敗血症性ショック septic shock について正しいのはどれか。2つ選べ。
公式正答:3・4
解説
敗血症性ショックについて正しいものを2つ問う。エンドトキシンが原因であることと、最重症の臨床像は多臓器不全であることである。
この問題で問われていること
血液分布異常性ショックの機序と経過を説明できるか。
しくみから理解する
敗血症は、感染に対する生体の反応が制御を失い、臓器障害を引き起こす状態である。グラム陰性桿菌の細胞壁成分であるエンドトキシン(リポ多糖)が、免疫細胞を刺激して炎症性サイトカインを大量に放出させることが、その中心的な機序になる。サイトカインは血管を拡張させ、血管透過性を高め、凝固系を活性化する。その結果、末梢血管抵抗が下がって血圧が低下し、微小循環が障害されて組織が酸素を利用できなくなる。この状態が進むと、腎、肝、肺、中枢神経、凝固系といった複数の臓器が同時に機能不全に陥る。これが多臓器不全で、敗血症の最重症の臨床像になる。
選択肢ごとの確認
血圧は上昇ではなく低下する。末梢血管が拡張して血管抵抗が下がるためで、輸液に反応しない低血圧(平均動脈圧を保つのに昇圧薬を要する状態)が敗血症性ショックの定義に含まれる。
血中乳酸濃度は低下ではなく上昇する。組織が酸素を十分に利用できず嫌気性代謝に傾くためで、乳酸値は組織灌流の指標として重要になる。敗血症性ショックの定義では、十分な輸液を行っても血中乳酸値が2mmol/Lを超えることが要件に含まれる。
経過はコールドショックからウォームショックへではなく、逆である。敗血症の初期には、末梢血管の拡張により四肢が温かく皮膚が紅潮するウォームショックを呈し、進行すると代償が破綻して末梢血管が収縮し、四肢冷感と蒼白を伴うコールドショックへ移行する。順序を取り違えないようにする。なお小児では初期からコールドショックを呈することが多い。
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混同しやすいポイント
誤肢3つが、いずれも『方向が逆』という型になっている。血圧は下がる、乳酸は上がる、ウォームからコールドへ移行する。機序(血管拡張と組織の酸素利用障害)から、それぞれの方向を導ける。ショックの分類のなかで、敗血症性ショックは血液分布異常性ショックに属し、循環血液量減少性ショックや心原性ショックとは病態が異なる点も押さえる。
理解を深める
敗血症では認識後すぐに重症度とショックを評価する。晶質液を少なくとも30mL/kg投与する提案は、敗血症性低灌流または敗血症性ショックに対する最初の3時間の弱い推奨であり、全例への固定量ではない。動的指標、灌流、心腎機能を反復評価して追加量を調整する。抗菌薬はショックまたは敗血症の可能性が高ければ直ちに、理想的には認識後1時間以内に開始し、ショックのない敗血症疑いでは迅速評価を行い、懸念が残れば認識後3時間以内に投与する。
間違えやすい考え方
2つ選べの型で、誤肢がすべて方向の逆である。血管拡張と組織の酸素利用障害という機序で切る。
5分で振り返る
①敗血症の認識とショック・低灌流の有無を分ける。②30mL/kgは低灌流または敗血症性ショックに対する最初の3時間の目安で、全例固定ではない。③反応性と過剰負荷を動的に再評価する。④ショックまたは高い可能性では抗菌薬を直ちに、理想的には1時間以内。⑤ショックなしの疑い例は迅速評価後、懸念が続けば3時間以内。
1分チェック
- 敗血症性ショックの機序と最重症像は。→ エンドトキシンによる血管拡張。最重症像は多臓器不全。
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