乳房について正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
乳腺は皮膚の付属器であるアポクリン汗腺が変化してできた器官。汗腺の仲間という発生上の由来を問う問題。
この問題で問われていること
乳房の構造と機能、そして発生上の由来を言えるか。ホルモンの作用の向きを取り違えていないか。
しくみから理解する
乳腺は皮膚の付属器で、発生学的にはアポクリン汗腺が変化したものである。乳汁をつくるのは腺房(乳腺小葉のなかの分泌細胞)で、つくられた乳汁は乳管を通って乳頭へ運ばれる。乳管は運ぶ管であって産生する場所ではない。授乳のとき、乳頭への吸啜刺激が下垂体後葉からのオキシトシン分泌を促し、オキシトシンは腺房の周囲を取り巻く筋上皮細胞を収縮させて乳汁を押し出す(射乳反射)。プロラクチンは下垂体前葉から出て乳汁の産生そのものを促す。月経前に乳房が張るのは、黄体期に増えるプロゲステロンの影響が主とされる。
選択肢ごとの確認
月経前(黄体期)に優位になるのはプロゲステロン。乳腺の腺房を発達させ、水分の貯留を促して張り感を生じる。エストロゲンは主に乳管の発育に関わる。
逆。オキシトシンは腺房周囲の筋上皮細胞を収縮させて乳汁を押し出す。弛緩させたら乳汁が出ない。
発生学的にアポクリン汗腺由来の皮膚付属器である。
乳房の脂肪は白色脂肪組織。褐色脂肪組織は熱産生に特化した組織で、新生児の肩甲間部・腎周囲・頸部などに分布する。
乳汁を産生するのは腺房。乳管は運ぶ管である。
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混同しやすいポイント
オキシトシンの作用の向きは、分娩時の子宮収縮と対にして覚えると崩れない。どちらも「収縮させる」。子宮を収縮させて児を娩出し、乳腺の筋上皮細胞を収縮させて乳汁を出す。緩ませることはない。
理解を深める
授乳の仕組みは2つのホルモンの分業で理解できる。プロラクチン=乳汁をつくる(前葉)、オキシトシン=乳汁を出す(後葉)。どちらも乳頭の吸啜刺激で分泌が増えるので、頻回に吸わせることが乳汁分泌の維持につながる。オキシトシンは同時に子宮を収縮させるため、授乳中に後陣痛を感じたり、子宮復古が促されたりする。また心理的な緊張や痛みはオキシトシンの分泌を妨げるので、リラックスできる環境づくりが射乳に効く。乳腺がアポクリン汗腺由来であることは、腋窩に副乳ができることの説明にもなる(乳腺堤に沿って発生するため)。
間違えやすい考え方
1つの器官について、由来・構造・ホルモンの作用・組織の種類を1肢ずつ誤らせる型。作用の向き(収縮/弛緩)と、産生する場所/運ぶ場所の区別が鍵。
5分で振り返る
乳腺=アポクリン汗腺が変化した皮膚付属器。乳汁は腺房で産生され乳管が運ぶ。プロラクチン(下垂体前葉)=乳汁産生、オキシトシン(下垂体後葉)=腺房周囲の筋上皮細胞を収縮させて射乳。どちらも吸啜刺激で分泌が増える。オキシトシンは子宮も収縮させるので子宮復古を促す。月経前の張りはプロゲステロンによる。乳房の脂肪は白色脂肪組織。
1分チェック
- 乳腺は何が変化してできたものか
- 乳汁を産生するのはどこか
- オキシトシンとプロラクチンの役割の違いは何か
- 月経前の乳房の張りは何ホルモンによるか
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