A 君(4歳、男児)は地震による災害のため体育館に両親と避難し、2週後に仮 設住宅に移動した。その後1か月経過したころから、A 君はわざと机や椅子をガ タガタ揺らしながら「地震だ、逃げろ」などと騒いで遊んでいた。母親は仮設住宅に 巡回に来ていた看護師に「A の遊びにどのように対応したらよいでしょうか」と相 談した。 看護師の母親への説明で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
地震で避難し仮設住宅に移った4歳男児が、机や椅子を揺らして「地震だ、逃げろ」と騒いで遊んでいる状況で、母親への説明を問う。「避難できたから安心だね、と声をかけながら見守りましょう」である。
この問題で問われていること
災害後の子どもの再現遊びの意味を理解しているか。
しくみから理解する
災害を経験した子どもが、その出来事を遊びの中で繰り返し再現することがある。これはポストトラウマティック・プレイと呼ばれ、言葉で表現しきれない体験を、遊びを通して処理し、圧倒された体験に対して自分が主導権を持てるようにする過程と考えられている。この時期の子どもにとって自然な反応であり、止めさせるべきものではない。大人にできることは、遊びを見守りながら、「今は安全である」という現実を言葉で添えることである。「避難できたから安心だね」という声かけは、まさにこれにあたる。
選択肢ごとの確認
すぐに児童精神科の診察を受ける必要はない。再現遊びは多くの場合、正常な反応の範囲にある。ただし、遊びが苦痛を伴い繰り返しやめられない、日常生活に支障がある、症状が長期に続く、著しい退行や無表情がみられるといった場合は、専門的な支援を検討する。
やめさせることは適切でない。遊びを通じた表現を止めることは、体験を処理する機会を奪うことになる。ただし、危険な遊びに発展する場合は、安全を確保しながら、別の表現の手段(絵を描く、話す)へ導く配慮はありうる。
家の手伝いをして役割を担ってもらうことは、それ自体は子どもの自己効力感を高める良い方法である。しかし、この遊びへの対応としては噛み合わない。また、役割を与えることで遊びをやめさせようとするなら、実質的には選択肢2と同じことになる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、専門機関へすぐ回す、やめさせる、別のことをさせるという3つの方向で、いずれも遊びを問題行動として扱っている。再現遊びが回復の過程の一部であるという理解が、対応を分ける。母親は不安を抱えて相談しているので、この遊びの意味を説明し、見守ってよいと伝えることが、母親自身の安心にもつながる。
理解を深める
災害後の子どもの反応は、年齢によって異なる。乳幼児では、退行(おねしょ、指しゃぶり、甘え)、分離不安、夜泣き、食欲の変化、再現遊びがみられる。学童期では、身体症状(腹痛、頭痛)、集中力の低下、学業への影響、災害への過度の関心または回避が現れる。思春期では、無関心を装う、逆に過度に責任を感じる、リスクの高い行動をとることがある。いずれの年齢でも、支援の基本は、安全と日常の回復、いつもの生活の型(食事、睡眠、遊び、学校)の再開、信頼できる大人がそばにいること、そして体験を無理に語らせないことにある。災害の映像を繰り返し見ることは症状を悪化させうるため、視聴を制限する。子どもの反応は、周囲の大人の状態に大きく影響されるため、保護者への支援が子どもへの支援になる。この事例でも、母親が不安を抱えて相談してきた点に着目し、母親自身の状況も尋ねる姿勢が求められる。
間違えやすい考え方
『説明する内容』を問う型で、誤肢がすべて遊びを問題行動として扱っている。再現遊びの意味で切る。
5分で振り返る
①災害後の再現遊び(ポストトラウマティック・プレイ)は、体験を処理する自然な過程。②止めさせず、「今は安全だ」という現実を言葉で添えて見守る。③苦痛を伴い止められない、生活に支障がある、長期に続く場合は専門的支援を検討する。④乳幼児は退行・分離不安・夜泣き、学童は身体症状と集中力の低下、思春期は無関心を装うか過度の責任感。⑤日常の型の回復が支援の基本。⑥体験を無理に語らせない。⑦災害の映像の繰り返しの視聴を制限する。⑧子どもの反応は周囲の大人の状態に影響される。
1分チェック
- 災害後の再現遊びには。→ 止めさせず、「今は安全だ」と言葉を添えて見守る。
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