の概念(前者は情報提供の方法、後者は着目する視点)になる。設問文の「お互いが納得する治療を選択できるように」という表現が、共同意思決定を指している。
理解を深める
共同意思決定の進め方には、いくつかの段階がある。選択肢があることを伝える、それぞれの選択肢の利点と欠点を、確実に分かっていることと分かっていないことを含めて説明する、患者が何を大切にしているかを尋ねる、一緒に検討する、決定を支持し、必要なら見直す。この過程を支える道具として、意思決定支援ツール(デシジョンエイド)が用いられることもある。看護師の役割は、医師の説明を患者が理解できたか確認する、聞けなかった疑問を引き出す、生活への影響を具体的に一緒に考える、家族の意向との折り合いを支える、決定の後も揺れる気持ちに寄り添う、といった形で現れる。精神科医療では、判断能力が変動しうること、過去に自分の意思を尊重されなかった経験を持つ人がいることに配慮する。判断能力が十分でない場合も、意思決定を代行するのではなく、本人の意思を推定し、残された力を活かして参加してもらう支援(意思決定支援)が原則になる。
間違えやすい考え方
概念を問う型で、誤肢が情報提供・視点・治療への参加である。誰がどう関わるかで切る。
5分で振り返る
①共同意思決定=医学的知識と、患者の価値観・生活を持ち寄って一緒に決める過程。②複数の選択肢があり最善が一概に決まらない場面で有用。③コンプライアンス(従う)→アドヒアランス(主体的に参加)→共同意思決定(一緒に決める)→共同創造(一緒につくる)。④心理教育は知識の提供、ストレングスは強みに着目する視点。⑤看護師は理解の確認、疑問の引き出し、生活への影響の検討を担う。⑥判断能力が十分でなくても、代行ではなく参加を支える。
1分チェック
- 患者と医療者が一緒に治療を決める過程は。→ 共同意思決定。
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