高齢者の健康障害の特徴はどれか。2つ選べ。
公式正答:4・5
解説
高齢者の健康障害の特徴を2つ問う。薬物による有害事象が出現しやすいことと、原疾患とは関連のない老年症候群が発生しやすいことである。
この問題で問われていること
高齢者の疾病の現れ方を、成人との違いとして把握しているか。
しくみから理解する
高齢者では、加齢に伴う薬物動態の変化により有害事象が出やすい。肝血流量と肝代謝能の低下、腎機能の低下による排泄の遅延、体内水分量の減少と脂肪の増加による分布の変化、血清アルブミンの低下による遊離型薬物の増加が重なる。加えて複数の疾患による多剤併用が拍車をかける。もう一つの特徴が老年症候群で、転倒、認知機能の低下、失禁、低栄養、褥瘡、せん妄、フレイルといった、原疾患と直接の関連がないまま生活機能を損なう症候が生じやすい。入院という契機だけでこれらが顕在化することも多い。
選択肢ごとの確認
原因を特定しやすいのではなく、しにくい。複数の疾患が併存し、加齢による変化と疾患による変化が重なり、症状が非特異的であるため、一つの原因に帰することが難しい。
症候は定型的ではなく、非定型的である。心筋梗塞で胸痛を訴えない(無痛性心筋梗塞)、肺炎で発熱や咳がはっきりせず食欲低下や意識の変化として現れる、感染症で体温が上がらない、といった形をとる。「なんとなく元気がない」が唯一の徴候であることもある。
個人差は少ないのではなく、大きい。同じ80歳でも、自立して社会活動を続けている人から、全面的な介護を要する人まで幅がある。加齢の速度と、これまでの生活、疾患の有無、環境によって差が広がるためで、年齢だけでその人の状態を推測することはできない。
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混同しやすいポイント
高齢者の疾病の特徴を、5つ程度にまとめて覚える。①複数の疾患を併存する、②症候が非定型的である、③個人差が大きい、④薬物の有害事象が出やすい、⑤原疾患と関連のない老年症候群を伴いやすい、⑥慢性化しやすく完全な治癒が得にくい、⑦社会的な要因(独居、経済、介護力)が経過に影響する。誤肢は①〜③の逆を提示している。
理解を深める
老年症候群への対応は、原疾患の治療とは別に組み立てる必要がある。転倒=環境と薬剤と筋力の評価、認知機能の低下=可逆的な原因(薬剤、脱水、感染、甲状腺機能低下、ビタミン欠乏、うつ)の除外、失禁=原因の分類と環境の調整、低栄養=摂取量と嚥下機能の評価、褥瘡=体圧分散と栄養と皮膚の管理、せん妄=誘因の除去。これらは相互に関連しており、低栄養が筋力低下を招き、転倒と褥瘡につながる、といった連鎖を作る。包括的高齢者評価(CGA)は、身体機能、認知機能、精神状態、社会経済的状況、生活環境を系統的に評価する枠組みで、この連鎖を捉えるのに役立つ。薬剤については、日本老年医学会が「特に慎重な投与を要する薬物」のリストを示しており、ベンゾジアゼピン系、抗コリン薬、非ステロイド性抗炎症薬、一部の降圧薬などが挙げられている。入院を機に処方を見直すことが、有害事象の予防につながる。
間違えやすい考え方
2つ選べの型で、誤肢が特徴の逆を提示している。5つの特徴を持って切る。
5分で振り返る
①薬物動態の変化(肝代謝と腎排泄の低下、体組成の変化、アルブミンの低下)+多剤併用で有害事象が出やすい。②老年症候群=転倒、認知機能低下、失禁、低栄養、褥瘡、せん妄、フレイル。原疾患と関連なく生じる。③原因は特定しにくい(複数の疾患と加齢の変化が重なる)。④症候は非定型的(無痛性心筋梗塞、発熱しない肺炎)。⑤個人差は大きい。⑥慢性化しやすく社会的要因が経過に影響する。⑦包括的高齢者評価で系統的に捉える。
1分チェック
- 高齢者の健康障害の特徴は。→ 薬物の有害事象が出やすく、老年症候群を伴いやすい。
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