次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(32歳、初産婦)は妊娠39週4日で男児を正常分娩した。出生体重3,000g、身長48.0cm。出生直後、児に付着していた羊水を拭き取り、インファントラジアントウォーマーの下で観察を行った。その後、温めておいた衣服を着せてコットに寝かせ、コットを空調の風が当たらない場所に配置した。
看護師の行為で対流による児の熱喪失を予防したのはどれか。
公式正答:4
解説
出生直後の児への一連の看護のうち、対流による熱喪失を予防したものを問う。コットを空調の風が当たらない場所に配置したことである。
この問題で問われていること
熱喪失の4つの経路を、それぞれの対策と対応づけられるか。
しくみから理解する
対流は、体表面に接する空気が移動することによって熱が奪われる経路になる。空気の流れが速いほど熱の喪失は大きくなり、エアコンの風、扉の開閉による気流、人の移動によって生じる。したがって、コットを空調の風が当たらない場所に置くことが、対流による熱喪失の予防にあたる。新生児は体表面積が体重に対して大きく、皮下脂肪が薄く、体温調節機能も未熟なため、わずかな気流でも体温が下がる。
選択肢ごとの確認
羊水を拭き取ることは、蒸散(気化)による熱喪失の予防になる。濡れた体表から水分が蒸発する際に気化熱が奪われるため、素早く拭いて乾かすことが最も効果の大きい対策になる。出生直後は全身が羊水で濡れているため、この経路からの熱喪失が最大になる。
インファントラジアントウォーマーの下で観察することは、輻射による熱の供給になる。輻射は、直接触れていない物体との間で電磁波によって熱が移動する経路で、冷たい壁や窓へ熱が逃げることが問題になる。ウォーマーは、逆に輻射によって熱を与える装置になる。
温めた衣服を着せることは、伝導による熱喪失の予防になる。伝導は、直接接触している物体へ熱が移動する経路で、冷たい寝具、体重計、聴診器、処置台との接触で生じる。あらかじめ温めておくことで防げる。
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混同しやすいポイント
4つの経路と対策を対応させる。蒸散=濡れた体を拭いて乾かす、羊水と入浴後の水分。伝導=接触するもの(衣服、寝具、体重計、聴診器)を温める。対流=気流を避ける(エアコン、扉、人の動き)。輻射=冷たい壁と窓から離す、ウォーマーとインキュベータを使う。この設問は、4つの行為がそれぞれ別の経路に対応する形で作られており、経路の定義を知っていれば一意に決まる。
理解を深める
新生児の低体温は、単に寒いというだけの問題ではない。体温を保つために代謝が亢進し、酸素消費量が増える。新生児は褐色脂肪組織で熱を産生するが、この過程で酸素とグルコースを消費するため、低酸素血症と低血糖を招く。さらに、嫌気性代謝が進めば代謝性アシドーシスとなり、肺血管が収縮して呼吸障害を悪化させる。この悪循環が、低体温を危険なものにしている。中性温度環境(新生児が最小の酸素消費で体温を維持できる環境温度)を保つことが目標になる。出生直後の対応としては、分娩室の室温を上げる、素早く拭いて乾いた温かい布に包む、帽子をかぶせる(頭部は体表面積に占める割合が大きい)、そして早期母子接触(母の胸に直接抱く)が有効になる。早期母子接触は、保温だけでなく、愛着形成、母乳育児の確立、そして児の生理的な安定にも寄与する。実施にあたっては、母子の状態を評価し、観察を継続する体制のもとで行う。
間違えやすい考え方
熱喪失の経路を問う型で、誤肢がそれぞれ別の経路への対策である。4つの経路の定義で切る。
5分で振り返る
①蒸散=濡れた体からの気化(羊水を拭く、素早く乾かす)。②伝導=接触による移動(衣服・寝具・体重計・聴診器を温める)。③対流=空気の移動(空調の風、扉の開閉、人の動きを避ける)。④輻射=離れた物体との電磁波による移動(冷たい壁と窓から離す、ウォーマー)。⑤低体温は代謝亢進→酸素消費増加→低酸素と低血糖→アシドーシスの悪循環を招く。⑥帽子は頭部からの喪失を防ぐ。⑦早期母子接触は保温・愛着・母乳の確立に寄与する。
1分チェック
- 対流による熱喪失の予防は。→ 気流を避ける(空調の風が当たらない場所へ)。
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