肺結核〈pulmonary tuberculosis〉について 正しいのはどれか。2つ選べ。
公式正答:4・5
解説
肺結核について正しいものを2つ問う。二次性の発症は過去の感染の再活性化によることと、DOTSが推奨されることである。
この問題で問われていること
結核の自然史と、治療の仕組みを理解しているか。
しくみから理解する
結核菌に感染しても、多くは免疫によって封じ込められ、菌が体内に潜伏したまま発病しない(潜在性結核感染症)。加齢、糖尿病、悪性腫瘍、免疫抑制薬、低栄養、人工透析などにより免疫が低下すると、この潜伏していた菌が再び増殖して発病する。これが二次結核(既感染発病)で、日本の高齢者の結核の多くがこの形をとる。DOTSは、医療者や支援者が服薬を直接確認する方法で、確実な服薬によって治癒率を上げ、耐性菌の出現を防ぐ。世界保健機関が推奨し、日本でも保健所が中心となって地域DOTSが実施されている。
選択肢ごとの確認
結核のうち肺結核が占める割合は10%程度ではなく、8割前後を占める。肺外結核(リンパ節、胸膜、骨関節、腎、髄膜、粟粒結核)が残りになる。
感染経路は接触感染ではなく空気感染(飛沫核感染)である。喀痰塗抹陽性の患者では、陰圧室での管理とN95マスクの着用が必要になる。接触感染との取り違えは、感染対策の誤りに直結する重要な誤肢になる。
肺アスペルギルス症は真菌(アスペルギルス属)による感染症で、結核菌(抗酸菌)とは全く異なる。ただし、結核が治癒した後に残った空洞にアスペルギルスが定着して菌球を形成することがあり(肺アスペルギローマ)、両者に関連はある。原因菌が同じではない。
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混同しやすいポイント
感染経路(空気感染)と、二次結核という概念が要点になる。日本の結核は、高齢者の既感染発病が中心であり、若い頃に感染した菌が免疫の低下によって再活性化するという構図を理解しておく。この理解が、高齢者の長引く咳への警戒につながる。DOTSについては、なぜ服薬を確認する必要があるのか(自己中断が耐性菌を生むから)まで押さえる。
理解を深める
結核の治療は、複数の薬剤を組み合わせて6か月以上続ける。標準治療は、イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトール(またはストレプトマイシン)の4剤を2か月、その後イソニアジドとリファンピシンを4か月である。副作用として、肝障害(全剤)、末梢神経障害(イソニアジド。ビタミンB6の併用で予防)、尿や涙の橙赤色化(リファンピシン。コンタクトレンズの着色に注意)、視神経障害(エタンブトール。視力と色覚の変化を確認)、聴力障害(ストレプトマイシン)、高尿酸血症(ピラジナミド)がある。看護では、これらの副作用の説明と観察、服薬の継続の支援、感染対策の指導を行う。診断は、喀痰塗抹検査、培養、核酸増幅法、そして感染の有無を見るインターフェロンγ遊離試験(BCG接種の影響を受けない)による。届出は二類感染症として直ちに行い、接触者健診が保健所によって実施される。
間違えやすい考え方
2つ選べの型で、誤肢が割合・感染経路・原因菌の誤りである。自然史と治療の仕組みで切る。
5分で振り返る
①感染しても多くは潜伏する(潜在性結核感染症)。免疫の低下で再活性化するのが二次結核。②日本の高齢者の結核の多くがこの形。③感染経路は空気感染(飛沫核感染)。陰圧室とN95マスク。④肺結核は結核全体の8割前後。⑤DOTSは服薬を直接確認し、治癒率を上げ耐性菌を防ぐ。⑥標準治療は4剤2か月+2剤4か月の計6か月。⑦副作用=肝障害、末梢神経障害(B6で予防)、尿の橙赤色化、視神経障害、聴力障害。
1分チェック
- 二次結核とは。→ 過去に感染して潜伏していた菌が、免疫の低下により再活性化して発病すること。
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