労働者災害補償保険法に規定されている保険者はどれか。
公式正答:1
解説
労働者災害補償保険法に規定されている保険者を問う。国である。
この問題で問われていること
社会保険の保険者を、制度ごとに区別できるか。
しくみから理解する
労働者災害補償保険(労災保険)は、業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して保険給付を行う制度で、保険者は国(政府)である。事業の運営は厚生労働省が行い、窓口は労働基準監督署になる。保険料は全額を事業主が負担し、労働者の負担はない。これは、労働災害に対する事業主の補償責任を保険の形で担保するという制度の趣旨による。適用は、労働者を1人でも使用する事業に及び、パートやアルバイトを含めて雇用の形態を問わない。ただし例外があり、国の直営事業と官公署の事業は別の補償制度によるほか、農林水産の一部の個人経営で常時使用する労働者が少ない事業は、暫定的に任意適用とされている。
選択肢ごとの確認
事業主は保険料を全額負担するが、保険者ではない。保険者とは、制度を運営し保険給付を行う主体を指す。
市町村が保険者となるのは、国民健康保険(都道府県と市町村が共同で運営)と介護保険である。労災保険ではない。
都道府県は、国民健康保険の財政運営の責任主体として市町村とともに運営に関わるが、労災保険の保険者ではない。
健康保険組合は、健康保険(被用者保険)の保険者の一つである。大企業が単独または共同で設立し、その従業員と家族を対象とする。中小企業の従業員は全国健康保険協会(協会けんぽ)が保険者になる。業務外の疾病等が対象であり、業務上の事由による場合は労災保険が適用される。
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混同しやすいポイント
社会保険の保険者を一覧で覚える。健康保険=全国健康保険協会または健康保険組合。国民健康保険=都道府県と市町村(国民健康保険組合の場合もある)。後期高齢者医療=後期高齢者医療広域連合。介護保険=市町村。年金=国(政府)。労災保険=国(政府)。雇用保険=国(政府)。労働保険(労災と雇用)は国が保険者で、労災保険料は全額事業主負担、雇用保険料は事業主と労働者が分担する、という違いも押さえる。
理解を深める
労災保険の給付には、療養(補償)給付(業務災害では治療費が全額給付され、自己負担がない。通勤災害による療養給付では、一部負担金が徴収される)、休業(補償)給付(休業4日目から給付基礎日額の6割、加えて特別支給金2割)、障害(補償)給付、遺族(補償)給付、葬祭料、傷病(補償)年金、介護(補償)給付がある。通勤災害も対象になるが、通勤の経路を逸脱・中断した場合は原則として対象外になる(日用品の購入など日常生活上必要な行為でやむを得ない事由による最小限度のものは除く)。看護師自身にとっても、針刺し事故、患者からの暴力、腰痛、感染症の罹患は労災の対象になりうる。事故が起きたら、まず報告し、記録を残し、労災として手続きすることが重要になる。自己負担で受診してしまうと後の手続きが煩雑になるため、労災であることを医療機関に伝える。過労死や精神障害の労災認定については、認定基準(長時間労働、心理的負荷の強い出来事)が定められており、近年は精神障害による請求と認定が増えている。
間違えやすい考え方
保険者を問う型で、誤肢が他の制度の保険者と保険料の負担者である。制度ごとの保険者の一覧で切る。
5分で振り返る
①労災保険の保険者は国(政府)、窓口は労働基準監督署。②保険料は全額事業主負担(労働者の負担なし)。③労働者を1人でも使用する事業に適用され、パート・アルバイトも対象。ただし国の直営事業と官公署の事業は別の補償制度により、農林水産の一部の個人経営は暫定的に任意適用になる。④健康保険は協会けんぽまたは健康保険組合、国民健康保険は都道府県と市町村、介護保険は市町村、後期高齢者医療は広域連合。⑤給付は療養・休業・障害・遺族・葬祭・傷病年金・介護。⑥療養給付は業務災害では自己負担なし(通勤災害では一部負担金がある)、休業給付は4日目から6割+特別支給金2割。⑦針刺し事故や患者からの暴力も労災の対象になりうる。
1分チェック
- 労災保険の保険者は。→ 国(政府)。保険料は全額事業主負担。
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