薬剤投与に関する重大な医療事故が発生した。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
公式正答:1・2
解説
薬剤投与に関する重大な医療事故が発生したときの看護師の対応を2つ問う。患者の状況を確認して安全を確保することと、事故発生状況の詳細を看護記録に残すことである。
この問題で問われていること
事故発生時の優先順位と、記録の意味を理解しているか。
しくみから理解する
医療事故が発生したとき、最優先されるのは患者の安全である。まず状態を確認し、バイタルサインを測定し、必要な処置を行い、医師に報告して指示を受ける。同時に、何が起きたかを正確に記録する。記録は、その後の治療の判断材料になり、原因の分析に不可欠であり、患者と家族への説明の根拠になり、後の司法手続きでも意味を持つ。記録は事実を客観的に、時刻とともに、推測や自己弁護を交えずに書く。誰が何をしたか、患者にどのような変化があったか、どう対応したかを、時系列で残す。
選択肢ごとの確認
使用した物品を処分してはならない。使用した薬剤の空アンプルやバイアル、シリンジ、輸液ボトル、輸液ラインは、何が投与されたかを確認する証拠になる。廃棄すれば原因の究明が不可能になり、患者への適切な治療の判断も妨げられる。保全して報告する。
上司への報告は、患者の容態が落ち着いてからではなく、直ちに行う。組織として対応するために、早期の情報共有が不可欠になる。応援を得ることで、患者への対応も並行して進められる。一人で抱え込むことが最も危険な対応になる。
患者と家族への説明は、原因が判明した後まで待つのではなく、速やかに行う。この時点で分かっている事実(何が起きたか、現在の状態、これから何をするか)を伝え、原因の調査を行うことと、判明したら改めて説明することを約束する。説明を遅らせることは、不信を招き、関係を大きく損なう。誠実な説明と謝意の表明は、患者の権利であり、組織の責務でもある。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
誤肢3つが、いずれも「隠す」「遅らせる」方向を向いている。物品を処分する、報告を遅らせる、説明を待つ。医療安全の原則は逆で、保全する、直ちに報告する、速やかに説明する、である。事故が起きたときに人が取りがちな行動(隠したい、後で言おう)と、あるべき対応が正反対である点が、この設問の主題になる。
理解を深める
医療事故発生時の対応の流れを整理する。①患者の安全確保と必要な処置、②医師への報告と指示、③上司・関係部署への報告、④現場と物品の保全、⑤事実の記録、⑥患者と家族への説明、⑦報告書の提出、⑧原因の分析(根本原因分析など)と再発防止策の立案、⑨対策の実施と評価。予期しなかった死亡または死産の場合は、医療事故調査制度に基づき、医療事故調査・支援センターへの報告と院内調査が必要になる。当事者となった医療者への支援も重要な要素になる。事故に関わった医療者は、罪悪感、自責、不眠、職務への不安を抱え、第二の被害者と呼ばれる状態に陥ることがある。組織として、個人を責めるのではなく、しくみの問題として分析し、当事者を支える文化(ジャストカルチャー)が、報告を促し安全を高める。看護師が薬剤投与に関わる場面では、6つのRight(正しい患者、薬剤、目的、用量、方法、時間)の確認、ダブルチェック、指示の受け方(口頭指示は復唱と記録)、ハイリスク薬の管理といった予防策を日常的に実践することが基本になる。
間違えやすい考え方
2つ選べの型で、誤肢がすべて隠す・遅らせる方向である。安全確保と透明性という原則で切る。
5分で振り返る
①最優先は患者の安全確保(状態の確認、処置、医師への報告)。②事実を時刻とともに客観的に記録する(推測や弁明を書かない)。③使用した物品は処分せず保全する(原因究明の証拠)。④上司への報告は直ちに行う(一人で抱え込まない)。⑤患者と家族へは分かっている事実を速やかに説明し、調査と再説明を約束する。⑥予期しない死亡は医療事故調査・支援センターへ報告。⑦当事者となった医療者への支援も必要(第二の被害者)。
1分チェック
- 医療事故が起きたら。→ まず患者の安全確保、そして事実を正確に記録する。物品は保全し、直ちに報告する。
この問題に対応する教材の確認中です。