平成13 年(2001 年)の「身体拘束ゼロの手引き」において身体拘束の禁止対象とな る行為はどれか。
公式正答:4
解説
「身体拘束ゼロの手引き」において身体拘束の禁止対象となる行為を問う。ベッドを柵(サイドレール)で囲んで降りられないようにすることである。
この問題で問われていること
身体拘束の定義を、行為の目的と結果から判断できるか。
しくみから理解する
身体拘束とは、身体の自由を奪い、行動を制限する行為を指す。手引きでは11の具体例が挙げられており、その一つが「ベッドを柵(サイドレール)で囲んで降りられないようにする」ことである。四方を柵で囲めば、本人が自分の意思でベッドから離れることができなくなり、身体の自由が制限される。転倒の予防という目的があっても、行動を制限する結果になれば身体拘束にあたる。他の例としては、車椅子やベッドに体幹や四肢を紐で縛る、手指の機能を制限するミトン型の手袋をつける、立ち上がりを妨げる椅子を使う、脱衣やおむつ外しを制限する衣服を着せる、向精神薬を過剰に投与する、自分の意思で開けられない居室に隔離する、といったものがある。
選択肢ごとの確認
L字バーは、起き上がりや立ち上がりの際に握って支えとするための用具であり、動作を助けるものになる。ベッドを囲んで降りられなくするものとは目的も結果も異なる。同じ「柵」でも、支えとして使うのか、囲んで閉じ込めるのかで意味が変わる。
離床センサーは、ベッドから離れたことを知らせる装置で、行動そのものは制限しない。ただし、鳴るたびに制止されるのであれば、実質的に行動を制限することになりうるため、使い方への配慮は必要になる。手引きの禁止対象としては挙げられていない。
点滴ルートを服の下に通すことは、視野に入らないようにして自己抜去を防ぐ工夫であり、身体の自由は制限しない。ミトンで手を覆うのが拘束にあたるのに対し、こちらは拘束を避けるための代替手段として推奨される。
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混同しやすいポイント
『身体の自由を奪うか』が判断の基準になる。誤肢はいずれも、動作を助ける、知らせる、環境を工夫するという方向で、本人の行動そのものは制限していない。むしろ拘束をしないための工夫にあたる。同じ用具でも使い方によって意味が変わる点(サイドレールとL字バー)が、この設問の要点になる。
理解を深める
身体拘束は、介護保険の指定基準において原則禁止とされ、緊急やむを得ない場合に限って認められる。その要件は、切迫性(本人または他の利用者の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高い)、非代替性(身体拘束以外に代替する介護方法がない)、一時性(一時的なものである)の3つで、これらをすべて満たすことを組織として確認し、記録し、家族に説明する必要がある。拘束の弊害は大きく、身体面では関節拘縮、筋力低下、褥瘡、食欲低下、心肺機能の低下、感染、そして拘束具による事故(窒息、骨折)が生じる。精神面では、不安、怒り、屈辱、あきらめ、認知症の進行、せん妄の悪化を招く。社会面では、家族の混乱と罪悪感、施設への不信、職員の士気の低下がある。拘束を減らすには、なぜその行動をとるのかを理解し(痛み、不快、トイレ、不安、退屈、環境への不適応)、原因に対応することが基本になる。「なぜ立ち上がるのか」を問うことが、拘束をしない介護の出発点になる。
間違えやすい考え方
身体拘束の定義を問う型で、誤肢がすべて動作を助ける・知らせる・工夫する手段である。身体の自由を奪うかで切る。
5分で振り返る
①身体拘束=身体の自由を奪い行動を制限する行為。手引きに11の具体例。②ベッドを柵で囲んで降りられなくすることは拘束にあたる。③L字バーは動作を助ける用具、離床センサーは知らせる装置、点滴ルートを服の下に通すのは代替の工夫。④緊急やむを得ない場合の要件は切迫性・非代替性・一時性の3つすべて。⑤組織で確認し記録し家族へ説明する。⑥弊害は拘縮・筋力低下・褥瘡・せん妄・認知症の進行・尊厳の侵害。⑦「なぜその行動をとるのか」を問うことが出発点。
1分チェック
- サイドレールで四方を囲むことは。→ 身体拘束にあたる(本人の意思で降りられなくなる)。
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