声帯の運動や緊張度を調節する神経を分枝するのはどれか。
公式正答:4
解説
声帯の運動や緊張度を調節する神経を分枝するものを問う。迷走神経である。
この問題で問われていること
脳神経の支配領域を、喉頭という部位から特定できるか。
しくみから理解する
喉頭の筋(声帯を動かす筋を含む)は、迷走神経の枝である反回神経(下喉頭神経)と上喉頭神経によって支配される。反回神経は、輪状甲状筋を除くすべての喉頭内筋を支配し、声帯の開閉と緊張を調節する。上喉頭神経は、外枝が輪状甲状筋(声帯を伸展させて高い声を出す)を、内枝が声門より上の粘膜の知覚を担う。迷走神経は第Ⅹ脳神経で、咽頭、喉頭、そして胸腹部の内臓に広く分布する副交感神経でもある。
選択肢ごとの確認
三叉神経(第Ⅴ脳神経)は、顔面の知覚と咀嚼筋の運動を担う。喉頭の運動には関与しない。
顔面神経(第Ⅶ脳神経)は、顔面表情筋の運動、舌の前3分の2の味覚、涙腺と唾液腺(顎下腺・舌下腺)の分泌を担う。喉頭は支配しない。
舌咽神経(第Ⅸ脳神経)は、舌の後3分の1の味覚と知覚、咽頭の知覚、耳下腺の分泌、そして茎突咽頭筋の運動を担う。咽頭には関わるが、喉頭の運動は迷走神経による。咽頭と喉頭の区別が要点になる。
舌下神経(第Ⅻ脳神経)は、舌筋の運動を担う。麻痺すると舌を出したときに患側へ偏位する。喉頭は支配しない。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
咽頭と喉頭を区別することが鍵になる。咽頭(食物と空気の共通路)の知覚は舌咽神経、運動は迷走神経と舌咽神経。喉頭(声帯を含む気道)の運動と知覚は迷走神経(反回神経と上喉頭神経)。誤肢のうち舌咽神経が最も紛らわしいが、支配するのは咽頭であって喉頭ではない。嚥下と発声には複数の脳神経が協調して働くため、それぞれの役割を分けて覚える。
理解を深める
反回神経は、その走行から臨床上重要になる。右側は右鎖骨下動脈の下を、左側は大動脈弓の下を回って上行するため、左側のほうが長く走行し、胸部の病変の影響を受けやすい。甲状腺の手術、食道癌の手術、大動脈瘤、肺癌の縦隔浸潤、大動脈弓の病変によって障害されると、反回神経麻痺となる。片側の麻痺では嗄声(かすれ声)が生じ、誤嚥のリスクも高まる。両側の麻痺では、声帯が正中位で固定されて気道が狭窄し、呼吸困難と吸気性喘鳴をきたして、緊急の気道確保を要することがある。甲状腺手術後の看護では、抜管後の声の変化、呼吸状態、飲水時のむせを観察する。あわせて、副甲状腺の損傷による低カルシウム血症(口周囲のしびれ、テタニー、トルソー徴候、クボステック徴候)、出血による血腫と気道圧迫にも注意する。これらは術後数時間から48時間以内に生じうるため、この時期の観察が重要になる。
間違えやすい考え方
神経の支配領域を問う型で、誤肢がすべて頭頸部の脳神経である。咽頭と喉頭の区別で切る。
5分で振り返る
①喉頭の筋は迷走神経(第Ⅹ)の枝である反回神経と上喉頭神経が支配する。②反回神経は輪状甲状筋以外のすべての喉頭内筋を支配。③上喉頭神経の外枝は輪状甲状筋、内枝は声門上の知覚。④舌咽神経(第Ⅸ)は咽頭の知覚(喉頭ではない)。⑤左反回神経は大動脈弓を回るため走行が長く障害されやすい。⑥片側麻痺は嗄声、両側麻痺は気道狭窄で緊急事態。⑦甲状腺術後は声・呼吸・低カルシウム血症・血腫を観察する。
1分チェック
- 声帯を動かす神経は。→ 迷走神経(反回神経と上喉頭神経)。
この問題に対応する教材の確認中です。