小脳の機能はどれか。
公式正答:4
解説
小脳は運動そのものを起こすのではなく、運動を滑らかに整える器官。選択肢のなかで運動の「制御」を言っているのは4だけ。
この問題で問われていること
小脳の役割を、運動の発生(大脳の運動野)や姿勢反射の中枢(中脳・脳幹)と区別できるか。
しくみから理解する
小脳は大脳皮質の運動野から「これから何をしようとしているか」の情報を受け取り、同時に筋・腱・関節・前庭からの「いま実際にどうなっているか」の情報を受け取る。この2つを突き合わせて誤差を計算し、運動の速さ・強さ・タイミングを補正する。この働きが失われると、運動の向きや距離が狂う測定障害、目標に近づくと震える企図振戦、複数の関節をなめらかに連携できない協調運動障害、素早い反復運動ができない変換運動障害が起こる。歩行は酩酊様のふらつきになる。
選択肢ごとの確認
覚醒の維持は脳幹の網様体賦活系、睡眠と覚醒のリズムは視床下部の視交叉上核と松果体のメラトニンが関わる。小脳ではない。
小脳は姿勢の維持に関与するが、姿勢反射そのものの中枢は中脳と延髄・橋の前庭核にある。小脳は反射の中枢ではなく、その調節役。
振動感覚は深部感覚の一つで、後索-内側毛帯路を通り延髄の後索核でシナプスを作り、視床を中継して体性感覚野へ届く。小脳は経路に入らない。
運動の指令と実際の動きを照合し、速さ・強さ・タイミングを補正する。
下行性疼痛抑制系は中脳水道周囲灰白質から延髄の縫線核を経て脊髄後角に至る経路で、セロトニンとノルアドレナリンが関わる。小脳は関与しない。
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混同しやすいポイント
「姿勢」という語が小脳と強く結びついているため2を選びやすい。小脳がやっているのは調節であって反射の中枢ではない、という一段の区別が要る。反射の中枢は脳幹、調節は小脳、と役割で分ける。
理解を深める
小脳の障害では、大脳の障害と違って麻痺は起こらない。力は出るのに狙いが定まらないのが小脳性の運動失調。診察では指鼻試験、踵膝試験、回内回外の反復運動、片脚立ちなどで調べる。障害側と同じ側に症状が出るのも特徴(小脳は二重に交叉するため同側性)。これは大脳の障害が反対側に出るのと対照的で、そのまま問題になる。
間違えやすい考え方
「関与する」と「中枢である」をすり替える型。小脳は姿勢に関与するが姿勢反射の中枢ではない。この種の設問では、動詞(中枢である/中継する/制御する)まで読む。
5分で振り返る
小脳は大脳運動野からの指令と、筋・腱・関節・前庭からの実際の情報を照合して運動を補正する。障害すると測定障害・企図振戦・協調運動障害・変換運動障害・酩酊様歩行が出るが、麻痺は出ない。症状は障害側と同側。姿勢反射の中枢は中脳と前庭核、覚醒は脳幹網様体賦活系、振動感覚は後索-内側毛帯路、下行性疼痛抑制は中脳水道周囲灰白質から縫線核。
1分チェック
- 小脳の主な役割は何か
- 小脳の障害で麻痺は起こるか
- 小脳の症状は障害側と同側か対側か
- 姿勢反射の中枢はどこか
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