A ちゃん(3歳)は、両親(外国籍)と3人で暮らしている。来日して1か月が 経った。2日前に急性胃腸炎〈acute gastroenteritis〉で個室に入院した。症状が改善し、経口での食事を再 開することになった。看護師が訪室すると、香辛料の香りが部屋に充満しており、 唐辛子の入った肉などのたくさんの料理が並べられていた。母親は看護師に気付く と「A は日本食には慣れておらず、食べられないので家で作ってきました」と話し た。 このときの母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
来日1か月の外国籍の両親をもつ3歳児が入院し、食事を再開する際に、両親が香りの強い持ち込み食を用意していた場面での看護師の対応を問う。普段のAちゃんの食事の内容を尋ねることである。
この問題で問われていること
文化的な背景の違いに、どう向き合うかを判断できるか。
しくみから理解する
来日1か月という状況では、子どもは日本の食事に慣れていない可能性が高い。急性胃腸炎の後で食欲が戻らないとき、食べ慣れた味のものであれば食べられることは十分にある。まず必要なのは、その子が普段何を食べているかを知ることである。それによって、持ち込み食が医学的に問題ないか(消化に負担がないか、香辛料が強すぎないか、アレルギーはないか)を判断でき、病院食の内容を調整することもできる。禁止や指導から入るのではなく、理解から始める姿勢が、この場面の看護になる。
選択肢ごとの確認
栄養指導を受けるまで持ち込みができないと説明することは、根拠のない制限になる。持ち込み食の可否は施設の方針によるが、それを理由に一律に禁じる前に、何を持ち込もうとしているかを知る必要がある。また、来日1か月で日本語が十分でない可能性のある家族に、いきなり制限を伝えることは、関係を損なう。
たくさん食べさせて体力を回復させるという助言は、急性胃腸炎の後の食事再開としては適切でない。少量から、消化のよいものを、徐々に増やすのが原則になる。
病院食を完食するまで持ち込み食を食べさせないという対応は、子どもの食べる意欲をさらに削ぐ。食べ慣れないものを完食させようとすることは、この状況では現実的でない。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
誤肢は、制限する、量を求める、条件をつけるという方向で、いずれも家族の行動を制御しようとしている。この場面で必要なのは、まず状況を理解することである。持ち込み食を用意したのは、子どもに食べてほしいという親の思いの表れでもあり、その気持ちを否定しない関わりが求められる。
理解を深める
文化的な背景の異なる患者と家族への看護では、いくつかの原則がある。決めつけない(同じ国の出身でも個人差が大きい)、本人と家族に尋ねる、通訳や多言語資料を活用する、宗教上の禁忌(食材、輸血、性別による診察者の希望、祈りの時間と場所)を確認する、そして医学的に譲れない部分と、譲れる部分を区別する。食事については、宗教上の制限(豚肉、アルコール、牛肉、動物性食品)、調理法、香辛料の使用、温度、食事の時刻、手で食べる習慣などが異なりうる。病院食で対応できる範囲を確認し、難しければ持ち込みを含めて相談する。子どもの入院では、慣れない環境に加えて言葉が通じない不安が重なるため、家族の付き添いの意義が大きい。両親自身も、来日直後で生活が定まらないなかでの入院という困難を抱えている。医療費、在留資格、地域の相談窓口についても、必要に応じて医療ソーシャルワーカーにつなぐ。
間違えやすい考え方
『適切な対応』を問う型で、誤肢がすべて制限と要求である。まず理解する、という順序で切る。
5分で振り返る
①来日1か月では日本の食事に慣れていない可能性が高い。②食べ慣れた味なら食べられることがある。③まず普段の食事内容を尋ね、医学的な問題の有無を判断する。④根拠のない制限や、完食を条件にすることは意欲を削ぐ。⑤急性胃腸炎後は少量から消化のよいものを徐々に。⑥文化的背景は決めつけず本人と家族に尋ねる。⑦宗教上の禁忌(食材、輸血、診察者の性別、祈り)を確認する。
1分チェック
- 文化の異なる家族の持ち込み食に。→ まず普段何を食べているかを尋ねる(理解から始める)。
この問題に対応する教材の確認中です。