日本人の食事摂取基準(2020 年版)に示されている、18〜49 歳女性(月経あり)の 鉄摂取推奨量はどれか。
公式正答:2
解説
日本人の食事摂取基準(2020年版)に示されている18〜49歳女性(月経あり)の鉄摂取推奨量を問う。10.5mg/日である。
この問題で問われていること
基準値を、月経の有無による違いとともに把握しているか。
しくみから理解する
月経のある女性では、月経による鉄の損失を補う必要があるため、推奨量が高く設定されている。18〜49歳の女性(月経あり)で10.5mg/日、月経なしでは6.5mg/日程度になる。男性は7.5mg/日程度である。鉄は、ヘモグロビンの構成成分として酸素の運搬を担い、不足すると鉄欠乏性貧血を生じる。女性は月経による損失に加え、妊娠と授乳でも需要が増すため、日本人の栄養素のなかで最も不足しやすいものの一つになっている。
選択肢ごとの確認
5.5mg/日は、月経のない女性や小児の水準に近く、月経のある成人女性には不足する。
15.5mg/日は推奨量より高い。妊娠中期以降や授乳期には需要が増すが、それでも通常の食事に加えて必要な量として設定される値であり、この数値ではない。
20.5mg/日はさらに高く、耐容上限量(過剰摂取による健康障害を防ぐための上限)に近づく水準になる。鉄の過剰摂取は、消化器症状や、長期には臓器への沈着を招く。
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混同しやすいポイント
数値を3つ対で覚える。月経ありの成人女性10.5mg、月経なし6.5mg、成人男性7.5mg。月経の有無で約4mgの差がある、という関係で記憶すると再現しやすい。あわせて、鉄欠乏性貧血が女性に多い理由(月経、妊娠、授乳、ダイエットによる摂取不足)も理解しておく。
理解を深める
鉄には、動物性食品に含まれるヘム鉄と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄がある。ヘム鉄のほうが吸収率が高く(15〜25%程度)、非ヘム鉄は2〜5%程度にとどまる。非ヘム鉄の吸収は、ビタミンCと一緒に摂ることで高まり、タンニンなどのポリフェノール(濃い茶、コーヒー)とフィチン酸(穀類、豆類)により妨げられる。シュウ酸は、食事に含まれる量ではヒトの鉄吸収を抑制しないことが試験で示されており、ほうれん草の鉄の利用率が低いのもポリフェノールによると説明される。食品としては、レバー、赤身の肉と魚、あさり、小魚、大豆製品、小松菜、ほうれん草が挙げられる。鉄欠乏性貧血の症状は、易疲労、動悸、息切れ、めまい、頭痛のほか、スプーン状爪(匙状爪)、口角炎、舌炎、異食症(氷を好んで食べるなど)がある。血液検査では、小球性低色素性貧血、血清フェリチンの低下(貯蔵鉄の指標として鋭敏)、総鉄結合能の上昇がみられる。治療は鉄剤の投与で、ヘモグロビンが回復した後も、貯蔵鉄を満たすために数か月続ける必要がある。看護では、副作用(悪心、便秘、黒色便)の説明と、食事指導、そして原因の検索(月経過多、消化管出血)の重要性を伝える。
間違えやすい考え方
基準値を問う型で、誤肢が別の対象の水準と過剰な値である。月経の有無による差で切る。
5分で振り返る
①月経のある18〜49歳女性の鉄推奨量は10.5mg/日。②月経なしは6.5mg/日、成人男性は7.5mg/日。③ヘム鉄(動物性)は吸収率15〜25%、非ヘム鉄(植物性)は2〜5%。④ビタミンCが吸収を促し、タンニンとフィチン酸が妨げる。⑤症状は易疲労、動悸、スプーン状爪、口角炎、異食症。⑥検査は小球性低色素性貧血、フェリチン低下、総鉄結合能上昇。⑦鉄剤は回復後も貯蔵鉄を満たすため数か月続ける。
1分チェック
- 18〜49歳女性(月経あり)の鉄推奨量は。→ 10.5mg/日(月経なしは6.5mg、男性は7.5mg)。
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