転移性脳腫瘍〈metastatic brain tumor〉の 原発巣で最も多いのはどれか。
公式正答:3
解説
転移性脳腫瘍の原発巣で最も多いものを問う。肺癌である。
この問題で問われていること
転移の経路から、頻度の順序を導けるか。
しくみから理解する
転移性脳腫瘍の原発巣として最も多いのは肺癌で、全体の約半数を占める。理由は二つある。第一に、肺癌そのものの罹患数が多いこと。第二に、肺の毛細血管を通った腫瘍細胞が、そのまま肺静脈から左心系を経て動脈血に乗り、全身へ運ばれる。他の臓器の癌では、まず肺の毛細血管という関門を通過する必要があるが、肺癌はこの関門を経ずに動脈血へ入れるため、血行性転移を起こしやすい。次いで乳癌、大腸癌、腎細胞癌、悪性黒色腫が多い。
選択肢ごとの確認
胃癌は、腹膜播種、リンパ行性転移、肝転移が主体になる。脳転移の頻度は高くない。
乳癌は、転移性脳腫瘍の原発巣として肺癌に次いで多い。ただし最多ではない。乳癌は骨、肺、肝、脳へ転移し、経過が長いことから脳転移が問題になる場面が多い。
大腸癌は、門脈を経て肝臓へ転移することが多い。肝を通過した後に肺、さらに脳へと進む経路をたどるため、脳転移の頻度は肺癌ほど高くない。
子宮頸癌は、局所への浸潤とリンパ行性転移が主体で、脳転移はまれである。
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混同しやすいポイント
『肺を通るか通らないか』という血行性転移の経路が、頻度の違いを説明する。肺癌は肺の関門を経ずに動脈血へ入る。大腸癌は門脈→肝→肺→動脈という長い経路を要する。この違いが、脳転移の頻度に反映される。あわせて、それぞれの癌の転移しやすい臓器(大腸癌=肝、前立腺癌と乳癌=骨、胃癌=腹膜)も対で覚える。
理解を深める
転移性脳腫瘍の症状は、頭蓋内圧亢進による症状(頭痛、悪心・嘔吐、うっ血乳頭、意識障害)と、腫瘍の局在に応じた巣症状(片麻痺、失語、視野障害、けいれん、人格変化)に分かれる。多発することが多く、造影MRIで診断される。治療は、全脳照射、定位放射線治療、手術、薬物療法(分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の中には脳への移行が期待できるものがある)を、原発巣の種類、転移の数と大きさ、全身状態に応じて選択する。ステロイドは、腫瘍周囲の浮腫を軽減して症状を改善する。看護では、頭蓋内圧亢進の徴候、けいれん、麻痺の進行、意識レベル、そして高次脳機能の変化を観察する。症状が急に進むことがあり、転倒や誤嚥のリスクも高まる。原発巣の治療中に脳転移が判明することは、患者と家族にとって大きな衝撃になる。予後や治療の選択について、繰り返し話し合う場が必要になる。
間違えやすい考え方
頻度を問う型で、誤肢がすべて他の癌である。血行性転移の経路(肺の関門)で切る。
5分で振り返る
①転移性脳腫瘍の原発巣は肺癌が最多(約半数)、次いで乳癌、大腸癌、腎細胞癌、悪性黒色腫。②肺癌は肺の毛細血管という関門を経ずに動脈血へ入るため血行性転移しやすい。③大腸癌は門脈→肝が主経路。④胃癌は腹膜播種、子宮頸癌はリンパ行性が主体。⑤症状は頭蓋内圧亢進(頭痛・嘔吐・うっ血乳頭)と巣症状(麻痺・失語・けいれん)。⑥診断は造影MRI、多発が多い。⑦ステロイドが周囲の浮腫を軽減する。
1分チェック
- 転移性脳腫瘍の原発巣で最多は。→ 肺癌(約半数)。次いで乳癌。
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