A さん(90 歳、男性)は要介護3となり、長男(60 歳)と同居することになった。 長男は「親を介護することがこんなに大変だとは思わなかった。親が衰えてつらい と感じるのは自分だけだろうか」と訪問看護師に話した。 訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
要介護3の父と同居を始めた長男が「親を介護することがこんなに大変だとは思わなかった。親が衰えてつらいと感じるのは自分だけだろうか」と話した場面での訪問看護師の対応を問う。親の介護をしている介護者の了解を得て長男に紹介することである。
この問題で問われていること
訴えの中身を読み、それに応える支援を選べるか。
しくみから理解する
長男の言葉には、二つの内容がある。介護の負担が予想以上に重いという事実と、「つらいと感じるのは自分だけだろうか」という孤立感である。後者は、同じ経験をしている人がいることを知りたい、自分の感じ方が異常ではないと確かめたいという気持ちの表れになる。これに応えるのは、同じ立場の介護者とのつながりであり、ピアサポートにあたる。同じ経験をした人の話を聞くことで、自分だけではないと感じられ、具体的な工夫も学べる。紹介にあたって相手の了解を得るのは、個人情報への配慮として当然の手順になる。
選択肢ごとの確認
介護方法の説明は、技術的な負担には応えるが、「自分だけだろうか」という孤立感には応えていない。また、この段階で技術を教えることは、「もっとうまくやりなさい」という含意を持ちうる。
訪問看護の時間中に外出を促すことは、休息の機会としては意味があるが、本人が求めていることとは異なる。また、まだ気持ちを聴いていない段階で行動を促すのは順序が逆になる。
短期入所サービスの利用は、介護負担の軽減として有効な選択肢である。ただし、同居を始めたばかりで、負担を言葉にした最初の段階でいきなり勧めると、「親を預けろと言われた」と受け取られることもある。まず気持ちを受け止め、つながりをつくったうえで、必要に応じて提案する順序になる。
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混同しやすいポイント
誤肢はいずれも、実際には有用な支援である。判断の軸は、この人が今何を求めているかにある。「つらいと感じるのは自分だけだろうか」という問いに直接応えるのは、同じ立場の人とのつながりになる。訴えの言葉をそのまま読むことが、この型の設問の鍵になる。
理解を深める
家族介護者への支援は、在宅療養の継続を左右する。負担は、身体的(介護動作、睡眠不足)、精神的(責任、孤立、将来への不安、看取りへの恐れ)、社会的(就労との両立、自分の時間の喪失、人間関係の縮小)、経済的な側面に及ぶ。支援の方法としては、介護技術の指導、サービスの導入による負担の軽減、レスパイト(短期入所、通所、訪問による休息)、介護者の会や家族会、相談窓口、そして介護者自身の健康管理がある。訪問看護師は、療養者だけでなく介護者の状態も観察する。睡眠、食事、体重、表情、疲労、抑うつ、飲酒の増加、療養者への言動の変化に注意を払う。介護者が倒れれば在宅療養は成り立たない。「よくやっていますね」という承認、そして「つらいと言ってよい」と伝えることも、支援の一部になる。介護をしていて否定的な感情を抱くことは自然であり、それを責めない姿勢が、介護者が本音を話せる関係につながる。
間違えやすい考え方
『最も適切な対応』を問う型で、誤肢がいずれも有用な支援である。訴えの言葉が求めているもので切る。
5分で振り返る
①訴えは介護の負担と、「自分だけか」という孤立感の2つ。②孤立感に応えるのは同じ立場の人とのつながり(ピアサポート)。③紹介には相手の了解を得る。④介護方法の説明は技術に応えるが孤立感には応えない。⑤短期入所は有効だが、最初の訴えの段階では「預けろ」と受け取られうる。⑥介護者の負担は身体・精神・社会・経済の4側面。⑦介護者自身の睡眠・食事・表情・飲酒・言動の変化を観察する。
1分チェック
- 「つらいのは自分だけか」と問う介護者に。→ 同じ立場の介護者とのつながりを紹介する(了解を得たうえで)。
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