次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(49歳、女性)は、これまで在宅勤務でほとんど外出することがなく、BMI33であった。Aさんは久しぶりの出勤の際に転倒し、右大腿骨頸部骨折femoralneckfractureと診断され、右人工股関節置換術を受けることになった。
術後3日、A さんの全身状態は改善し、読書をして過ごしている。 A さんの術後の合併症を予防する適切な肢位はどれか。
公式正答:2
解説
人工股関節置換術後3日、読書をして過ごしている患者の、合併症を予防する適切な肢位を問う。外転である。
この問題で問われていること
脱臼を防ぐ肢位を、術式から導けるか。
しくみから理解する
人工股関節置換術の後方アプローチでは、股関節の過度の屈曲、内転、内旋が脱臼を招く肢位になる。したがって、これらを避け、股関節を外転位に保つことが脱臼の予防になる。具体的には、両下肢の間に外転枕(三角枕)を挟んで内転を防ぎ、下肢が内旋しないよう保持する。臥床時だけでなく、寝返り、起き上がり、座位、立ち上がり、そして日常の動作すべてで、この肢位を意識する必要がある。
選択肢ごとの確認
外旋は、後方アプローチでは脱臼肢位に含まれないが、前方アプローチでは伸展・外旋が脱臼肢位になる。術式によって危険な方向が異なるため、どちらのアプローチかを確認する必要がある。設問は「合併症を予防する適切な肢位」を問うており、外転が最も一般的な答えになる。
内旋は後方アプローチでの脱臼肢位になる。避けるべき方向であり、予防のための肢位ではない。
内転も後方アプローチでの脱臼肢位になる。足を組む、横向きで膝を重ねる、体をひねるといった動作で生じるため、これを防ぐために外転枕を用いる。
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混同しやすいポイント
『脱臼する方向の逆を保つ』と考える。後方アプローチでは、屈曲・内転・内旋が危険なので、外転位を保ち、深い屈曲と内旋を避ける。誤肢のうち内転と内旋は、まさに避けるべき方向を提示している。外旋については、術式によって扱いが異なる点を知っておく。
理解を深める
日常生活での具体的な指導が、脱臼の予防には不可欠になる。避けるべき動作としては、床に座る(正座、あぐら、横座り)、低い椅子や便座に座る、足を組む、体をひねって後ろの物を取る、しゃがんで床の物を拾う、靴下を履くときに膝を深く曲げる、内股で立つ、といったことがある。環境の調整としては、便座を高くする、椅子は高めで肘掛けのあるものを使う、ベッドの高さを調整する、ソックスエイドやリーチャーといった自助具を使う、そして寝るときは仰臥位か、術側を上にした側臥位で間に枕を挟む、といった方法をとる。入浴では、浴槽をまたぐ動作に注意し、シャワーチェアや手すりを用いる。これらは退院後も長く続ける必要があるため、入院中に実際の動作で練習し、家族にも伝える。脱臼が起これば、激しい痛みと下肢の変形、動かせなくなるといった症状が現れ、整復を要する。繰り返せば再手術になることもある。一方で、過度の制限は活動性を下げるため、何ができて何を避けるかを具体的に伝えることが重要になる。
間違えやすい考え方
肢位を問う型で、誤肢に脱臼肢位そのものが含まれる。術式ごとの危険な方向で切る。
5分で振り返る
①後方アプローチでは屈曲・内転・内旋が脱臼肢位。②外転位を保ち、外転枕(三角枕)で内転を防ぐ。③前方アプローチでは伸展・外旋が脱臼肢位で、術式により危険な方向が異なる。④避ける動作=床に座る、低い椅子、足を組む、体をひねる、しゃがむ、内股。⑤環境調整=便座を高く、椅子は高めで肘掛けあり、自助具。⑥寝るときは仰臥位か術側を上にした側臥位で間に枕。⑦過度の制限は活動性を下げるため、できることも具体的に伝える。
1分チェック
- 人工股関節置換術後(後方アプローチ)の予防肢位は。→ 外転位(屈曲・内転・内旋を避ける)。
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