次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(22歳、男性)は、高校卒業後に就職したが、同僚との関係がうまく築けず、転職を繰り返している。「他の人と自分はどこか違う。自分の将来が不安だ」と感じたAさんは精神科クリニックを受診し、自閉症スペクトラム障害autismspectrumdisorderと診断された。Aさんは小学生のころから他人の気持ちが理解できないときがあり、対人関係を築くことが苦手で、学校で孤立していた。また、偏食が強く、るいそうがみられたために、同級生から容姿のことでいじめられたことがあった。中学校や高校では忘れ物が多く、集団生活になじめなかった。
クリニックに通院し半年が経過した。現在、A さんは無職である。A さんは仕 事が長続きしないことで将来への不安が強く、自身の適性にあった職場を探したい と希望している。外来看護師は主治医とも相談し、A さんに就労移行支援のサー ビスについて伝えることにした。 A さんへの説明で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
自閉スペクトラム症と診断され、現在無職で、自身の適性にあった職場を探したいと希望する22歳男性への、就労移行支援の説明を問う。「一般就労に向けて知識や能力の向上を目指します」である。
この問題で問われていること
障害福祉サービスの就労支援を、目的と期限で区別できるか。
しくみから理解する
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づくサービスで、一般企業への就労を希望する障害のある人に対して、就労に必要な知識と能力の向上のための訓練、職場探しの支援、職場実習、そして就職後の職場定着の支援を行う。利用期間は原則2年間と定められており、この期間内に一般就労を目指す。この事例の患者は、一般就労を希望し、自分に合った職場を探したいと述べており、この目的に合致する。
選択肢ごとの確認
期限なく通所できるわけではない。利用期間は原則2年間で、必要と認められる場合に限り最大1年の更新ができる。期限があることは、事前に伝えるべき重要な情報になる。
共同生活が原則というのは、共同生活援助(グループホーム)の説明になる。就労移行支援は通所によるサービスで、住まいを提供するものではない。
生活リズムを整え集団に慣れることを目的とするのは、生活訓練(自立訓練)や地域活動支援センターの機能に近い。就労移行支援の目的は、あくまで一般就労であり、そのための知識と能力の向上になる。生活リズムを整えることも訓練の一部として含まれるが、目的そのものではない。
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混同しやすいポイント
就労に関わる障害福祉サービスを整理する。就労移行支援=一般就労を目指す訓練、原則2年、工賃は原則なし。就労継続支援A型=雇用契約を結んで働く、期限なし、最低賃金が保障される。就労継続支援B型=雇用契約を結ばずに働く、期限なし、工賃が支払われる。就労定着支援=就職後の職場定着を支える、最大3年。この4つを、目的、雇用契約の有無、期限で区別する。誤肢は、期限の誤り、別のサービス(グループホーム)、別の目的(生活訓練)になっている。
理解を深める
就労支援では、本人の適性と希望を丁寧に評価することが出発点になる。得意なことと苦手なこと、必要な配慮、働く環境の条件(人との関わりの量、音や光の刺激、指示の受け方、作業の内容)を明らかにし、それに合う職場を探す。自閉スペクトラム症のある人では、曖昧な指示が苦手、変更に対応しにくい、感覚刺激に敏感といった特性がある一方で、規則的な作業、細部への注意、正確さ、誠実さといった強みが活きる場面がある。職場に対しては、必要な配慮を具体的に伝える(指示は口頭でなく文書で、変更は事前に知らせる、静かな作業環境、休憩の取り方)。障害者雇用促進法により、事業主には合理的配慮の提供が義務づけられており、これが根拠になる。障害者手帳を取得すれば障害者雇用枠での就職も選択肢になるが、開示するかどうかは本人が決める。就職がゴールではなく、定着が課題になるため、就労定着支援やジョブコーチによる継続的な関わりが重要になる。
間違えやすい考え方
サービスを問う型で、誤肢が期限の誤り・別のサービス・別の目的である。目的と期限で切る。
5分で振り返る
①就労移行支援=一般企業への就労を目指す訓練、職場探し、実習、定着支援。原則2年。②就労継続支援A型=雇用契約を結んで働く、期限なし、最低賃金の保障あり。③B型=雇用契約なし、期限なし、工賃。④就労定着支援=就職後の定着を支える、最大3年。⑤共同生活援助(グループホーム)は住まいのサービス。⑥生活リズムを整えるのは自立訓練の目的。⑦障害者雇用促進法により事業主には合理的配慮の提供義務がある。
1分チェック
- 就労移行支援とは。→ 一般就労に向けた知識と能力の向上(原則2年)。
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